エジプト、テレビ局前の衝突事件を受けて軍とコプト教徒の関係悪化を防ぐ努力
2011年10月12日付 al-Hayat 紙


■エジプト:内閣の危機を避けるべく努力
■軍側の死者も発表されるとの予測

2011年10月12日『アル=ハヤート』
 
【カイロ:ムハンマド・サラーフ】

事態をさらに複雑化する可能性のある内閣の危機的状況が続くなか、「マスペロ事件」[訳注:今月9日にテレビ局(通称マスペロ)前で起きたコプト・キリスト教徒を中心とするデモ隊と治安部隊との衝突事件]をうけて、軍とコプト教徒の関係に亀裂が生じることを防ぐ努力が続いている。

高等軍事控訴院は昨日(11日)、コプト教徒のブロガー、マイケル・ナビール氏によってなされた上告を受け入れ、彼を有罪とした以前の判決を取り消し、数日中に別の法廷で再審を行うと決定した。だがソーシャルネットワーキングサービス(SNS)は昨日、軍の車両がデモ参加者を轢く映像、あるいはデモ参加者の側が装甲車を乗っ取って群衆の間を走らせる映像がアップされる舞台と化した。複数の兵士が襲撃されている様子を写した映像が公開されていることを受けて、軍の側の死者も公表されるのではとの予測が出てきている。

事情通らは軍が事件の犠牲者を弔うため、今日、軍隊葬を行う可能性を否定していなかったが、兵士の棺を映した映像が宗教間のさらなる緊迫を引き起こすことのないよう、葬儀の放送や撮影は行われないとの見方が広がる中、軍最高評議会は秘匿の意思を強く示して、[軍の側の]死者数を特定すること、あるいは葬送の準備について語ることを拒否した。そこにはシュヌーダ3世総主教による、コプト教徒による平和的なデモ行進に紛れ込んでいた人員がいたとの声明が、全関係者から安堵をもって迎えられたとの背景もあった。

事件の犠牲者の軍隊葬に関する情報を軍が秘匿していることは、「内閣の危機」を引き起こした事件の余波を収拾する試みとして解釈されている。その危機の背景となったのはハーズィム・ベブラーウィ副首相兼財務相の辞表提出であり、それによってイサーム・シャラフ首相は内閣総辞職の要求に対して「現状では、政府の総辞職の決定権は軍最高評議会にある」と言い返す事態に追い込まれた。だが首相は「この手続きは進められているが、必ずしも辞任を意味するものではない」と確認することも怠らなかった。 

イスラーム教徒とコプト教徒の双方を含むマスペロ事件の容疑者27人の捜査にあたっている軍事検察は、取り調べのために全員を15日間勾留するよう命じた。彼らにかけられている容疑は、軍の側に複数の死傷者を出すにいたった兵士への攻撃と軍の装備の破壊である。

(後略)

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( 翻訳者:幸瑞 )
( 記事ID:24221 )