トルコが宇宙へ打ち上げた初の国産地球観測衛星であるRASATが、世界各地で撮影した最初の画像が、トルコ科学技術研究機構(TÜBİTAK)の地上局から無事受信され始めた。
AA通信がTÜBİTAK関係者らから入手した情報によれば、政府計画機構(DTP)の後援を受け、トルコ宇宙技術研究機構(TÜBİTAK UZAY)により設計・製造されたトルコ初のリモートセンシング(遠隔操作)衛星であるRASATが宇宙から撮影した最初の画像を、この10日間、中東工科大学(ÖDTÜ)キャンパス内にある同機構ビル内の地上局が受け取っている。
2011年8月17日にロシアから宇宙へ打ち上げられ、軌道に乗ったRASATは、地球を約98分で一周回し、昨日時点までに地球を900回周回している。
打上げ後、RASATの運用準備作業が開始した。
同衛星との通信目的でアンカラのメイン地上局に加え、ノルウェー北部のアンドヤ島にある臨時地上局が利用された。
同臨時地上局は、RASATとの通信回数を増やす目的で賃借された。極軌道を持つRASATは、アンカラのメイン地上局の通信傍受エリアを一日に4回通過し、一方、極圏へ近接することで、アンドヤ島の地上局の通信傍受エリアは一日に11回通過する。アンドヤ島の地上局のコントロールも、アンカラの地上局チームによりインターネットを介して行われている。
■ 打上げ後に何が起きたのか?
RASATが打上げ機から離脱後に開始された運用段階では、地上局から同衛星に飛行ソフトウェア、姿勢制御システム及び、制御ソフトウェアが搭載された。同衛星は、15日以内で軌道上にて安定姿勢で画像撮影できる状態になった。衛星RASATは精度方位転向モードに入った後、モジュール及び地上局のテストをうけた。
TÜBİTAK UZAYでトルコ人エンジニア及び技術専門家らの手で設計・製造され、テストが行われた衛星運用コンピュータBİLGEは、Xバンド通信システムT-REKS、リアルタイム画像処理モジュールGEZGİNと共に、アンカラ地上局と衛星RASATとの間の通信テストを行った。
運用段階で行われた同テストで、TÜBİTAK UZAYで設計・製造されたサブシステムが宇宙で無事作動したことが証明された。
これら作業の後に、世界及びトルコ各地からテスト画像が衛星RASATからアンカラの地上局に送信され始めた。初期段階で撮影された画像を使って、カメラに様々な調整が施され、画質が改善された。予備のソーラーパネルを除き、衛星に搭載されている数十台のモジュールが計画通り作動している様子が確認された。
一方、一部機器のテストが現在も継続中だ。今後、サブシステムのテスト、ソフトウェアの更新、カメラの較正及び特殊操作のテスト等の作業が続く予定である。故障したソーラーパネルは予備用であったため、衛星の機能に悪影響を及ぼすことはない。
解像度7.5mのパンクロマティックカメラと解像度15mのマルチスペクトルカメラを搭載する、重さ93キログラムのRASATは、無制限に世界各地からの画像撮影が可能である。
RASATが受け取る衛星写真は、都市・地域計画、林業、農業、災害マネジメント、及び同様の目的で活用されることになっている。
衛星RASATのシステム・エンジニアリング及びシステム・デザインは、海外から如何なる助言指導及び工学技術の支援を受けることなく、TÜBİTAK UZAYのトルコ人エンジニア及び技術専門家らの手で開発され、全テストはトルコ国内で実施された。
■ 運用期間は3年
TÜBİTAK関係者らは、推定運用期間3年のRASATが、今後のトルコの全宇宙計画にとっての試金石として新時代を切り拓くことになると報告した。
この計画の一環で製造された新たな国産衛星サブシステムは、宇宙飛行史に名を刻むこととなる。将来、トルコの産業、大学及び研究機関がこの知の集積を活用することが目標とされている。
RASATは、サブシステムの宇宙実験の検査・確認ツールとして、次代の軍事・科学目的のトルコ衛星事業に寄与することとなる。RASATに関する最新情報及びサンプル画像は、rasat.uzay.tubitak.gov.trのアドレスで配信される。
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( 翻訳者:藤井庸平 )
( 記事ID:24273 )