PKK襲撃理解の「暗号」
2011年10月20日付 Milliyet 紙

昨日トルコを揺さぶったニュースは、我々が放っておいたこの数ヵ月のひとつの結果である。決裂したと思っていた話し合いのプロセス、越境軍事作戦準備、大規模なKCK(クルディスタン社会連合トルコ会議)掃討作戦、そして大きな構図として、「クルド問題とPKKは別」というアプローチが支配的な雰囲気。昨日の襲撃が何を目的としていたかという問いに対する答えは、次のように要約される;

1.テロ組織が、アブドゥッラー・ギュル大統領の国境前線への訪問からわずか4日後に、訪問した地域から15km程のところで襲撃を実行したことは、「世論をゆさぶり」、「国家に対する力を示す」ことを意味する。テロ組織は、世論をポジティヴな方向に動かし、自らに敵対する動きがなされた際には、こうしたことが待っているのだという答えを出している。そうした動き(掃討作戦)を実現させないために、彼ら自身が手慣れた方法(テロ)で応じようとしている。襲撃が、ギュル大統領がその地域で「トルコ兵の慰問」を目的とした訪問からすぐ実行されたということは、それを意味している。

2.PKKが最も力をもっている地域のうち、ハッキャーリとシュルナックで最近実行された掃討作戦は、テロ組織の末端に絶望感をもたらした。特に、テロ組織のカト山のメンバーたちの無力化、ハッキャーリで長年神話化されているキャンプが破壊されたというニュースや、この作戦後にメディアで見られた「テロ組織が崩壊」といった論評は、PKKをなんらかの有効な行動で力を見せつけようとする動きに駆り立てた。

3.8月以降、テロ組織の基地カンディリをはじめとして、北イラクのPKKを標的として行われた空からの掃討作戦、包括的越境軍事作戦準備、そしてテロ組織リーダーのムラット・カラユランが逮捕されたというニュースは、PKKを力の誇示へと導いた。このため、最近の襲撃は、200名近い戦闘メンバーでもってきちんと統制され、様々な戦略を用いて実行されている。

4.話し合いのプロセスは、オスロ会談がメディアに漏れたことで、世論に周知されるようになったが、しばらくの間中断されている。ある意味、国は交渉の場から撤退したかのように見える。この点で最も重要な役割を演じるのはアブドゥッラー・オジャランであり、彼と彼の弁護士たちとの1週間ごとの面会も数ヵ月止まっている。この面会は、ゲムリキへのデモ、BDPの呼びかけ、そしてPKKの脅しにもかかわらず始まらなかった。オジャランの刑務所待遇の改善が話し合われる中、プロセスは裏目に出てしまった。

5.ここ2年ほど続き、BDPが大反発しているのはKCK掃討作戦であり、ここ1カ月程で厳しさを増してきている。KCK掃討作戦を、テロ組織側は「宣戦布告」とみている。

6.トルコは新憲法のために一歩を踏み出した。最も重要になる調整事項はクルド問題である。PKKは、6月12日の総選挙前の停戦プロセスにおいても、武装解除の条件を説明する際に、憲法を特にあげていた。対話が中断したことで力が弱まったPKKは、交渉の場で優位に立ち、憲法プロセスで存在を示し、政府に「この要求を満たされなければ、テロは止まらないだろう」と思いこませ、「クルド問題を私の望む通りに解決せねばならない」との圧力を強めるために、大規模な行動に移った。

7.トルコとシリアの関係が1990年代頃の状況に似てきており、シリアが新たにPKKを支援する可能性があり、テロ組織の武闘派責任者の一人シリア国籍のフェフマン・フセインが登用される可能性があることが、最近言われている。一方でエルドアン首相が北イラク自治政府に、「あなた方が一掃しないのであれば、我々が片付ける」とのメッセージを伝えたことが世論に影響し、北イラク自治政府はカンディルの村々をからっぽにさせた。(テロ組織の)襲撃は、このような状況で実行された。

■ハブル記念日から今日まで

直近の襲撃を受け、注目すべき重要なことの一つは、テロ組織は内外の戦闘メンバーを使いながら、8つの異なるポイントから作戦行動をとったということである。これは、軍事的観点から(攻撃を)決断する際のプロセスに影響を与えることを目的としている;すなわち(PKKの)反撃ポイントがさらに散らばるという結果をもたらすのは明らかだ。
他の重要な点は、4日前にギュル大統領を歓迎した地域で、諜報がどれだけ脆弱かを指摘しているということである。今から丁度2年前、30人のPKKメンバーがトルコに投降したハブル国境門投降記念日に起きた襲撃は、テロ組織が作り出したがっていた敗北の雰囲気を伴いながらも、残念なことに武器がさらにものをいう時期が始まろうとしていることを意味している。

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( 翻訳者:石川志穂 )
( 記事ID:24295 )