演劇情報―ギュラ・ハイ作「馬」:馬がローマ執政官になったなら?
2011年10月22日付 Zaman 紙
イスタンブル国立劇団が10月1日に上演をはじめた「馬」という劇は、ウスキュダル・テケル舞台で続けている。
原作ギュラ・ハイ、翻訳オズデミル・ヌトクによる劇の監督はハーカン・ボヤヴが務めている。劇は、「歴史上、最も圧政的で、最も狂気じみた暴君、ローマ皇帝カリギュラ」が、自分の愛した馬インジタトゥスを執政官に任命し、それにまつわっておきる、喜劇的で、繊細な批判がこもった、そして同時に悲劇的でもある事件も取り上げている。
「馬」は2幕から構成されている。1幕目では、カリギュラが衣裳を変え、民衆の間に混ざって賭博をすることで始まる。舞台となっている飲み屋では、変装した彼がカリギュラであることを、誰もが知っていたが、誰も怖くて誰もそれを口にしない。その日、ローマに、ひと旗挙げようとやって来た若い青年は、持っていた金と物を賭博で「あごひげ」姿の皇帝に全部、奪われる。青年の手には賭けることのできる、ただ一つの財産が残っている。インジタトゥスという名の馬である。皆がこの状況をからかい囃してたてているその時、インジタトゥスのいななく声が大きくなっていく。その瞬間、人々は茫然とした。というのも、「ローマ城壁内で、こんな馬は全くいない」のだから。
皇帝カリギュラは最後の賭けをすることを受け入れる。しかし今度は、若者の方がとても愛していた馬を賭博に賭けた自分を恥じ、賭けをやめようとする。皇帝が所持金全てと全ての稼ぎを差し出すと、若者は賭けを受け入れるが、ひとつの条件をつける。(その条件によると)皇帝は、「にせもの」だと見え透いている付け髭を取り外すことになる。インジタトゥスを一目見たときから気に入っている皇帝は、この条件を受け入れる。しかしこのとき、運は、これまで常に勝利してきた皇帝の見方ではなかった。
狂気の皇帝カリギュラは、罷免した執政官の代わりにインジタトゥスを任命する。ローマはすでにかつでのローマではなかった。人々はカリギュラの決定を問い質す勇気がなかったばかりか、馬ブームがあたり一面を席巻した。それは、カリギュラ王がインジタトゥスの結婚が必要だというと、元老院の議員たちを含む全ローマ人が娘を「馬」と結婚させるために互いに競争するほどの状態になってしまった。そして、この舞台の山場のセリフは、この嫁探しのために開催されたコンテストに参加もできなかった飲み屋の娘から発せれる。「馬と結婚するために競争する代わりに、人間らしくなりましょう」と。
舞台では、25名の俳優たちが入れ替わり立ち代わり登場する。トルガ・エヴレンはカリギュラ王を完璧に演じている。アイドゥン・シェントゥルツとメティン・ベイェンの演技は賞賛に値する。劇ではまた、カヤ・アカルス、スレイマン・アタヌセブ、オズレム・ギュヴリ・トゥルケル、セリハ・ギュネイ、ミュゲ・アルジェラルといった多くの役者が出演している。劇は今日の15時と20時、明日は15時にウスキュダル・テケル・ステージにて、10月28日から30日にはベイコズ・アフメト・ミトハト氏文化広場にて上演される。
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( 翻訳者:加園千尋・門野淑香 )
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