イスラエル報道:アメリカと中東、正しい政策とは何か?
2011年10月27日付 al-Quds al-Arabi 紙
■アメリカと中東、正しい政策とは何か?
2011年10月27日『クドゥス・アラビー』
【同日付イスラエルTODAYより訳出】
アル=カッザーフィーが殺害されたことをうけて、オバマ大統領は自信をもって以下のように述べた。「リビア人民を守り、専制君主からの解放を手助けしようと決めた我々の決断は正しいものだったとアル=カッザーフィーの死が示している。」
また、オバマ大統領はイラクからの全アメリカ軍撤退の決断についても「我々の戦略は戦争終結の点で成功をおさめた。」と述べて正当化した。その発言ののちに、「アメリカの世界における指導力の新たな発展が見られた。」とまとめたが、本当だろうか?オバマ大統領の国内政治が失敗し、とりわけ、[医療]保険制度改革関連すべてや、失業危機問題についてうまくいかない一方で、外交的政策での成功を捏造するのはどれほど安易なことか。しかし、多くの事柄がリビアやイラクの将来において混乱を招いている今、中東での成功を誇るのは誤りとなるだろう。
誰がリビアを統治するのか依然不透明である。現在選択肢を代表する二人の人物がいるのだ。一人はマフムード・ジブリール、政治学の博士号を持つ人物で、もう一人はアブドゥルハキームだ。彼は1998年ソ連と戦うためにアフガニスタンへ軍を率いた人物だ。その後イスラーム主義のリビアの戦闘員集団の指導者として活動していたが2004年にアメリカ中央情報局(CIA)に身柄を拘束され、アル=カッザーフィーに引き渡された。2010年まで刑務所にいた人物である。
両者の違いは極めて大きい。前者がアメリカから高額の奨学金を受けたのに対し、後者がCIAに逮捕された。前者が新しい欧米の体制内でリビアを統一したいと望んでいるのに対し、後者はイスラームのカリフ制復活の夢をつむいでいる。
いずれにしても、どのようにリビアにおける統治能力を維持するか、また、いかに文民指導者とここ[リビア]で活動する多くの軍の部隊との関係をまさしく保持し続けるか、はっきりしない。革命議会が今のところ国家の憲法はイスラームに基づくであろうと発表した。
イラクに関連することすべてについてもオバマ大統領の満足げな発言はジョージ・ブッシュ前大統領の過ちを思い起こさせるようだ。前大統領はイラクでの戦闘行為が終わる前に「作戦は完了した。」と述べたのだった。
アメリカ軍のイラク撤退によって、イランはイラクをコントロールし始め、実際にイランに服従させることが可能になりつつある。
イランはアメリカの警告にも関わらず、イラクの政治に関与するようになったし、未来においては更にその度合いを増すだろう。問題は、イラクはイランとの対峙を望まず、一時的に平穏な関係を望んでいる。仮に、イランのその努力が実を結んだら、オバマ大統領にとって来年の再選の可能性に大きなダメージとなるかもしれない。また、共和党員にとって「誰がイラクで負けたのか?」という問いは選挙の争点になりうる。
オバマ大統領は2007年にアメリカのイラクにおける政策は「完全な失敗だった。」と発言した。このことは、共和党員にダメージを与えた。では大統領はもしも失敗したら、今日、アメリカの大衆に何を言うだろうか?
たとえ来年のアメリカ大統領選挙までにイラクが自立的に自国の諸問題を調整することができたとしても、私見では、アメリカのイラクでの努力はアフガニスタンでのように成功するには5年か10年かかる。巨額の金銭的負担と多くの兵士の死にも関わらずである。努力は無駄になってしまった。歴史家は何が過ちかを理解しようと試みたとき、オバマ大統領のイラクからの軍撤退以後の過信を間違いなく引用するであろう。
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( 翻訳者:松尾愛 )
( 記事ID:24384 )