エジプトで「第二の革命」の様相、内閣が総辞職
2011年11月22日付 al-Hayat 紙


■エジプトで「第二の革命」の様相、内閣が総辞職

2011年11月22日『アル=ハヤート』

【カイロ:ムハンマド・サラーフ、アフマド・ラヒーム】

タハリール広場での事件、とりわけ死者の数が30人を超え、イサーム・シャラフ内閣が昨日総辞職したことを受けてエジプトの政治危機が悪化したことで、[広場に集まる]群衆は際立って増加しており、エジプトは「第二の革命」の様相を呈するに至った。

アメリカ政府が自制を呼びかけつつ、憂慮を表明したのと時を同じくして、100人以上の外交官が抗議デモ参加者の要求への支持を公表し、軍最高評議会に市民への権力移譲を訴えた。

この危機のファクターとなった当事者たちは、後戻りが難しい立場に身を置くこととなった。ムスリム同胞団を筆頭とするイスラーム勢力は、デモ隊の殺害を非難しつつも、来週に予定されている議会選挙の実施を主張、デモ隊は民政移行のタイムスケジュールを公表することと、救国政府の組閣を主張し、今日[22日]の100万人デモ開催を呼びかけている。

中東通信社がムハンマド・ヒガーズィー内閣報道官の発言として伝えたところによれば、政府は一昨晩、軍最高評議会に辞表を提出した。ヒガーズィー報道官の発言は以下の通り。「政府は軍最高評議会に辞表を委ねた。我が国の現在の困難な状況を考慮して、総辞職が確定するまでの間、政府は職務の完全な遂行を続ける」。軍最高評議会は総辞職を受け入れたと取り沙汰されている。

ワシントンではホワイトハウスが昨日、エジプトでの暴力行為に対する「強い憂慮」を表明し、全当事者に「自制」と民主化プロセスの継続を呼びかけた。カーニー大統領府報道官は「暴力行為に強い憂慮を感じ、全当事者に自制を求める」と述べて、民主化の道を「エジプトが前進し続けることが重要だ」と強調した。

この少し前には米国防省も「自制」を呼び掛け、カービー報道官が「我々はこの暴力行為に対するあらゆる憂慮を当然ながら共有しており、あらゆる当事者に自制を呼びかける」と述べつつも、米国防省としては「選挙を実施するとの軍最高評議会の意向に安心している」と強調した。

国連の潘基文事務総長は昨日、エジプト当局に対し、「平和的なデモの権利を含む、人権保護の保証」を求めた。そして「平和的で広範囲な参加を集める」選挙の実施を容易にするため、全当事者に平静を促し、「暴力に対する多大な憂慮」を表明した。

また注目すべき展開としては、100人以上のエジプト人外交官が、抗議のデモ隊への暴力を非難し、権力移譲までのタイムスケジュールの設定をはじめとする彼らの諸要求を支持するとの声明を出した。軍最高評議会が「政治活動の腐敗に関与したことが証明された人物」の立候補を禁止するとの法律を制定したことも、デモ隊の怒りを鎮めるには功を奏さず、デモ隊はその新法を「要求をごまかすための鎮静剤」とみなしている。

軍最高評議会は予定通りに選挙を実施すると明言しているが、こうした緊迫した状態で選挙プロセスを進めても、盛り上がりを欠くことになろう。だが、いくつかの政治勢力、中でもイスラーム勢力は、選挙実施を主張し、延期された場合には「第二の革命」が起きると警告している。マフムード・ガズラーン報道官によれば、ムスリム同胞団は今回の事件を選挙プロセスを中断させるための「誘導の試み」であるみなしており、「その計画に引き込まれないために」次のデモには参加しないとの決定を下した。

各県でもデモが燃え盛り、アレクサンドリア、スエズ、ダカフリーヤ、ケナ、エルミニヤ、ルクソール、アスユートでは治安局に通じる道路をデモ隊が封鎖、怒った人々がタハリールでの事件に抗議して、一部の治安局の建物に突入を試みた。アレクサンドリアの北部軍事地域指令本部前では群衆が、スエズの軍事司令官本部前では数百人がデモを行った。

こうした情勢は、今年1月に起きた民衆蜂起の第一波を想起させ、タハリール広場と内務省の建物を結ぶムハンマド・マフムード通りは、最も有名で最も危険なカイロの通りのひとつと化した。広場側から通りに入ると、「1月25日革命」の時と同じく活動を再開した野戦病院に若者の一団が負傷者を運びこむ、恐ろしい光景が広がっていた。

通りの入口に位置するカイロ・アメリカン大学の破壊された建物正面は、その一帯で激しい戦闘が繰り広げられたことを物語る。道路の表面はデモ隊が治安部隊に投石するための石で覆われている上、警察がデモ隊に発射した催涙ガスが当たって数百の隆起が出来ている。ここでは批判が声高に叫ばれ、軍最高評議会のフサイン・タンターウィー議長に対するものがその大半を占める、一線を超えたシュプレヒコールが上がっている。

デモ隊と治安部隊との間で衝突が続く、内務省の建物へと通じる道路には、一帯を満たす催涙ガスの吸入からデモ隊を守るための特別な混合物を発明した救急任務の援護隊が集結している。数十名の若者が、催涙弾の被害を予防するための、消毒液と酢を混ぜ合わせた液体を詰めた瓶を手に、展開しているのだ。

内務省にほど近いカイロ・アメリカン大学図書館の門前の破壊規模は、道路の破壊状況よりひどく、図書館の入り口は焼け焦げて、塀は煤で真っ黒になっている。破壊された車両が複数持ち込まれ、その上に乗った若者達が治安部隊に投石、車両の前にはバリケードが築かれており、それを越えると危険地帯に踏み込んだことになる。デモ隊と治安部隊との間で終日続けられている攻防戦の最中に、若者集団に踏みつけられないよう、子どもたちがそこから先に前進することは許されない。

重傷者を急いで野戦病院に運ぶため、オートバイが大量に配置されており、建物の塀は軍最高評議会を批判し、権限委譲を求めるスローガンや、警察への罵詈雑言で溢れかえっている。さらに、塀の上には偵察係の若者達が陣取っており、広場方面に後退する用意が出来るよう、治安部隊が前進してくると、地上の群衆に注意を促している。

内務省の塀から数メートルのところでは、中央治安部隊の兵士数千人が、内務省の建物への突入を防ぐべく、軍の装甲車に援護されながら臨戦態勢で集結している。ほんの数メートルしか離れていないところには、前進を諦めようとしないデモ隊の最前列がおり、催涙弾を浴びせられて散らされても、「魔法がえし」のように若者達は巧みに催涙弾を投げ返し、兵士の隊列に混乱を引き起こしている。

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( 翻訳者:山本薫 )
( 記事ID:24615 )