イスタンブルのシルエットをまた壊す、ドルマバフチェ近接14階ホテル
2011年11月25日付 Radikal 紙


ブルーモスクのミナレ(尖塔)の間から視界に飛び込んでくる高層建築。これらの建物が議論を巻き起こす中、今度はイスタンブルのベシクタシュの景観にナイフが突き刺さった。首相府オフィスそばの14階建てホテルが、ドルマバフチェ宮殿の壁を壊したのだ。

ドルマバフチェ宮殿と海軍博物館の間に残っていた歴史あるタバコ倉庫はすべて取り壊されてしまった。この建物は第3保存委員会によって2005年に「文化遺産」に登録されていた。しかしこの歴史的な建造物は同委員会による14の異なる決定の結果取り壊された。そこには14階建てのホテルが建設されたのだ。一番近くの歴史建造物の高さは18mだが、新しい建物の高さは24mに達する。ボスフォラスの景観を変えたこの建物は、エルトゥールル・ギュナイ文化歴史大臣の反対にも関わらず、建築された。ギュナイ大臣は2010年10月12日に「ボスフォラスの景観にマイナスの影響を与え、ドルマバフチェより高い建造物は作らないように」との通達を直筆で出した。保存委員会はこの通達を無視し、建物の高層化を止めなかったのだ。一方で、建設の際にドルマバフチェ宮殿の壁にひびが入ったことが今回確認された。国立宮殿管理局は(ひびの入った壁について)「倒壊の恐れあり」との報告書を提出している。イスタンブルではここ何か月もの間、ラディカル紙が報道した景観問題が取り沙汰されている。ゼイティンブルヌで建設中の超高層ビルの姿が、スルタンアフメト・モスクのミナレの間から見えるため、(ビルの)高さを減らしてほしいという声も多い。この議論が続く中、ボスフォラスの景観に直接影響する、ドルマバフチェ宮殿と首相府オフィスの隣で行われた「歴史的(建造物の)抹殺」に、人々は衝撃を受けた。

■もっと高く

1929~1930年、タバコ倉庫兼工場として建築家のヴィクター・アダマン氏によって建てられた歴史的な建物群は、この5年のうちにで鉄筋コンクリートのホテルに取って代わられた。そして最初、「ドルマバフチェ宮殿の一番北側にある、博物館として使用されている高さ18mの建物の庇(ひさし)を超えないかたちで建設するよう提案されたホテルの高さは、実際には24mに達した。ギュナイ大臣は、2010年に「ボスフォラスの景観にマイナスの影響を与えるような、ドルマバフチェ宮殿よりも高い建物にならないように」通達を出していた。この通達は保存委員会にも知らされていた。しかし委員会は建物の高さに影響する計画の変更を承認し、新たなテラスと屋上階の建設に目をつぶった。

■大臣は通達を出せない

第3保存委員会スィナン・ゲニム元委員長は、「2005年に(文化遺産として)登録された建物(たばこ倉庫)が、後から取り壊されることは正しいことではありません。しかし私は、この建物の登録自体が正しいことではなかったと考えています」と語った。「私が委員会に勤め始めたころには建物はもう取り壊されていました。そのため解体決定に私のサインはありません。大臣が委員会に通達を出すことは法に適っていません。この委員会は政府から独立しているからです。大臣にそのような権限はありません」と話した。

<中略>

■保存の決定がなされていたのに…

1988年:歴史的な建築物をホテルにする提案が初めて議題にのぼる。保存委員会は1988年4月15日に「ホテル用地がドルマバフチェ宮殿の区域内にあること」から観光施設の建設は適当でないとの決定を出した。
1989年:同委員会は「ドルマバフチェ宮殿とフェリイェ宮殿の高さを超えないならば、ホテルの建設を認め、タバコ倉庫の解体も可能」とする決定を出した。しかしこの決定は議論を呼び、実現されなかった。
1994年:保存委員会は提案される都市計画が「ドルマバフチェ宮殿の高さを超えず、宮殿と国の迎賓館の間にある海岸線の歴史的景観にふさわしい形で整備するよう」求めた。その15日後に委員会は決定を修正し、「ドルマバフチェ宮殿の博物館になっている最北部の庇(ひさし)の高さを超えないよう」決定に付け加えた。
2005年:イスタンブル第3保存委員会は全く新しい決定をくだした。その結果、建物は産業遺産であり、保存が必要な文化遺産として登録された。
2006年:保存委員会は「たばこ製品の博物館を建築し、展示場所を作り、建物がドルマバフチェ宮殿と海を向く壁が補強されるという条件で」修復計画を承認し、工事が始まった。
2007年:保存委員会は新たな決定をくだした。それは「正面の壁を崩さずに維持されるものが、ほかの方法でも保証されうるため、壊しながら建設を進めていくことがより適切なアプローチとなる」というものだ。しかし実際には正面の壁の破壊によって歴史的建物はすべて取り壊されてしまった。

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( 翻訳者:杉田直子 )
( 記事ID:24648 )