サウジアラビア、オスマン時代のカーバ神殿回廊取り壊し工事を4カ月延期
2011年11月29日付 Zaman 紙


ベキル・ボズダー副首相は、サウジアラビア政府がカーバ神殿の整備工事の着工を4か月延期したことを明らかにした。

ボズダー副首相は、アナトリア通信記者にトルコ政府とサウジアラビア政府関係者との会談でよい結果が得られたことを明らかにした。これについて「トルコのアフメト・ダヴトオール外務大臣はサウジアラビア外務大臣との会談で、オスマン朝時代に建設された柱廊の取り壊しを4か月間延長する約束を取り付けました。この間に、カーバ神殿の崇高な精神性を守るため、柱廊を壊さずに神殿周辺の土地拡張について話し合います」と述べた。

ボズダー副首相は近く、協議のためにサウジアラビアの一団がトルコを訪問する予定であることを強調し、「宗教庁の賓客としてトルコを訪問する一団は、カーバ神殿とその周辺状況をよく知る建築家、技師と、カーバ神殿を管理する担当者の方々です」と話した。

■カーバ神殿の崇高な精神性

サウジアラビア側の「タワーフ(カーバ神殿の周りを拝巡する儀式)が行われる場所に、特に巡礼期は(空間的な)余裕がない」という理由から、柱廊の取り壊しが必要であるという見解に対し、「カーバ神殿の精神性は守られるべき」としたベキル・ボズダー副首相は、「周囲の歴史的建造物を取り壊すとなると、神殿の崇高な精神性という観点から望ましくないだろうと考えています」と述べた。

また、トルコ側は、イスラム建築の専門家として知られている建築家のサーミー・アンガウィー氏も参加する技師団と、柱廊を壊さずに土地を拡張するための代替案をサウジアラビア政府へ提案する。これにはイスラム遺産研究委員会の幹部も加わる予定であり、カーバ神殿周囲の、多くはオスマン朝時代の歴史的建造物を壊さないためにトルコ政府と協力していくことになる。メッカで都市計画の分野で活躍するサウジアラビアの建築家、サーミー・アンガウィー氏は、「サウジアラビア政府の計画は自然とアッラーの神聖さと完全に矛盾しています。この計画が実現すればそのうちこの地域では高層ビル群しか見えなくなるでしょう。高層ビルやホテルで神殿が商業化するようなことがあってはなりません。巡礼ではいつも皆が平等である必要があります。国も階級も関係ありません。カーバ神殿は、このバランスを見ることのできる唯一の場所です。神殿では世俗的なものは捨て去るべきです」と述べて、取り壊し計画に反対している。

■柱廊にはスルタンと建築家スィナンの功績が残されている

柱廊というのは、カーバ神殿の周囲を取り囲み、神殿の高さを超えない小さなドームのつらなる部分をさしている。柱廊の建設は立法王スレイマン1世の時代に始められ、その設計は建築家スィナンによる。そしてスレイマン1世の息子、セリム2世の時代にも建設は継続し、ムスリムの礼拝に開放されてきた。

ここ80年でカーバ神殿の周囲では300件近い古い建築物が土地の拡張のために取り壊された。サウジアラビア政府が最近採択した方針により進められている計画では、オメル山の平地化および23万平方メートルの土地にホテル、ショッピングモール、駐車場や公共施設の建設が予定されている。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:佐藤悠香 )
( 記事ID:24693 )