シリア:アル=アサド大統領と米国ABCとのインタビュー
2011年12月08日付 al-Hayat 紙


■アル=アサド大統領:世界中の政府でその人民を殺す政府などない。狂人がその政府を率いていないのならば。

2011年12月8日 『アル=ハヤート』

【ワシントン、ダマスカス:本紙、AFP、ロイター】

 シリアのバッシャール・アル=アサド大統領は、米国の「ABC」放送局とのインタビューで、「シリアでの軍・治安部隊の蛮行の全ては、個人の振る舞いであり組織の振る舞いではない。」と述べた。同大統領はインタビューの中で、「人々はこの点を理解すべきであり・・・弾圧政策を採るということと、一部の高官が過ちを犯すということは違うのである・・・殺害せよとか、残虐に扱えとかとの命令は出されていない。」ことを明らかにした。更に、同大統領は「我々は、我らが人民を殺戮していない・・・世界に、その人民を殺害する政府など存在しない。狂人が政府を率いている場合を除くが。」と付け加えた。同大統領は、失われた人命に対し「罪悪感」ではなく「遺憾の意」を感じると述べた。これらの人命は、シリアでの暴力の結果奪われた人命である。アル=アサド大統領は、「殺戮や、野蛮な行為をせよとの命令は出されていない。」と強調した上で、「私は、(シリア軍を)私有していない。私は大統領である。私は国を私有していない。それ故、シリア軍は私の軍隊ではない。」と続けた。

 アル=アサド大統領はインタビューの中で、国連が出した結論に疑義を呈した。国連の結論とは、(シリアでの)暴力の結果4000名以上の死者が出たというものである。アル=アサド大統領は、犠牲者の大半はシリア軍と体制側の者であり、死者の中には1100名の軍・警察要員が含まれると述べた。同様に、アル=アサド大統領は国際的制裁の重要性は低いとして、シリアは民主的な諸改革を開始したと強調した。また、アル=アサド大統領は大統領の地位に留まる、なぜなら、シリア国内での自らの人気は依然として高いからだと述べた。

 アル=アサド大統領は、シリアで吹き荒れる暴力が原因に「遺憾の意」を感じるかとの質問に対し、自分は「人々の救済」のために全力を尽くしていると答えた。アル=アサド大統領は、「私が全力を上げているときに、罪悪感を感じることはありえない。あなたは失われた人命に遺憾の意を感じると言うが、自分が人々を殺していないときに罪悪感を感じることはない。それ故、問題は罪悪感に関わることではない。」と述べた。

 国連の人権評議会は、シリア情勢についての報告書を発表した。同評議会は、軍と民兵(アッ=シャッビーハ)が民間人を殺し、拷問し、恣意的に逮捕していると非難した。また、同報告書は、侵害行為は子供や女性にも及んでいると指摘した。そして、人権評議会は、シリアに対しシリア軍が「膨大かつ組織的な」侵害行為をしていると非難し、ニューヨークにある国連の政治機関が何らかの措置をとる可能性に道を開いた。

 しかしながら、アル=アサド大統領はこの非難を拒否し、米国の放送局に対し以下の通り述べた。「国連の責任者たちは、資料を提示しなかった。誰が、国連は信頼性のある機関だと言ったのだろうか。シリアは、体面を守るために国連での議論に参加した。国連は、我々が使うゲームである。これは、我々は国連を信用しないという意味である。」

 紛争の犠牲者の多くが子供だと頻繁に言われている。彼らは、抗議行動に参加していたり、その両親が抗議行動に参加していたので狙われたりしたと言われている。国連が任命した調査官は、シリア軍が11月の1カ月間だけで56名の子供を殺したと述べている。

 (インタビューアーの)バーバラ・ウォルターズ女史は、アル=アサド大統領との会見でハムザ・アル=ハティーブ君の件を問い詰めた。アル=ハティーブ君は13歳で、諸般の人権団体は去る4月に彼が射殺された上、火を付けられたと述べている。

 アル=アサド大統領は子供への拷問に関し言われている諸説について、「バーバラさん、あなたに対し正直になろう。私はあなたを信じていない。すべての蛮行は個人が犯したことであり、組織が犯したことではない。これが、あなたが知るべきことである。」と返答した。

 そして、アル=アサド大統領は「弾圧政策があるということと、一部の高官が一部過ちを犯すこととは違うことである。この違いは大きい。」と続けた。

 かつて眼科医だったアル=アサド大統領は、46歳である。同大統領は、10年以上前に父である故ハーフィズ・アル=アサドの後を継いで以来、一生シリアを率いていたいとは思わないとの発言を繰り返してきた。同大統領は、「自分が人民からの支持が衰えたと感じたならば、(権力の座に)残らないだろう。人々が留まるよう求めたとしても、そうしない。人民の支持がないならば、地位に留まってはならない。人民からの支持が低下していると感じた場合、私はここ(=大統領の座)にはいない。」と述べた。

 アル=アサド大統領は、今後諸般の改革が導入される、諸般の選挙が実施されると繰り返した。しかし、同大統領は、「変革では拙速があってはならない。我々(シリア)が民主的な国だとは言っていない・・・我々は、諸改革で前進している・・・とりわけ、最近の9カ月に・・・それには長時間かかる・・・強固な民主体制への以降は、成熟した大変な能力が必要である。」と述べた。

 アル=アサド大統領は、シリアに制裁を科そうとする国際的努力が増大している件について、「シリアにさしたる影響は出ないだろう。我々には、30年なり、35年なりの間制裁が科されている。このことは、新しいことではない・・・我々は、孤立していない。シリアには、人々が来て、去ってゆく。シリアには交易がある・・・全てがあるのだ。」と述べた。

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( 翻訳者:高岡豊 )
( 記事ID:24798 )