KCK裁判から、釈放なし―拘留中の容疑者数は104人
2011年12月12日付 Radikal 紙

PKK(クルディスタン労働者党、非合法組織)の都市部組織であると言われているKCK(クルディスタン社会連合トルコ議会)の裁判で、容疑者の拘留延長が決定され、審理は延期された。裁判では、匿名の証人「X」が、KCKと山岳地帯に拠点をおく(PKK)メンバーとに結び付く情報を提供している。

ディヤルバクル第6重罪裁判所における裁判の午後からの審理には、欠席の旨を連絡していた1人の拘留中の容疑者を除く、103名の拘留中の容疑者が出席した。

審理で弁論した容疑者の弁護士たちは、電話の聴取から判明した匿名の人々の氏名を公開すること、また、彼らが容疑者に近しい人々であり、そして彼らに関して聴取の決定がなされていなければ、証拠として提出されたこれらの聴取の内容を裁判記録から外すことを要求した。

判事団は、弁護士たちのこの要求を棄却した。

裁判では、その後、容疑者のうちイフサン・セヴィテクとアブドゥッラヒム・タンルヴェルディに関する、匿名の証人の供述調書に記載された証言が読まれた。(これにおいて)裁判記録に記された「X」という名の匿名の証人の供述調書が読まれた。この証人の供述では、クルディスタン社会連合/トルコ議会(KCK/TM)が、平和民主党(BDP)、自治体、そしていくつかの労働組合において権限を行使していたこと、また、KCK/TMの組織形成に従事する人々は、結婚と家庭をもつことが禁止されていることが明らかにされた。

また証人Xの供述書では、「KCK/TMの形成を担っていた人々は、組織の存在が公になると、郊外に逃れ、組織の上層部で責務についる。かつてディヤルバクル広域市の市長を務めたフェリデゥン・チェリキは、2002年にアブドゥッラー・オジャランの兄弟であるオスマン・オジャランに対して、(市の)会計から7兆(100万分の1のデノミネーションが行われる前の値)もの金を融通した。BDPが影響力を持つ自治体によって行われる入札は、KCKの指導のもとつくられた会社に委託された。さらに徴税という名のもとに、実業家たちから金が集められている」と述べられた。

匿名の証人「X」と「メルジェク」の供述書が読まれた後、容疑者のうち、セヴィテクとタンルヴェルディが陳述を行った。容疑者たちが被告人弁論において、クルド語で罪状を否認したところ、途中でマイクが切られた。

容疑者の弁護士たちは、依頼人(被告である容疑者)がクルド語で弁論をすることに対して許可が与えられなかったことを指し、通訳をつけることを求めた。容疑者の弁護士たちは、これとは別に、これら匿名の証人の供述は非常に抽象的であり、証拠として採用されえないとの見解を示した。

弁護士のうち、メスト・ベシュタシュ氏は、フェリドゥン・チェリキに関する匿名の証人の供述ついて言及し、「トルコで最も多く監査されている自治体は、ディヤルバクル広域市です。今現在でさえ監査員たちがいます。(彼らはいつでも)財務省と首相府に調査書を提出することができます。(自治体の金がKCKに流用されたと言われている)当時、4年間の予算でさえ7兆もありませんでした。抽象的な供述書をもとに裁判は行えません。匿名の証人による供述が、証拠として採用されないことを望みます」と述べた。

また容疑者のマイクが途中で切られた理由を裁判記録に記載するよう求めたフラト・エピョズデミル弁護士の要求に対して、メンデレス・ユルマズ裁判長は、「我々は、彼らがクルド語で話したのでマイクを切ったのだ。これを裁判記録に記載しよう」と述べた。これに対して、エピョズデミル弁護士が、以前は「不明な言語」と表現されていた言語が、クルド語であると明言されたことは良い進歩であると述べると、ユルマズ裁判長は、「我々はクルド語について、いついかなる時も不明な言語と述べたことはない。我々の知らない言語だと言ったのだ」と返答した。

この後、ビンギョル刑務所に拘留されている事件の容疑者17人を、ディヤルバクル刑務所に移送するための申請書が提出された。

審理に関する最後の質問を行った、ディヤルバクル弁護士会のメフメト・エミン・アクタル会長は、クルド語で書いてあることを理由に、依頼人(容疑者)たちの申請書は目も通されずに返却されたと主張した。

アクタル会長は、社会の名において裁判が行われるのであれば、社会における全ての人の自由も考慮されなければならないとし、以下のように述べた:

「証拠を集めることができなかったのに、何によって裁判をするのですか?(証拠を)集めたのなら、なぜ拘留したまま裁くのですか?裁判所の決定のない聴取は、違法です。(証人との)会話の大部分はクルド語です。訳は信頼できるのですか?できないのですか?私たちは知りません。中立的な専門家によって訳されることを求めます。刑務所にいる女性の依頼人(容疑者)のうち3人が1つのベッドで寝ています。あなた方は、1000日間拘留されている全ての容疑者について、個別に釈放されない理由を明らかにしなければなりません。現在、あなた方の目の前には3人の国会議員がいます。そのうちの1人の議員の議員資格は、行政上の決定によりはく奪されました。あなたがたは社会の名において判決を下しますが、一方で社会は、この国会議員たちを立法権の行使のために選んだのです。我々は、全ての容疑者たちが釈放されることを求めます。」
これに対し検察は、容疑者たちの拘留継続の決定を要求した。

判事団は、短い休憩時間をとった後、拘留中の容疑者の拘留状態を継続すること、ディヤルバクル以外の場所にいる容疑者たちを裁判の1日前にディヤルバクルに移送するために拘留されている場所に対して書面が作成されること、この件に関して逮捕状のでている容疑者の逮捕が待たれていること、そして、ギリシャで逮捕されたことが明らかになったムスタファ・サルカヤの(トルコへの)送還に関する進捗状況について書面が作成されること、更に、審理を延期することを決定した。

■求刑

ディヤルバクル県共和国検察当局によって準備された7,578ページにわたる起訴状では、無所属議員として選ばれたセルマ・ウルマクとケマル・アクタシュ、そして高等選挙委員会(YSK)によって国会議員資格を剥奪されたハティプ・ディジェレを含む152の容疑者(うち104名が拘束中)について、「国家の統一性と全体性の破壊」、「テロ組織のメンバーであり執行部の一員であること」、そして、「テロ組織に対する支援とその温床の提供」の罪によって、15年の懲役から加重された終身刑の刑罰を求めている。

起訴状では、この件に対して逮捕状のでているテロ組織PKKの、いわゆるヨーロッパの責任者であるサブリ・オクが第一容疑者とされており、解党された民主社会党(DTP)の28人の元幹部と、ディヤルバクル広域市のオスマン・バイデミル市長を含む12の自治体の長、2人の県議会議長と2人の地方議会の議員が容疑者としてあげられている。

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( 翻訳者:能勢美紀 )
( 記事ID:24826 )