機械エンジニアのサビト・アテシュ氏による大胆なプロジェクトがある:イスタンブルのボスフォラス海峡を借り上げ、水流で発電事業を行うというものだ。アテシュ氏はプロジェクト実現のため国会まで乗り込んだが、予備調査の結果、プロジェクトは実現不可能であることがわかった。
名優ケマル・スナル主演の映画「En Büyük Şaban」のワンシーンで、初めてイスタンブルにやってきた生粋の田舎者シャーバンは、抜け目のない商人よりボスフォラス大橋を購入する。観客を沸かせたこのシーンが現実のものとなったのだ。どのように?イスタンブル工科大学(İTÜ)卒の機械エンジニアであるサビト・アテシュ氏は、ボスフォラスの清流を求めてボスフォラス海峡を借り上げ、水流を用いた発電事業を目指したのだ。アテシュ氏は、このプロジェクトに13年間取り組み、原発2基分の発電が可能であると試算した。彼は、関連機関と打ち合わせを行ったものの望みはかなわなかった。アテシュ氏は、関連機関の説得及びプロジェクト実現にむけた支援取り付けのため、国会へ陳情をし活路を見出そうとした。しかしながら、国会からも否定的な返答がきたという。
アテシュ氏は、何年も取り組んできたプロジェクトをまず首相府に売り込んだ。首相府はプロジェクトの実現の可能性を探るため、この件を科学産業技術省、エネルギー天然資源省、国有不動産総局に通達した。イスタンブル欧州側の国有不動産局は、アテシュ氏と議論を重ねプロジェクトの理解に努めた。アテシュ氏は関係者より、「プロジェクトの予備調査を行うので、結論が出たら連絡します」との回答を貰い、待つことになった。(しかし)望んだ結果を得られず、今度は国会にプロジェクトを持ち込んだ。国会での説得に向け、「本プロジェクトは、原発2基相当の発電能力(8000M.V/h)を持つと期待される。ボスフォラス海峡でのタービンの導入コストは、原発1台のそれよりも低い。タービンの輸入・設置に要する期間は、原発のそれと比べかなり短い。現在のトルコ全発電量の3分の1を賄うことが可能になるのだ」といった訴えを行った。
国会でボスフォラス海峡の借り上げを議題に取り上げて欲しいアテシュ氏は、「私の要望に対し可否の返答を得られないまま6か月が過ぎた。それにより我々の損失も膨れあがっている。トルコにとっても多大なる損失だ」と陳情を行った。国会陳情委員会は、陳情を検討したが本件を国会で取り扱うことはない旨回答した。
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( 翻訳者:山根卓朗 )
( 記事ID:25465 )