Eyup Can コラム:「国家諜報機構幹部を検察が事情聴取」への解説
2012年02月09日付 Radikal 紙

政府は、国家諜報機構(MIT)への捜査を許可するか、MITを庇護し警察や司法幹部を攻撃させるかの選択を迫られている。

目が回る展開・・・。
昨日(8日)アンカラ・イスタンブルでおきたことをうけ、ビュレト・アルンチ副首相は、「KCK組織のなかにこの3人が容疑者として含まれるなど、どうやっても説明できない」といった。副首相が説明できないようなことを、我々新聞記者が説明できるだろうか?
おそらく、この3人の詳細と背後にあったことも・・・。
しかし、あたり一面、騒然としている!
今日、KCK捜査の一環で「容疑者」としてイスタンブルの特別権限検察官に事情聴取を求められた3人は諜報機関の重要人物だ。
MIT事務次官のハーカン・フィダン氏、元事務次官のエムレ・タネル氏、元副事務次官のアフェト・ギュネシュ氏。
軍の退役司令官や、元参謀総長らまでがエルゲネコン裁判で逮捕され裁判を受けている状況で、MIT事務次官が容疑者として事情聴取に呼ばれたことは、法的にみれば普通のことかもしれないが、政治的にみたら、そう普通のことではありえない。

それは2つの面からだ。

一つは、ノルウェーのオスロでMITがPKKと長い間交渉を続けたことは、政治的な判断の結果であるという点だ。それゆえ、MIT事務次官が容疑者として事情聴取に呼ばれたことは、それは一見法的なことにみえても、結果は政治的な問題となる。なぜならKCK捜査をめぐる対立は、一見安全保障にかかわる(警察とMITという)2機構の対立のようにみえて、その根底には、クルド問題の解決をめぐる2つの異なるアプローチの対立があるからだ。
問題は、この2つのアプローチのいずれもが、AKP政府によって行われていたことだ。
最初に、「クルド問題解決策」政策が行われ、次に安全問題がきた。それゆえ、MITと警察・司法がこの面で対立するのは、官僚機構の対立というより、政府が政治的な意味でひとつの分岐点にきたことを意味している。

二つ目は、KCK捜査を行っている検察官らは、MITがPKKに単なる諜報活動として接触しているのではなく、より堕落した関係をもっていいると信じているという点だ。これも、KCK捜査を指揮する警察や司法を、MITに対立させる要素となっている。
その根拠は?
それは、KCK捜査で逮捕された一部の容疑者が、MITとPKKの関係に関して衝撃的な証言をしたり、KCKメンバーとして逮捕してみたらMITの諜報員だったりしたことだ。
警察が行う捜査の一部が、MIT内の一部の勢力によりPKKに渡されていたということさえ囁かれている。
つまり、警察や司法のMITに対する信頼の喪失は頂点に達している。

これらすべての主張が本当かどうかは、捜査の結果、明らかになるだろう。
しかし、この捜査は、ありふれた捜査などというものではない。
剣は抜かれてしまった。
各主張は、深刻だ。
ここで起きていることは、政治的にみれば、一言でいって「悲惨」。
結果がどうなるか、わかっている人はいない!
事務次官が事情聴取に呼ばれた日、警察のKCK捜査班は、2人の支部局長に対する捜査を始めた。
諜報局支部局長エロル・デミルハンとテロ対策支部局長ユルト・アタユンは解任された。
このため、アルンチ副首相さえ、この出来事に「説明ができない」といったのだ。

よく考えれば、賢い説明はできるが、しかし前述のように、あたりは騒然としている。
この状況下で、政府には、KCK捜査の一環でMITへ捜査の手がのびることを認めるか、あるいは、MITを擁護しこの捜査を指揮した警察と司法メンバーを攻撃するかしか手はない。
現時点では後者の可能性が強い。

さて、このあとどうなるのか?

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( 翻訳者:トルコ語メディア翻訳班 )
( 記事ID:25498 )