Fikret Bila コラム:エルドアン首相、MIT幹部擁護を鮮明に
2012年02月11日付 Milliyet 紙

予想されていたことだが、レジェプ・タイイプ・エルドアン首相が擁護攻撃を行った。国家諜報機構(MİT)の事務次官ならびに職員に対するテロ犯罪、組織犯罪容疑の捜査について、首相権限によって法改正案が議会に提出されたのだ。
こうしてエルドアン首相はまたもやハーカン・フィダン事務次官のバックに立った。首相は、必要ならば法律をつくる、しかしフィダン事務次官は渡さないと述べ、断固とした姿勢を示している。
特別検察はすでにフィダン事務次官や他のMİT職員の捜査を始めているが、この案が法制化したあかつきには、捜査遂行にエルドアン首相の許可を求めることとなる。
そしてエルドアン首相が許可を下さないだろうことはまったく想像に難くない。

■任命権者

首相の出した法案における庇護対象者には、MİT職員のみならず、「首相が職務を与える人たち」も含まれている。
フィダン事務次官がオスロで任務についていた時にその身分が保証されていたように、今後、同様のポストを任される人間についても、この法案は対象としているのだ。

■国家評議会という選択肢

さて、エルドアン首相がフィダン事務次官と政友を庇護するために行う法改正は、本当に庇護を保証するものだろうか?
捜査がすでに始まっている以上、検察は首相の許可を得ずとも捜査続行可能であると主張する法律専門家もいる。
しかし、この案が法制化される際、過去に遡ってこれを適用させる文言が盛り込まれれば、検察側は許可を求める以外に道はない。ただ、首相が捜査を許さなかったとしても、それは最終決定の意味を持つものではない。
なぜならエルドアン首相が法案を盾に取ってこのように決議した場合、対する検察側には国家評議会に持ち込むという道もあるからだ。検察側は国家評議会に建議し、捜査不許可の決定の無効化を求めることができる。最終決定は国家評議会当局が下すことになる。

■バシュブー元参謀総長やエルゲネコンには影響せず

議会に提出された改正法案は、もっぱらMİT法の改正を見越んだものであり、逮捕されたバシュブー元参謀総長や、テロ組織であるエルゲネコン、バルヨズ事件などの訴訟による逮捕判決には影響しない。
また、今回の法改正は、刑事裁判法(CMK)第250条には及ばないため、他の職員に関しては保護を保証しない。

■政治的意味合い

今回エルドアン首相がMİTのハーカン・フィダン事務次官を擁護するために行った法改正攻撃は、政治的意な味合いももっている。
フィダン事務次官は、エルドアン首相から権限と任務を与えられ、オスロでテロ組織PKKとの交渉を取り仕切っていた人物だ。
フィダン事務次が首相命令により職務を遂行したのであれば、その政治責任はエルドアン首相に帰する。エルドアン首相はこの責任から、フィダン事務次官への捜査に自身の許可を必要とさせることで、「私の命令を遂行したのだから、彼には責任がない」というメッセージを発したのである。国家評議会に持ち込むという選択肢がありながら、首相はフィダン事務次官を庇護下に置いた。このことの政治的意味合いとしては、PKKとの交渉がさらに長引くことがあるだろう。

■フィダン事務次官には時間稼ぎ

エルドアン首相の法案が法制化されるまでは現行の法律の文言が有効である。
イスタンブル特別検察が、退官した他のMİT職員について逮捕を決める一方で、フィダン事務次官についてはアンカラ特別検察が供述をとることが決定し、その方向でアンカラ特別検察に文書が送られた。
この決定はハーカン・フィダンMİT事務次官にとっては時間稼ぎとなった。イスタンブルからの文書を受けとったアンカラ特別検察は、フィダン事務次官のために日取りを決め、召喚するからだ。
それまでに今回の提出案が法制化されれば、フィダン事務次官の供述を得るためにはエルドアン首相の許可が必要となる。

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:25515 )