イスラエル報道:大衆のためのウラニウム
2012年02月16日付 al-Quds al-Arabi 紙
■イスラエル報道:大衆のためのウラニウム
2012年02月16日『クドゥス・アラビー』
【同日付:マアリヴ紙より訳出】
テヘランの小さな原子炉で、イラン社会の消えゆく炎を前に国力を鼓舞するために、テレビ制作が行われた。
イランは、銀行からお金を引き出す市民の長蛇の列がみられたり、数週間で通貨の価値が50パーセント下がるなどの、破たんした経済の国家である。このようなひどい状況下で、イランは、国内の国民の共感を巻き起こすことを狙った画像を制作した。原子炉の壇上にいる男性の集団が白衣の[研究者たちの]栄光について長い歌を歌ったり、遠心分離器のスイッチを押し、核を得るための神聖な試みを賞賛する殉教者たちの家族、遠心分離器のために生涯を捧げた人達から賞賛の的になっている学者たちの画像である。
国内製造の精緻な遠心分離器や燃料棒に関する報道自体は、欧米の誰をも驚かせるものではなかったと言われている。イランは、[余裕で]上から放尿をしているかのように見せようとした。しかし報道は、国内のターゲットに対し古いニュースを再構築したかのようだった。一方、本当に仰天させられ、最も注意をひくに値するのは、イラン大統領による扇動的で断固とした闘争の論調である。アフマディー・ネジャード大統領は、米国やその同盟国に対し「腐敗していること」を、バラク・オバマ大統領のいつもの語法である「机上のオプション」とともに示そうと、毎日しているわけではない。イラン大統領はアメリカについて「アメリカ人はおいはぎだ。彼らは、自分たち以外の、あらゆる国家が前進することを望まない。」と粗野にいつも話しているというわけでもない。イランの核燃料の製造を彼らが禁止しようとしているのを非難しているのである。
イラン大統領は「私は彼らに警告する。彼らが、我々に核燃料を与えないと言った時、私は彼らに『これは大変な誤りだ。』と述べた。イランは自国で核燃料を製造するだろう。」と語った。この誇示はその一部は真実であり、別の部分は誇張であり、残りは嘘である。この発言は強さではなく弱さを示している。イラン指導部における激しい緊張の証拠に、イスラエルを標的にした作戦の失敗に起因する重大な局面に、ここ数日指導部が専念していることがあげられる。
窮迫状況下にあるイランは、インドとの不名誉な条約への調印準備をするに至るまで、不安定な経済状況に懸念を抱いている。その条約は、もはや欧米が買おうとしない、イラン固有の石油と引き換えにルピーでイランに支払いをすることを規定している。“ルピーで”である。インドの通貨と交換することを受け入れる意味は、イランは、ルピーを使い、インドだけから商品を購入することを、危険な枷として余儀なくされるということである。このようにイランは今後、中国とインドを筆頭としたアジアの大国が、自分たちから巻き上げ、世界における自分たちの孤立を利用し始めた手法を認識するだろう。ところがこのような不名誉な、略奪的な取引でさえ、ニューデリーやバンコクでおきた緊張のせいで今週はあやうくなった。あるいはイラン人は、[余裕で]上から放尿をしているのかもしれない。しかしながら根本的には、彼らは不安を表出しているのである。
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( 翻訳者:松尾愛 )
( 記事ID:25585 )