映画「征服1453」公開はじまる―概ね、好評
2012年02月17日付 Milliyet 紙


予告編が大いに関心を呼ぶ中、ギリシャ人やキリスト教徒から大反発が起こった「征服1453」について、評論家たちは概ね高い評価をつけた。

ァルク・アクソイ、セルヴェト・アクソイ、そしてアイシェ・ゲルメンが制作し、ファルク・アクソイが監督を務めた「征服1453」は、約3年の製作期間を経て、昨日(2月16日)14:53に全国で公開が始まった。プレミア試写会や映画評論家向けの試写会がなかった本作品を、昨日監督のファティヒ・アクソイを初めとしたすべての俳優スタッフと、映画ファンがともに初めて観賞した。ニシャンタシュ・シティにあるシティライフ映画館の2会場で初めて上映された本作品は、大いに関心を呼んだ。

「征服1453」のサプライズ・ゲストは、以前ファティヒ・アクソイと「レジェプ・イヴェディキ」シリーズにかかわったコメディアンのシャハン・キョクバカルであった。アクソイ氏は、上映後、横に並んでポーズをとったギョクバカルに「シャハンは私の子供、私のチームのメンバーなので今日ここに来てもらいました。」と感謝の言葉を述べた。名高きコメディアンであるシャハンは、「私こそありがとうございます。非常に光栄です。素晴らしい映画を見させていただきました。莫大な製作費がかかったことはどこから見ても明らかです。息つく間もない160分の映画でした。この映画に尽力なさった方々をたたえます。この映画は映画界の発展に寄与することになるでしょう。」とコメントした。

■4000名の候補者から見つけた

アクソイ氏は、記者の「この映画ではなぜ無名の俳優を起用したのですか?」との問いに、「雑誌をにぎわすような有名な俳優たちとこの映画を製作することは望んでいませんでした。このプロジェクトや映画の現実感を損ねる恐れがあったからです。そのため無名の俳優たちで作ることにしたのです。配役には苦労しました。主要な10名の登場人物を決めるために、6か月間で4000人の候補者と会いました。今日ご覧になっている俳優たちは4000人の中から選ばれたのです。長い下積みを経験した人たちです。」と答えた。
製作者兼監督のファルク・アクソイ氏は、障害のある観客のことを考え、いくつかの県の一部映画館では、トルコ語の字幕をつけ、こうした上映のやり方において先駆をなした。

■上映館数は史上最多

これまでのトルコの映画史上、最多の上映館数を記録した本作品は、フェルドゥン・エメジャン教授、ヒュルヤ・テズジャン助教授、ギュルギュン・キョルオール教授と研究者で作家のアデム・サラチ氏が(時代考証などの)制作協力を行った。

■映画評論家たちの評価は?

【アッティラ・ドルソイ(サバフ紙)】
「かなり成功した作品」
全体的に良かった。特に後半は前半よりも格段にいい。包囲と征服のあらゆる緊張が、その興奮を示しているし、どのへんに力を入れて制作したのかを物語っている。ナショナリスティックな部分がもう少し少ない方がよかったし、たとえば扱っている正教やカトリック世界について、もっと多くの情報が盛り込まれているとよかった。しかしこのままでも十分に成功の作品だ。

【セルダル・アクビュユク(スター紙)】
「興行収益は期待できる」
期待していたより良かったといえる。戦闘シーンはロード・オブ・ザ・リングやトロイといった映画を超える作品だ。この意味で考えるとトルコ映画におけるファンタジー映画の新たな出発点となる作品と言える。高度な撮影技術がなければ、私はこれほど称賛することはなかったでしょう。ウルバトゥル・ハサンのキャラクターもすごくいい。我々の歴史には、こんな解釈をされるキャラクターが必要だった。興行収益は期待できる。」

【アルペル・トゥルグト(ジュムフリエト紙)】
「期待以上だ」
期待以上だが、どのような期待だったのか。それはヴィジュアル的な意味での期待だった。セリフが増え、脇役が増えれば期待は下がるが、切符の売り上げ(前売り)が好調だったので、みなそのヴィジュアルをもとめて見に行くことになるはずだ。戦闘シーンが考えていたより良かった。ラブストーリーを盛り込んだなら、映画のタイトルは「1453」でなく「ウルバトゥル・ハサンと恋人」でもよかったのに。

【ミリイェット紙映画評論家 ニル・クラルの評価】
「愛がちりばめられた征服の物語」
 イスタンブル征服は、トルコでいままであまり取り上げられなかった「歴史的叙事詩」の一例として注目され、多くの予算を投入されて制作され、完成した作品である。映画『狂った教室』や『緑の光』の監督、『レジェプ・イヴェディキ』の製作者を務めたファルク・アクソイは、今日400以上の映画館で公開される『征服1453』で、イスタンブルが征服者スルタン・メフメト(メフメト2世)によって征服されたことを、激しい戦闘シーンや、後半のラブストーリー、ゆるぎない決意と言ったコンセプトを通して説明している。
 預言者ムハンマドの、コンスタンティノープル征服に関係してくる言葉から始まる映画は、メフメト2世(デヴリン・エヴィン)が二度目の即位を果たす場面が次に続く。一度玉座から降りたために、民衆や軍の信頼を苦労しながらも得たメフメト2世は、オスマン帝国の発展にはコンスタンティノープルの征服が必要だとし、政治的・軍事的な準備を始める。並行して進むラブストーリーでは最初からずっとメフメト2世の傍らにいることで出世し、征服の際は重要な役割を果たすウルバトゥル・ハサン(イブラヒム・チェリッコル)が、征服のために比類なき大砲をつくるウルバンヌ(エルドアン・アイデミル)の娘エラ(ディレキ・セルベスト)に恋をする。

 包囲の際、援軍のためコンスタンティノープルにやってきたショバルイェ・グウィスティアーニ(ジェンギズ・ジョシュクン)もエラに好意を寄せる。このことが、征服の際にウルバトゥル・ハサンとグィスティアーニを対決させることになる。ラブストーリーは映画の中でかなりの割合を占める一方、コンスタンティノープルを守ろうと動くビザンツと全力で戦闘準備をしたオスマン軍が、城壁をめぐって大きな戦闘に入る。イスタンブルの征服によって終わる本作品は、この戦いの物語を160分の間、緩急自在のテンポを操りながら説明していく。

 『征服1453』は、作品としては国際的な作品レベルには届いていない。オスマン帝国の発展期から始まる本作品は、ウルバトゥル・ハサンとエラの恋に焦点を当てる一方で、歴史的な視点を失ってしまっている。本作品は、いくつかの接近した戦闘シーンによって、トルコにおける一般的な超大作の水準の上を行っているかもしれない。だが町中の映像や特殊効果シーンでは、スピード感を持たせているとは言い難い。歴史認識の観点からは、一つのシーンを除いて、流行おくれの「ビザンツ嫌い」の域を出ていない。

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( 翻訳者:杉田直子 )
( 記事ID:25592 )