「ギュレン教団とエルドアン首相の軋轢」の噂の経済的影響は?―エコノミスト誌記事
2012年02月24日付 Radikal 紙
ギュレン師(右)と、若き日のエルドアン首相
レジェプ・タイイプ・エルドアン首相とギュレン教団の間に噂される「軋轢」に関する議論に、エコノミスト誌も参加した。
英エコノミスト誌は「エルドアン・トルコ首相は国内外で新たな敵に直面している」とした包括的な分析でエルドアン首相が「第一ラウンドで勝利したように見えても、ギュレン教団との軋轢は政治の今後に大きな影響を及ぼしかねない」と主張した。同誌は「公正発展党(AKP)内における、エルドアン首相の有望な後継者がギュレン教団へ渡る」という主張も掲載した。週刊エコノミスト誌は最新号で「トルコの内輪もめ」と題する包括的な分析(記事)で「エルドアン・トルコ首相は国内外で新たな敵に直面している」との見出しを用いた。
エコノミスト誌は、エルドアン首相が九年間で「容易に次から次へと勝利したこと、三期連続で総選挙に勝利したこと、そしてその都度得票数が増加していること」を指摘し、トルコ経済が今日までに財政危機の傷を受けずに抜け出たこと、そして、EU加盟交渉は停滞しているにせよ、アメリカとの関係においては「黄金時代」にあるとした。
■「軋轢はエルドアン首相の政治的運命に影響を与えかねない」
これに対し、「しかし、エルドアン首相とトルコの最も活発なイスラーム運動の間にある醜い内輪もめを考慮に入れるなら、状況はそれほどバラ色ではない」と論じた上で、国家諜報機構(MIT)を巡る危機に言及した分析でMIT法の改正により、首相が承認した場合のみ上層部を裁くことが可能となったことに注意を促した。分析は次のように続けられた。
「エルドアン首相が第一ラウンドで勝利したように見えても、軋轢は政治の今後に大きく影響を与えかねない。なぜなら、ギュレン教団は支持を取りやめる可能性があからだ。またエルドアン首相の健康問題も事を更に複雑にしている」と論じられた。エコノミスト誌は、エルドアン首相の「AKP内における後継者がギュレン教団に移る」と主張し、「和解は両者の利益にかかっているだろう」と述べた。「ギュレン教団とAKPは軍に対し同様のスタンスを取っているものの、何百人もの将校が刑務所に入れられてクーデターの脅威がなくなった現在、同盟関係は弱まっている」とするエコノミスト誌は、これは恐らく「権力問題」に端を発しており、エルドアン首相は教団側が必要以上のものを要求していると考えていると論じた。分析は以下のように続けられた。
「MITの件に関する不和より前にも、エルドアン首相はトルコのイメージを損なう記者の逮捕を懸念していたと言われている。現在、少なくとも70名(の記者)が刑務所に入れられているが、多くの者は不確かな証拠によってテロ犯罪の廉で収容されている。そのうちの数人、特にアフメト・シュク氏とネディム・シェネル氏はギュレン教団を厳しく批判していた。」
「エルドアン首相の民主主義に関する経歴もそれほど輝かしいものではない」
エコノミスト誌はこれに対し、「とはいえ、エルドアン首相自身の民主主義に関する経歴もそれ程輝かしいものではない」と主張する一方、「何百人もの学生がダムプロジェクトに対する抗議というような「罪」によって裁かれたり、刑務所に入れられたりしている」と述べた。記者らに対する圧力やウルドゥレ事件にも言及した分析では、 エルドアン首相がMİT長官を守るために法案を早急に議会で可決させる一方、テロ対策法の改正についてはなんら行動を起こしていないとするケマル・クルチダルオールCHP党首の批判も取り上げられた。
英誌は、新憲法に関し進展がないことを「懸念材料」とする一方、 「エルドアン首相の強力な首相公選制の導入について未だ不安が残る」とした。「最も大きなクルド政党の同意を得ずに(クルド問題解決の)プロセスを完了することは難しいようにみえる。」と主張した同誌は、「エルドアン首相は、クルド政党が世論の前でクルド労働者党(PKK)を拒絶しない限り、彼らとの話し合いには乗り気ではない。しかしながら、フィダンMİT長官の部下らは昨年の夏まで秘密裏にPKKと協議を重ねていたのである」と記した。
エコノミスト誌はシリアもまた別の懸念材料となっていると述べ、アフメト・ダヴトオール外相が、米国が(この問題に)介入するようカウンターパートのヒラリー・クリントン国務長官に「ロビー活動」を行ったとされるとした。
分析では、アサドシリア大統領が権力の座に留まる限り、トルコに対し(軍事)行動を取るリスクは増すと論じられる一方、アサド大統領がPKKを支持する可能性、あるいはトルコにおけるアレヴィーの間で混乱を起こそうと扇動する可能性について述べられた。エコノミスト誌は分析を次のように締めくくった。
経済に関わる懸念
「さらに経済に関する懸念がある。お隣のギリシャと比べ、トルコは輝いているように見える。財政赤字は年間国内総生産(GSYH)の2%以下、公債はたった40%レベルで、2011年のGSYHは8%近く増えた。しかし、GSYHの10%を超えた経常収支赤字は大幅に拡大しそうな様相を呈しており、トルコ経済は現在、非常に明らかに減速している。エルドアン首相の次の闘い(第2ラウンド)は最も過酷なものになるかもしれない。」
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( 翻訳者:細谷和代 )
( 記事ID:25672 )