社説:ベンガジの独立とその支持者たち
2012年03月16日付 al-Quds al-Arabi 紙


■社説:ベンガジの独立とその支持者たち

2012年03月16日『クドゥス・アラビー』

ベンガジで昨日[15日に] 連邦制の支持者たちとそれに反対している人たちとの間で起きた血みどろの衝突は、リビアが現在経験している崩壊状況を反映している。その状況は、武装民兵組織や、武器の拡散や国民的和解の不在や国内の諸問題をムアンマル・アル=カッザーフィー政権崩壊後の後を継いで国を経営し、平和な領土へと変えるとされる中央政府や移行国民評議会の弱さに起因する。

キレナイカ[アラビア語ではBarqa]地区の連邦制統治という宣言の支持者たちは、歴史を遡ろうとしている。つまり、第二次世界大戦で勝利した3つの勢力がリビアを支配する3つの州に分割された1943年のようにということである。具体的には、イギリスがキレナイカを、フランスがフェッザーンを、アメリカがトリポリタニア[アラビア語ではṬarābulus]が支配した状況を指す。

連邦主義の唱道者たちは、キレナイカの豊富な石油資源を独占したがっているのである。キレナイカの石油資源は、世界的な需要のあるこの商品[石油]の、リビアの埋蔵量の最大多数を形成している。連邦制の唱道者たちは、湾岸の諸首長国のような石油首長国の形成や徐々にリビアの残りの地域から分離することを望んでいる。

連邦制を主張する者たちが、彼ら自身は国家を分割しようとしていないと断言していることは事実である。彼らは、国防や外交問題については中央政府に任せると述べている。しかし、彼らはまた、彼ら自身を西部のトリポリタニアや南部のフェッザーンの2つの地域とは異なっていて、彼ら特有の文化的アイデンティティーを享受しているとみなしていて、地域主義的・部族主義的な区別の見地に立った出発点から[考えを]発しているのも事実である。

この連邦主義の呼びかけは、連邦制呼びかけの存在が予期されていなかったことに加え、非常に尚早になされた点で驚きである。新生国家の諸機関はまだ組織されておらず、中央政府のリビア領土の支配はまだ弱く、不完全である。新憲法はまだ起草されておらず、大統領選も議会選挙も同様である。

驚きの要素は、こういった状況で、キレナイカをほかの二つの州から分離する準備について、思い付きではなく、数年来続いた事前の準備による産物だということを確認している。たとえ、一貫した活動が閉ざされたドアの後ろで行われていたとしても、おそらくリビア革命勃発以前からの活動があったとしても、ベンガジの約5千人を集めることや長を選ぶことは容易ではない。

我々は、連邦制唱道者たちの努力がやむとも、彼らのこの考えが消えるとも思わない。リビアは今、分岐点に立っている。全ての可能性が開かれている。このことは、イラクの連邦制が到達したもの、具体的には、国家の宗派的民族的分割が国全体を弱体化させ、紛争と中央集権国家の破壊の礎となったことを思い起こさせるのに十分である。北部のクルド人地域は完全に独立した国家となった。そこには国旗があり、政府があり、空港があり国歌や言語があり、連邦国家の国旗を目にすることは殆どない。

キレナイカの直接的・間接的な独立は、他の州から石油資源を奪い、石油資源の一つの地域での蓄積をもたらす。たとえこの考えを連邦主義の思想の持ち主らが言葉の上で否定したとしてもである。全ての者の権利を損なうことにおいて、(リビア分裂により)権利を損なわれる全ての者は、革命に参加し、数千人の犠牲者を出した。彼らに報いるのは、利己的で恩知らずなこのようなやり方(=連邦制)ではない。

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( 翻訳者:松尾愛 )
( 記事ID:25834 )