スペイン元首相、サウジアラビアにはアラブの春をイスラーム化させる戦略的計画があると明言
2012年03月16日付 al-Quds al-Arabi 紙


■スペイン元首相、サウジアラビアにはアラブの春をイスラーム化させる戦略的計画があると明言する。

2012年03月16日『クドゥス・アラビー』

【マドリード(本紙):フサイン・マジュドゥービー】

スペインのフェリーペ・ゴンサーレス元首相は、EUがアラブの春において、いかなる民主化支援での役割も果たしていないと述べた。同氏は、アラブの春をイスラーム化させることを意図してサラフィー運動に資金提供し、強化させようというサウジアラビアが果たしている地政学的役割について警告した。

このベテラン政治家の声明は、今週水曜日[14日]に、政治家で思想家であるアルジェリア系フランス人のサミール・ナーイルの『チュニジアの教訓--マフィア的権力の尊厳がいかに崩落したか』というタイトルの本の紹介を通じて行われた。これはチュニジア革命を扱った本であり、アラブ世界にいかに革命が拡大したか、この地域の、とりわけ、選挙でイスラーム主義者の勝利後の政治的将来の展望が書かれている。

関心は、フェリーペ・ゴンサーレス元首相の立場に集まっていた。同氏は、アラブの専制君主らによって蓄積された関係により、地中海方面のヨーロッパの為政者とアラブ世界のの専門家の一人であると目されている人物である。同氏はアラブの春を、アラブ社会や国際関係両方にもたらす巨大な戦略地政学的意味合いからみて、ベルリンの壁崩壊以後で最大の革命であるとみなしている。

また、同氏は発言を続けて、国際勢力の全てが、支援や状況の行方を統制するなど、アラブの春において何らかの影響を与えることを望んでいる、と述べた。この点において、サウジアラビアは、イスラーム主義運動に、とりわけ、サラフィー運動に資金提供をすることで、戦略的な計画を有していると強調した。それは、アラブの春にイスラーム主義的性質を与えようと試みているものである。このことを、カタールは拒絶している。カタールはイスラーム主義運動を支援をしているにも関わらず、アラブの春をイスラーム化させようという狙いはないと強調した。このことは、資金、メディアの提供によるアラブの春への影響力を求めるサウジアラビアとカタールの間に衝突をもたらすに至った。

イスラーム主義運動との関係から考えて、1982年から1996年までスペインを統治したこの社会主義の指導者[ゴンサーレス元首相]は、チュニジアやエジプトのようないくつかの国々でイスラーム主義者が[選挙に]勝利したことに驚かなかった。このことは、イスラーム主義者が他者の存在しない抵抗の舞台に存在し、その舞台を支配し、常に人民と、とりわけ、粉砕された階級の人民と連携し続けたことの結果であるからだ。

サウジアラビア側にはアラブの春に影響力を与えようと狙うアメリカによる計画が存在するが、ゴンサーレス元首相は、アラブの春に対し、経済的支援のみならず、民主化に対する精神的・社会的支援を提供しなかったヨーロッパの「不在」について批判した。

EUにとって微妙な地域である地中海南部でのヨーロッパの「不在」を同氏は遺憾に思っている。とりわけ、同氏の表現によれば、アラブの春がアラブ世界の国境を越えてその他の地域へと広がろうとする状況下における「不在」は遺憾であるとした。

革命や改革を体験した諸国における民主化支援において揺らぐEUの立場やアラブの春におけるEUの「不在」の中で、フェリーペ・ゴンサーレス元首相の声明はなされた。一方、アラブの春に対する欧州代表が任命された。スペイン人のベルナルド・レオン氏であるが、氏は、一部の国の高官を訪問したが、民主化を求める人権や政治活動グループとの話し合いを持つことはなかった。

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( 翻訳者:松尾愛 )
( 記事ID:25837 )