オバマ・エルドアン会談「シリア情勢、静観はしない」
2012年03月26日付 Milliyet 紙
エルドアン首相とソウルで会談したオバマ米大統領は、「死者(が発生する事態)に対し、なさねばならないことがあります。この会談でこの事態に向け行動に移る重要性が協議されました。また合法的な政権移行プロセスにおいて共同作業を続けていきます」と述べた。
バラク・オバマ米大統領が滞在していたホテルのグランド・ハイアット・ソウルでの会談は、予定時間を超えて約2時間15分間行われた。会談には、レジェプ・タイイプ・エルドアン首相とともにアフメト・ダウトオール外務大臣、オメル・チェリック公正発展党(AKP)副党首、ハカン・フィダン国家諜報機構事務次官と副参謀総長のフルスィ・アカル大将が参加した。会談では、テロとの戦い、シリア、イラン、キプロス、イラクなどをはじめとする地域の諸問題が議論された。二人の指導者は共同会見に親密な雰囲気で現れた。二人は時折互いの腰に手を当てる一方、エルドアン首相が米大統領に「親友バラク」、オバマ米大統領もエルドアン首相に「友人」と呼びかけたことが注目された。
■私たちは共同作業する
共同会見で、シリアでの行動指針が合意されたことが伝えられた。オバマ米大統領は、「死者(が発生する事態)に対し、なさねばならないことがあります。この会談でこの事態に向け行動に移る重要性が協議されました。また合法的な政権移行プロセスにおいて共同作業を続けていきます」と述べた。
また、エルドアン首相は、「まったく静観し、シリア問題の(帰趨)を待ち、介入しないということはできません。これは、私たちの良心に課せられた義務なのです。この件で必要とされることを、国際法で許容される範囲の中で実施に努め、行動します。また、私たちの考えは全体として一致しているとわかり、満足いたしました」と述べた。
エルドアン首相は、会談が大変実り多きものであったといい、会見ではまずシリア問題を議論したことを明らかにした。エルドアン首相は、シリアでの事態に心を痛めているとし、以下のように語った。
■我々の見解は一致している
「現在、(トルコ)はもっとも重要な避難地となっています。これまでトルコに避難したシリアの人々の数は1万7千人を超える状況にあります。もちろん、一方では死者が出る事件も起きています。ヘリコプターによる爆撃で昨今でも死者数が継続して増えています。この事態をまったく静観し、シリア問題の(帰趨)を待ち、介入しないということはできません。これは、私たちの良心に課せられた義務なのです。この件で必要とされることを、国際法で許容される範囲の中で実施に努め、行動します。」
エルドアン首相は、韓国からの帰途、実施予定のイラン訪問が会談で話し合われたといい、そのうえ、ロシア、中国に関する意見交換もしたと明らかにした。エルドアン首相は、「イラクの進展は無視することはできない、イラクの進展も(議論の)机上にのせることを求めました。イラクの進展については、お互い話す機会がありました」と述べた。
■米国は私たちを支持している
エルドアン首相は、イラクでの進展を平和的な方向へといかに加速させるかという問題についても話したといい、「取り組みが一刻も早いイラクの平和構築に結びつく、と信じています。もちろん分離主義テロ組織との戦いにおいて、米国が私たちを支持していることに大変感謝しています。私たちの分離主義テロ組織との戦いはともかく続いていきます。しかし、政治的力を用いて交渉につく余地もあります。キプロスに関する進展についても話し合いをおこないました。キプロスで期待される未来をたぐり寄せたい、と願っています」と述べた。
■モデル的パートナーシップ
両国間の貿易も増加したというエルドアン首相は、「もちろん、大変重要な問題であり、親愛なる友人バラク・オバマが就任して以来、両国間の戦略的パートナーシップに新たな弾みをつけるためにモデル的パートナーシップという名を付けました。両国間で新しく踏み出された一歩であるモデル的パートナーシップのおかげで、両国の貿易量は20億ドル(約1660億円)に達しました。今年6月にワシントンについで、二回目の会合をトルコで行う予定です。これは(両国間の貿易にとって)改めて飛躍する機会となると信じています」と述べた。
■行動しなければならない
また、オバマ米大統領はエルドアン首相と再度会談を行う機会を見つけられたことは本当に幸運だったと述べることから会見を始めた。会談では多くの時間をシリア問題に割いたというオバマ米大統領は、「シリアで起きていることに関連し、地域的な連帯だけでなく国際的な連帯の取り組みについて語り合いました。死者(が発生する事態)に対し、なさねばならないことがあります。この会談でこの事態に向け行動に移る重要性が協議されました。絶対に、今の死者が生まれる事態に対し対処する必要があります。市民の殺害は認められません。また合法的な政権移行プロセスにおいて共同作業を続けていきます」と述べた。
■外交の窓
オバマ米大統領は、「シリア友好」会議が4月2日にイスタンブルで行われることを明らかにし、トルコがこの場を提供したことに感謝した。オバマ米大統領はイランの核開発プログラムに関連し、以下のように述べた。
「イランの核サイクルに関連し、現在の所、窓口が開かれています。その期間は、特に外交関係に関する(交渉)プロセスは閉じられようとしている、と考えています。この件に関連し前進が遂げられ、有力な交渉団が会合の席に着く必要があります。6か国(国連常任理事国5か国+ドイツ)か、他の方法でおこなうことが可能です。エルドアン首相もこの件に関心を示しました。国際社会もイランがこの問題で義務を果たす必要があると考えています。隣人としてトルコは、このプロセスの当事者です。(核の)平和利用を支持する方向で、(この問題が)解決されることを望んでいます。」
■少数派への対応は素晴らしい
オバマ米大統領は、「私は、特にPKK(クルディスタン労働者党、非合法組織)のテロとその対応策について、(エルドアン首相と)一致しているということができます。その意味で首相が実施した取り組みは素晴らしいと思います。トルコの少数派に関する取り組みについても同様です」と話した。オバマ米大統領は、会談でソマリアの最新の状況をも取り上げたと認め、「私たちが同じ立場にあると理解し、話し合いが真摯で静穏に終わったことに非常に満足しました」と話した。
(下略)
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( 翻訳者:岸田圭司 )
( 記事ID:25920 )