国境の向こうはクルディスタンになる日―BDPデミルタシュ語る
2012年04月10日付 Milliyet 紙

平和民主党(BDP)セラハッティン・デミルタシュ共同党首は、「イラクが分割されれば独立クルディスタン国が成立するであろう。シリアでも、自治クルディスタンが成立しうる。イランにはもともとクルディスタン州がある。そうなれば、ウードゥルからハタイにかけて、トルコの南側国境の全ては完全にクルディスタンとなる」と述べた。

デミルタシュ党首がタラフ紙のネシェ・デュゼル記者に行った説明の続きは以下のようである。

イムラル島で終身刑に服しているPKKリーダーのアブドゥッラー・オジャランはどんな解決を望んでいるか?

オジャランは、トルコの一体性のうちでの解決を望んでおり、我々も支持した自治体制を提案していた。実際オジャランは、中東での展開を内閣や政府よりもっとよく読んでいた。

■オジャランは中東をどう読んだか?

オジャランは数度、首相や大統領に弁護士を通して書簡を送った。「あなた方にお願いします…。中東は変動し、この事態はもっと違う段階に移っていくでしょう。クルド問題はより一層グローバルになる。そうなれば、問題の解決は今日のように簡単ではなくなる。どうか、この問題を早急に解決しましょう。我々は共に生きていく考えである。生きている限り私も尽力したい。解決案をどうか真剣に論じましょう」と述べた。

■オジャランは、クルド問題がトルコの問題を超えて、地域の、世界の問題になるであろうと言ったのか?

そうだ。その場合もちろん問題の解決は次第に難しくなっていく。オジャランは、「この問題は、トルコ国境の連帯の中で、私により解決される」と言っていた。「しかし中東で、事態が地域紛争にまで発展すれば、その時はこの事態はあなた方にも、私にも手に負えなくなる。自体がどこへ向かうのか、もはや我々のだれも推測できなくなる」と常に警告していた。実際、イラクが分割されるか、地域で民族紛争が起こるのか、はたまた宗派戦争が勃発するか、イランがなにをするか、だれも推測できていない。

■今中東で国境が再びひかれる段階に至ったと思うか?

トルコを含めての話ではないが…、100年前英国人の先導で強制的主張によって定規で引かれた国境が、今日割れた状況にある。今日、もはや独立を初めて宣言しうるイラク・クルディスタンがあり、シリアには自治クルディスタン成立の可能性がある。

■国境が改めてひかれれば、イラク・クルディスタンとシリア・クルディスタンは統一するのだろうか?

短期間でこれが可能だとはあまり思えないが…、イラクが3つに分割されれば、国境が改めてひかれるということだ。シリアでクルディスタン地域は正式なものになりうる。手にする政治的立場と権利は別の問題だが、現在そもそもイランにはクルディスタン州がある。結果としてほとんどウードゥルからハタイまで、トルコの南側国境は全て正式にクルディスタンになるだろう。その時まさに、トルコが熟考し「クルド人たちと即刻和解しよう」と言うことが必要である。

■トルコが自国のクルド人と和解しなければ何が起こるだろうか?

しばらくのち、この問題はBDPを超え、タイイプ・エルドアン首相をも超えるだろう。地域のバランスがどの人々をどこへ引きずり込み、民族・宗派紛争のようなリスクのある問題が何をもたらし、何を奪うのか、推測することは困難だ。このため政府が即刻クルド平和計画を策定し、トルコのクルド人を満足させる解決策を早急に講じることが必要だ。

■では…、 (PKKキャンプ地のある) カンディルはどんな解決を望んでいるか?

カンディルは、オジャランの言うことと異なることは言わない。そして必ずオジャランの言葉を聞き、彼の指示に従う。

■では、スィルヴァンではなぜ従わなかったのか?

オジャランは、軍が包囲をしたら降服しろとは言わなかったのだ。

野外で休んでいた兵士が攻撃に遭った…。PKKは見なかったことにもできた兵士集団を攻撃した。過去に、お互い見ない振りをしたことがなかったか?
もしも、彼らがお互いを見ていなければ!そこにいた者たちがPKKを殺すために動きださなければ!政府とオジャランの会見が再び開始されるべきだ。オジャランの条件が適用されるべきだ。彼が組織に指令を出す立場に立つべきだ、カンディルは、オジャランの言葉を聞くだろう。もしクルド問題の解決プロセスがまた始まるならば、オジャランの状況が変わる必要がある。この会見はもうイムラル島刑務所では行われはしない!

■なぜか?

10m規模の独房で、オジャランの外部との関係は限定されている。PKK問題が解決されるなら、政府はイムラル島刑務所を閉鎖しなければならない、すべてのシステムが変わらねばならない。第一段階は自宅軟禁がありえる。自宅軟禁に対してPKKがどのように対応するか世論に発表する。そして、プロセスはこのように相互の歩みで進展する。

■政府と交渉に入る条件の一つがこれか?

これは、BDPの条件ではなく、オジャランの条件だ。「健康、自由、安全の条件が保証されないのならば、私は再び解決プロセスに加わらない」と本人が述べた。我々が行っても、政府が行っても、オジャランはこれを言うだろう。

あなた方はイムラルとカンディルについて力を持たないとはっきり述べている。しかし、専門家によって常にトルコの模範として示されるイギリスでは、政党が武装組織に発言力を持ち、平和はそのようにもたらされた。私の理解した限りあなたは、イギリスで起きた交渉と解決プロセスが、トルコでは起こりえないと言っているのでしょう。

■そうなのか?

そうだ。もちろんありえない。我々は真実を話している。我々には力はあるが権威は無い!我々はPKKとの間にアイルランド共和軍とシン・フェイン党のような関係はない。BDPはシン・フェイン党のように決定権を持たない。言ったたように、我々には影響力はあるが、しかし彼らに代わって停戦や武装解除の決定はできない。しかし我々は政的解決策を強化し、停戦と武装解除プロセスの可能性を認める立場を作り出すことができる。この形でのみ我々は民主的圧力を創出できるのだ。平和のために、BDPには2つの異なった役割がありえる。

■BDPは何ができるのか?

1つは、平等の問題がどう解決されるのかについて直接の回答者になる。2つ目に、もし政府が、カンディルとイムラルがこの権限を我々に渡すなら、我々は平和がどのようにもたらされるかについて、仲介者の役割を果たすことができる。または、BDPBDPの仲にもいる知識人集団も仲介者となりうる、我々はこれも認める。

しかしトルコにたいしては常にイギリスの解決策が手本とされている。手短に言えばあなたは、「トルコはイギリスではない、PKKもアイルランド共和軍ではない」というのか?

もちろん違う。我々もシン・フェイン党ではないし、タイイプ・エルドアンもトニー・ブレアではない。トニー・ブレアは、「悪魔とさえ会談する」と言って会談したのだ。

■タイイプ・エルドアン首相も会談した。違うか?

私は首相のPKKとオジャランとの会談を決して過小評価していない。しかしエルドアン首相は、会談の裏にトニー・ブレアのように明確で強力な政治意志を持たなかった。実際この件に関して勇敢に振舞い、リスクを受け入れたのだから、これを継続せよ。さらに勇敢になれ!

■PKKにについてだが、PKKは自身に統治するべき土地があたえられずに和解を受け入れるか?もしくはPKK側の最重要条件は、自身が統治する一地域、人口、社会があたえられることか?

15日前、ムラト・カラユランはクルディスタン労働者党の運営組織長として全組織をつなぐ会見を行った。「トルコで統治理解が反中央集権派になり、選挙も民主的に行われれば、誰が勝とうとその者が地方政治を統治する」と述べている。

■あなた方は反中央集権、自治といったモデルと並んで、さらに社会的立場と言う。どのような社会的立場を望むか?

自治はそもそも一つの社会的立場だ。連邦、独立もそうだ。社会的立場は、ひとつの統治権である。社会的立場とは、地方統治で発言権を得ることだ。トルコでトルコ人、国、クルド人が互いに断絶したくないのなら、その方法は国境内で適応される解決モデルである。これは、自治制かまたは連邦制である。もしアンカラ(政府)が、スペインでのバスクの例のようにクルディスタン自治区域を承認し、特別法をつくるなら…、国とクルド人がこの件で理解し合うなら…、我々はこれに反対しないが、このモデルを推奨はしない。

■なぜクルディスタン自治区域を推奨しないのか?

我々はこのモデルを民主主義の視点から、正しいとは思わない。我々は、全トルコが自治区になることを望んでいる。たとえば、クルディスタンと表現される地理範囲で、3つか4つの自治区域が形成されうる。ひとつの大きな市を中心に据える。交通、文化、経済、社会面で協同するいくつかの郡をその周辺に集め、そこを区域と呼ぶ。オジャランもアンカラを中心とする複数自治区域を推奨している。

■何を推奨しているのか?

「中心はアンカラだがトルコに自治政府区域が形成され、すべての権限は同等に。トルコは反中央集権の政治システムに移行せよ」と言っている。このモデルによれば、全区域で、選挙で選ばれた人物が、その自治区域を統治する。アンタルヤ自治区域をおそらくCHP(共和人民党)が、チュクロヴァより下はおそらMHP(民主主義者行動党)が統治するだろう。国民は満足しなければ次の選挙で与党を変更するだろう。

■いくつの自治区域を計画しているのか?

我々は、トルコでこのような18~20の自治区域の形成が可能だと考えている。一方連邦制は、より多くの土地、人口、民族系統を必要とする。自治制はこのようではない。我々が推奨した自治区域では、トルコでどこにクルド人が住んでいようと同等の権利を保持できる。我々の推奨する自治区域は民族出自に依ったモデルではない。

■では、少し前に宣言した自治制とはこのことだったのか?

あの自治宣言では、もともとクルド人民の政治的立場における主張が発表されたのであって、政治的国境線は引かれていない。オジャランも次のように言った。「国がもし我々の提案を、プロジェクトを承認しないならば、そのときは一方的な解決が進展する。もし国が、「おまえたちの問題を解決するためにどうしてトルコ全体を反中央集権として統治しようか」と言うならば、その場合はクルド人だけに自治権が与えられればよい」PKKもこう言った。

■PKKは何を言った?

「そちらがトルコを民主化する解決法を論じないならば、こちらも一方的に自治を勝ち取り進展させるために戦おう」と言った。もしあなた方がPKKを殺そう、根絶やそうといい、PKKもこちらは強い、対抗しようというなら…。地域的自治制は発生しない。自治クルディスタン区域が発生する。解決プロセスが長引けば、10年、20年後にはこの事態は分裂に至る。

■クルド人は分離を望んでいるか?

分離を望むものはいる。そして「我々の分離政府を、独立クルディスタンを」という人の数は次第に上昇している。ディヤルバクルで最近行われたアンケートでは、51%が自治を支持した。10%程が連邦制を望んだ。20%はなんらかの政治的立場を、と言った。つまり、結果として75-80%は政治的立場を望んだ。クルド人は立場を欲している。

■トルコ人の政治的傾向も計測しているのか?トルコ人は何を望んでいると考えますか?

トルコ人のうちでも分離要求は徐々に上昇している。この結果はアンケートに現れている。双方で分離を望む割合は10~15%の間だが、トルコ人の中で分離要求はより急速に上昇している。私が述べたことは、この15~20日間で得られた結果である。

■共存のためにクルド人が欠かせないと考える条件は何か?

トルコ人に何があろうと、同じものがクルド人にもあるべきだ。トルコにあるものは皆のものであれ。トルコ人だけのものにならないように。

■PKKは武器を下ろす準備ができているか?
政府がもたらしうるひとつのことがこれだ。政府が、正しく接近し、交渉と言われるものを相手の降服と一掃の目的で利用しなければ…。交渉を、相手側との和解の探求として見なせば、交渉から結果を得ることができ、PKKを説得することができる。

■政府は武器を下ろす準備ができているか?

いいや。政府の準備を見ると、政府に戦う決意がある。これには多少地域的現状にも関係がある。政府はどうしても戦いたがっている。シリアが止められない前に、PKKと和解、解決策の創出を望んでいない。なぜならPKKがシリアでクルド民衆上に影響力をもつことを知っているからだ。さらに言えば、PKKは南クルディスタンのバルザーニー地域でも民衆に影響力を持つ。

■もし交渉があなた方と行われれば、あなた方が、必要に際して三方全てに対してはっきりした立場をとることを必要とするかもしれない状況、主張が現れうる。これらに対処できるのですか?

難しいだろう、だが対処する。我々がプロセスを信じ、政府が本当にステップを踏み出すのを目にできれば、もし誰かがプロセスを崩壊しようとすれば我々が政治的リスクを負い、プロセスを継続させる。我々は逃げない。

■私の質問は以上です。あなたが特に言いたいことはありますか?

次のことを言いたい。われわれBDPとBDP党員のクルド人として、タラフ紙に批判がある。タラフ紙は、常に「BDPはAKP(公正発展党)を支持せよ」という立場をとっている。BDPがAKPを支持しないと、BDPにたいして非常に間違った報道をした。

■タラフ紙にとても悪いのではないか?タラフ紙にはAKPが支持されるべきという偏向は一度もなかった。

憲法改正の国民投票のプロセスで、我々はずっとこれを経験していた。路上に出て、BDP党員のクルド人に無作為に聞いてみてください。BDP党員のクルド人全てがタラフ紙についてこのような認識を持っている。

■私も国民投票であなたがなぜ「賛成」を支持しなかったのか未だにわからない。なぜなら投票で賛成票を支持することは、民主化を、文民化を支持することだった。AKPを支持することではなかったのに…。見てください今は、あなたもエヴレン裁判に反対している。

私は、「タラフ紙は我々を支持せよ」と言っていない。ただ特にコラム記者らとニュース制作において我々に関して非常に大きな間違いがなされた。しかしクルド人のタラフ紙への期待は過剰だった。そしてこの期待は大きく低下した。タラフ紙は、我々クルド人側での使命を失った。

■タラフ紙は決してAKP支持の偏向にはなかった。タラフ紙の政治面を担当するアフメト・アルタン氏は、「AKPを支持してください」という文も記事も一つも書いていない。反対に、選挙ではAKPに投票しないとコラムに書いている。

それでもなお、ディヤルバクルに行って路上でアンケートをやってください。我々の党で、民衆で、こんな認識がある。党の関係者誰にも「この記事は正しいか、間違いか」が聞かれないまま、タラフ紙で我々に関して正しくない記事があれほどたくさん報じられ、コラムに書かれたのだから…。タラフ紙は我々を非常に不当に扱ったのだ!

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( 翻訳者:吉岡春菜 )
( 記事ID:26035 )