共和人民党(CHP)党首は、2月28日捜査について、「復讐のために正義の名を借りてはならない。復讐の気持ちでそれを行えば、正義ではなくなる」と述べた。アルンチ副首相からCHP党首への返答:「復讐のために正義の名を借りるべきではない」という言葉は政治家にふさわしくない。この発言は、捜査を矮小化するものだ。」
■クルチダルオール党首:復讐のために正義の名を借りるべきではない
ケマル・クルチダルオールCHP党首は、2月28日過程に対して行われている捜査に関して、「早朝に家宅捜査が行われた。もし、一点も不法性がなく、圧力もないならば、司法が人権を順守して司法過程をすすめることに対して、我々は抗議はしない。公正が担保されることで、皆が抗弁することも可能となる」と述べた。しかし、今日のトルコには正義はないと述べるクルチダルオール党首は、次のように述べた:
「もし抗弁しようものなら、この国では刑務所に入れられる。いったい正義はどこになるのか。復讐のために正義の名を借りてはならない。復讐の気持ちでそれを行えば、そこには正義ではなくなる。正義とは崇高な概念だ。正義とは、社会的良心という意味だ。下された決定が、社会的良心に受け入れられるということだ。もしある決定が、社会的良心によって受け入れられないのであれば、それは正義とはいえない。家宅捜査がなされ、召喚し、何時間も立たせて待たせる、起訴状が準備され、裁判官たちは弁論に対し不透明な決定をおこない、弁護士たちには弁護を許さない。その後で、あなたがたは司法過程をすすめる。これらを正義といえるのか。正義が欠けた場所で、健全に働く公平な裁判官はいない。厳しい管理下にある裁判所は、9月12日のクーデター時代に、その時代の権力を司法の面で支えた。特別権限をもつ裁判所も今日の公正発展党(AKP)政府の判断を支えるものだ。これらは特別捜査のための裁判所となっている。政治権力が下した決定を踏襲しており、ここには正義はない。正義のない場所では、公正か不公正かを見分けることは不可能だ。」
■エヴレン将軍とエルドアン首相
(1980年)9月12日に関する裁判が開かれたことに触れたクルチダルオール党首は、次のように述べた:
「非常に気になっているのは、ケナン・エヴレン将軍とレジェプ・タイイプ・エルドアン首相の間にどんな違いがあるのか、という点だ。エヴレン将軍時代に拷問はあったか?あった。しかし、今もある。あの時代、新聞記者や知識人は刑務所にいた。メディアに対して圧力があった。今もそうだ。両者の間にひとつだけ違いがある。エヴレン将軍には(軍人の)肩章がありました。エルドアン首相には肩章はない。当時は5人で全権を握っていましたが、今は1人が、全権をもっています。当時も立法、司法、行政と三権分権の原理は存在しない。今は、立法と司法が、行政の命令に従っている状況だ。どんな違いがあるといういうのか。両者の間には単に時の流れがもたらした、ごく小さな変化があるだけだ。今、「9月12日過程」に復讐する、「9月12日過程」を捜査する、といっている。しかし、その前に襟元を正すべきだ。当時は国民が選んだ国会議員たちは逮捕されなかったは、現在はそれすら行われているのだ。今、我々は、9月12日当時の状況を、ポストモダンな独裁者のもと再度経験しているのだ。」
■アルンチ副首相:クルチダルオール党首は悲しんでいる
ビュレント・アルンチ副首相は、社会が「2月28日過程」と必ず向かい合い、結着をつける必要があると述べ、「事件はあらゆる面から捜査されるべきです。クーデター、非民主的企てが捜査され、法廷で裁かれることは、トルコで誰も心配することではありません」と話した。
捜査が開始された後の状況を評価したアルンチ副首相は、次のように述べた;
「クーデターに向かい合い、結着をつけるという名の下に開始されたこの捜査は、完全に独立した裁判所が行っているものです。トルコの民主化にとって、非常に重要なことだと思います。憲法改正により、クーデターとその企図者を裁くことに関する障害が排除されました。議会でクーデターや覚書に関わる調査委員会が設置されました。既に30年間、決着がなされていない、裁判にかけられていない、9月12日クーデターとクーデターをおこした将軍たちが裁かれるようになりました。すでにトルコは、昔のトルコではないのです」
■ポストモダン・クーデター
「「2月28日過程」では戦車が動き、色々な組織にブリーフィングがなされ、新聞記者らは宣誓し、西方調査会を介して、官僚機構と社会において「政治的反動捜査」という名の下、人々は整理されました。これらは、ポストモダン・クーデターであると、今日逮捕決定がなされた軍人たちさえそう表現していました。「2月28日過程」とトルコ社会が向き合い、結着をつけることが絶対に必要です。事件は、全面的に捜査されるべきです。クーデター、非民主的企てが、捜査され、法廷で裁かれることは、トルコで誰も心配することではありません。ここでは司法に大きな責務があるだけです。司法は、捜査の全段階で、慎重にならないといけません。特に逮捕に関しては、新しい被害の機会を与えることになってはいけません。」
■クルチダルオール党首は悲しんでいる
「クルチダルオール党首は、ここでダブルスタンダードを用いています。クルチダルオール党首が、当初「復讐のために正義の名を借りるべきではない」という言葉を2月28日ポストモダン・クーデターに対して開始された捜査について述べており、これは、政治家にふさわしいと思えません。もちろん、復讐のための正義というのは、ありえません。正義とは別の物であり、慈悲も別の物ですだからです。正義は、絶対に皆さんにとって必要なものです。しかし、正義が皆さんの良心を満足させる水準になければなりません。思うに、クルチダルオール党首は、「2月28日過程」に関して開始された今日の捜査に大きな悩みを抱えていることでしょう、悲しんでいることでしょう。なぜなら、当時、彼自身は党首ではありませんでしたが、当時党首の地位にあったデニズ・バイカル元党首は、その過程を最も歓迎して、支援した一人でした。CHPは、「2月28日過程」で、福祉・正道連立政権を覆した国家安全保障会議(MGK)とトルコ国軍の影響力行使にいつも感謝していました。彼はこの発言を、今回の捜査を矮小化するために行ったのでしょう。」
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る
( 翻訳者:石川志穂 )
( 記事ID:26059 )