イエメン:奇抜なルックスでボーダーレスな世界を訴える若者達
2012年05月06日付 al-Hayat 紙
イエメン:奇抜なルックスでボーダーレスな世界を訴える若者達
■イエメンの若者のニュースタイル、制限を広げる「違い」について議論を呼ぶ
2012年5月6日『アル=ハヤート』
【サヌア:ヌジュラー・ハサン】
手首を飾る革製と布製のブレスレット、長髪、または三つ編みにされた髪、首には革製の首飾り、ルーズな服装、カラフルな帽子、スポーツシューズ…それが一般的な仲間たちの外見とは異なったイエメンのとある若者の姿である。それでもその姿が彼の言うところの芸術的メッセージと調和し、彼の願望と一致し、そしてその価値が一般的なモラルと相反するものでないのだから、その姿が他者を傷つけることがない限り、どうして彼が自分で選んだ新たなルックスとならないわけがあろうか。
しかしながら、事はそう単純ではない。この土地において外見の変化を決定する全ての者、あるいは伝統に反抗する者は、拒絶反応に直面し、その選択を覆すようにとの助言を受ける事は避けられない。その周囲では議論が巻き起こり、多くの批判を浴びせられる事になるが、それでも時としてそのまま受け入れてくれる人物も見つかるだろう。
「宇宙人!」…シャーディ・ナーシルの頭から離れない言葉である。イエメンの若者のバンド「3 Metres Away」のメンバーである彼は、次のように語る:「革命の最中のタハリール広場で、僕とバンドの友達は宇宙人と自分たちを呼んだ。髪を伸ばし、服装を変える事に決めたからだ」今日のシャーディは髪の毛を後ろに束ね、馬の短い尻尾のようにしている。両肩にはカラフルなウールのスカーフが掛けられている。
シャーディとバンドのメンバーはその曲の中で批判的精神をもって社会問題を扱っているが、以前は慣習から外れてはいたものの宇宙人のような服装で人前に現れることはなかった。ズボンやシャツ(イエメンではシャミーズと呼ばれる)は着ず、「ムアッウィズ」(腰に巻きつけ膝下まで覆う布)も、ジャケットと合わせて着る白い衣装も捨ててしまった。シャールと呼ばれる頭の覆いの代わりにカラフルなスカーフをかぶり、自らの髪が異なる外見をとることを選択した。
バンドメンバーのアフマド・アスィーリーは世界的なレゲエ歌手のボブ・マーリー風に三つ編みを結んでいる。「このスタイルでいることが好きなんだ。よく僕の髪は『ガアシャ』(イエメン方言でボサボサの髪の意)と言われるけど、僕のメッセージと相反しないし、個人的な願望と調和するスタイルだから、これにしたんだ」と彼は言う。「一つ一つの三つ編みに、経験と歌が詰まっているんだよ」彼は外見や服装を変える事は、意味のある個人的な選択であると考えているが、それと同時に彼らには一般的な面もある。「僕達は芸術に取り組み、人間とも関わっている。僕達には伝えようとしているメッセージがあるんだ」
アフマドの髪に対する批判は多く、長期にわたった。中でもはっきりと覚えているのが、彼のいう最も親しい人物の一人が彼に対して言った言葉だった:「もしお前に芸術的メッセージがあるというなら、お前は尊敬される人物でなければならないし、お前の外見も、髪の毛も尊敬されるものであるべきだ。」アフマドは言う。「それがきっかけで、尊敬される髪と尊敬されない髪の意味について考えるようになったことを覚えている」
3 Meters Awayのメンバーらは芸術がイデオロギーや地理的・思想的境界によって統制されるものではなく、時間や場所によって制限されるべきでもないとする点で一致している。メンバーの一人であるウマル・サアドは、アフリカとヨーロッパからのメンバーと共に、この考えを次のように強調した:「芸術に国境はない。僕たちは自分が制限された枠組みの中にあることに気付いたんだ。そしてそれを広げたいと望み、数々の歌の中で特定のテーマを議論した。今日英語で歌を歌っていて、ブルースやレゲエを披露した、そして、おそらく明日にはサヌアの歌を歌うかもしれない」
(後略)
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( 翻訳者:川上誠一 )
( 記事ID:26309 )