憲法設置委員会で性的指向と社会的圧力をめぐって議論
2012年05月20日付 Milliyet 紙

新憲法の中の二つの条項の条文を書き終えた憲法設置委員会で、「性的指向と社会的圧力」に関し議論が起こった。

トルコ大国民議会憲法設置委員会は、共和人民党のアティッラ・カルト氏が議長を務める会議で、「基本的権利と自由」の章の「基本的原則(ガイドライン)」に含まれる二つの条項の条文作成を終えた。これによると、新憲法で最初に起草された条項は、「人間の尊厳と名誉」と「基本的権利および自由の指標と網羅性」の2条になった。

二つの条項に関する議論では、特に民族主義者行動党により「人間の尊厳という表現が憲法に入るならば、『母語での教育の権利』という概念も、「人間の尊厳」の定義の範囲内で確実に新憲法に入ってしまう」という懸念が表明されたが、(定義で)制限が設けられることで、懸念の払しょくがはかられた。

第一条項の趣旨説明では、「人間の尊厳と名誉とは、人間の持つ人間としての価値が認められ、守られ、発展させられることを表すものである。国家という概念は広義では、公的権限と力を行使するすべての組織と機関を含む」とされ、人間の尊厳と名誉の概念に制限が設けられた。

憲法設置委員会の作業は、草案作成委員会が、「すべての人は、言語、宗教、宗派、信仰、人種、(エスニックに起因する)肌の色、性(性的指向と性的同一性)、政治的思想、その他の理由で差別されることはなく、法の前で平等である」と書いた第三条項に関し議論が巻き起こり、紛糾している。

平和民主党は、「平等」という見出しを持つ第三条項に、同性婚をも含む「性的指向と性的同一性」という概念をはっきりと含めることを望んだ。公正発展党は、同性婚を認めることになるこの概念が、一般的な道徳や家族構成、子孫を守ることに反するとして、反対した。共和人民党は、「性的同一性、社会的圧力と排斥」といったことを含む「社会的疎外から守る」という概念が、「平等」の条項に含まれるよう主張した。共和人民党の党員は、「平等の条項を議論する際、絶対に『平等、差別の禁止、社会的疎外を防止するという保証、国が積極的に果たすべき役割、男女の平等』といった基本的概念の要素が含まれるような調整がなされるべきだ」と話す。公正発展党が反対したことから、意見の対立は頂点に達した。

■一週間後に持越し

草案作成委員会は、第三条項とそれに続く条項に関し、条文の草案を用意した後、来週の金曜日に憲法設置委員会を再び招集し、条項の最終決定を行う。

二つの条項は以下のとおりである。

‐第一条 人間の尊厳と名誉:(1)人間の尊厳と名誉は不可侵である。人間の尊厳と名誉は、人権と憲法秩序の基本である。(2)国家は、人間の尊厳や名誉、人間の有形、無形の財産を発展させる権利を尊重し、これらの価値を守り、これらの前に立ちはだかるすべての障害を取り除く。
‐第二条 基本的権利および自由の指標と網羅性:(1)すべての人はそれぞれに、侵されず、譲渡されず、放棄されない基本的権利と自由を持つ。(2)基本的権利と自由は一体であり、それぞれに補完しあう。

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( 翻訳者:菱山湧人 )
( 記事ID:26454 )