ギュレン帰国問題、CHP党首も「不都合なし」
2012年06月15日付 Hurriyet 紙

イスタンブルで開催されたトルコ語オリンピックにおいて、名前は出さなかったもののフェトフッラー・ギュレン氏に向けた帰国を呼びかけたエルドアン首相の発言は、政界においても反響があった。政治家達は、帰国の決断がギュレン師個人の意思にかかっていることを強調した。共和人民党のクルチダルオール党首はこの件に関し「私に不都合はない」と述べた。

CHPのクルチダルオール党首は、1999年以来健康上の理由でアメリカで生活しているギュレン氏に向けて行ったエルドアン首相の帰国への呼びかけに対 し、「私に不都合はない」と述べた。昨日クルチダルオール党首は、トルコ金属組合の第14回総会を退席する際、「首相のギュレン氏への呼びかけをどのように評価なさいますか?」との質問に対し、まず両腕を開くジェスチャーで応え、その後「帰国できない法律上の障害があるのですか?」と述べた。同党首は、「実際、この件には関わりたくありません。しかしながら、(同氏がトルコに)もちろん戻ることは可能、とお答え致しましょう。帰国してどうだというのですか。帰りたいなら、もちろん帰ることが出来るでしょう」と話した。この件に関する他の政治家の見解は次の通り。

■ ギュレン氏は平和大使

ビュレント・アルンチ副首相の見解
「私がずっと以前に私の望みを表明した時、幾つかの懸念が投げかけられていました。即ち『トルコの政治情勢が混乱するかも、新たな不安の源になるかも、私がこれらのことを招いてしまうかも……。』しかし、こうしたことを考えるべき状況はもう残っていません。何故なら、最も強く反対していた者達でさえ、時と共にフェトフッ ラー・ギュレン・ホジャ・エフェンディーは無実であると、トルコを愛する人であると、この祖国を最優先する人であると見なすようになったからです。彼は平和大使なのです。こうした確信は今では何十万、何百万人のものとなったのです。しかし、健康上の諸理由、あるいは奉仕活動の現状の点から異なる判断があるかもしれません。もうその時期が来ていると思っています。少なくとも、時折出入国する形で、再びトルコ国外で生活されるかもしれません。」

■ 意図的な政治戦術

民族主義者行動党(MHP)のオクタイ・ヴラル副党首の見解
「確かに彼らの個人的希望です。トルコに彼がいることを訝しむ可能性はありません。本人の選択にかかっています。帰国は彼の意思によってなされることで す。首相の意向に基づくものではないのです。このことが議論され、訝しまれ、特に話題に取り上げることが不当だと思います。このような問題を政治戦術の目的のために用いることも、実のところ世間の判断に任せます。」

■ 全ての人に呼びかけを

平和民主党(BDP)所属でムシュ選出の国会議員スッル・サククの見解。
「首相の発言の多くが感情に訴えるものであり、人情味のあるものでした。しかし呼びかけに偏りがあってはなりません。満遍なく呼びかけることが必要です。 ギュレン氏のみが国外に住んでいるのではありません。国外でにおいて、今日までに亡くなった多数の知識人や芸術家も、この国を愛する人達だったのです。法律に依拠し、平和な国家を生み出そうというなら、(今まで)不当に扱われた全員に帰国を呼びかけなければなりませんし、法的かつ憲法上の社会基盤を構築せねばなりま せん。この中には(かつて)議会で活動し、そしていまだヨーロッパで逃亡生活をしている人々もいます。不当なことに直面して、亡命を余儀なくされてはならないのであり、国内で法的に争えるようにすべきなのです。この国はダブ ルスタンダードを止めるべきです。」

■ 告白なのか、駆け引きなのか

CHP所属でコンヤ選出の国会議員アティッラ・カルトの見解。
「ギュレン氏は、トルコ共和国の国民であり、知る限り彼に関する捜査や裁判はありません。トルコを出入国する意思は彼自身にかかっています。 彼自身がこの意思を行使出来る状態となるべきです。にもかかわらず、何故か首相が個人的な要求やお願いをしている、どういうことなのでしょうか? 『私の政権下ではあなたの力を認めており、あなたは政権パートナーです』とのメッセージを発しているのでしょうか?彼が政権のパートナーであることを、首相は告白しているのでしょうか、駆け引きか取引でもしているのでしょうか?」

■ 首相は陰謀の火種を消した

エルドアン首相の呼びかけを、ギュレン氏に近い人物の1人であるザマン紙の執筆者ヒュセイン・ギュレルは「陰謀の火種を消した」とコメントした。一昨日に生放送でエルドアン首相の発言を評価していたギュレル氏は、『首相は尊敬すべきギュレン氏をトルコに招きました。『今の望郷の念を終わらせて下さい』とも発言されました。首相に感謝致します。何故ならここ数週間来、とりわけ特別権限法廷の裁判官や検事達のあるグループは、どうあってもトルコにおいて「与党-教団」間の争いを引き起こそうと努めていたからです。首相はその火種を今日消したのです。それぞれの気持ちを1つにしたのです」と述べた。

■ 「状況が許せば私は戻る」と過去に発言

ギュレン氏は、トルコに戻らない理由を、過去数年にわたり「挑発の恐れ」によるものと述べてきており、近しい者達に、アメリカでの生活を「意思による亡命」 と(自ら)規定していた。ギュレン氏はトルコに戻る日を楽しみに待っていると語っており、また4年前ペンシルヴァニアで氏が住んでいる家で、あるグ ループの作家と同氏の談笑の場に同席した者達は、その時の印象を「ギュレン氏は、『この様な環境で帰国し、(その結果)行われるであろう挑発によっ て、小学生でさえも学校に通うことに困難が生じたなら、この責任を私は負わされるでしょう』と説明していた。また『状況がいつの日か許したなら、その時は私自身(の意思で)帰国します。つまり目立つ行動を望んでいないということです』と述べていた」と伝えていた。

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( 翻訳者:濱田裕樹 )
( 記事ID:26724 )