トルコ・イラン間の貿易額は160億ドルに上り、その大半を石油と天然ガスが占めているが、イランに課された禁輸措置により、特にトルコの繊維業界は被害を被っている。イラン企業による支払が困難に陥り、トルコ企業の未回収額は25億ドルにのぼる。
繊維産業不毛の地と呼ばれるイランに対し、多くのトルコ企業が製品を供給しているものの、イラン国内の通貨下落に悩まされている。禁輸措置により、イラン企業が製品購入先への支払いが困難になっていることが明らかとなった。情報によると、トルコ企業の未回収額は25億ドルにのぼる。膨大な未収金を抱えている企業は、回収不能に陥るのを懸念して、企業名の公表を避けている。比較的未収額が少ない企業は、関係当局が介入し、金融システムの実行を期待している。ブルサ実業家協会(BUGİAD)理事会アリ・フアト・エル会長によると、輸出業者がイランとの間で抱えている主要な問題は、為替である。トルコ企業は、イランに対しドル建てで販売を行っており、イランの通貨とドルとの間の為替変動が深刻な問題となっている。これを口実に、イラン企業の支払いが滞っている。
エル会長は、資金回収も問題であると注意喚起する。対イラン貿易において手続き上の問題が発生しており、イラン企業が銀行へのアクセスが閉ざされているため、グランドバザールの両替商経由で送金が行われている、と語る。同会長は、資金回収面で重大な問題が発生していると述べ、「トルコの大部分の企業は適切に支払を受け取ることができない。例えば、30万ドルの売上をたてても、イラン企業は『15万ドルの支払いで解決しましょう』と言う。我々貿易業者は丸損を避けるためこれを受け入れざるを得ない」と述べた。
ブルサ商工会議所のジェラル・ソンメズ会頭は、在イランのトルコ企業はイランの信用性を疑っていると言い、他国市場の開拓を勧める。ソンメズ会頭は、国連決議後イランと取引を行う企業がより大きな困難に直面していると述べ、次の通り続けた:「イランとの貿易は慎重であるべきである。(イラン以外の)市場進出を視野に入れる必要がある」。
2008年来、イランへの織物輸出で年間売上高2百万ドルを誇るチャイハン衣料繊維の取締役会会長ヒュスニュ・チャイハン氏は、取引が公式ルートに則っていないことが基本的に問題だと説明する。両替商経由で送金が行われており、イラン側の関税が150%以上であるため既製服の輸出が違法ルートで行われていると述べる。イランとの貿易4年間で年間2百万ドルの売上を上げてきたエッサ繊維のオーナー、セルカン・ジャン氏は、信用に基づく方法でビジネスを行ってきたと述べる。ジャン氏は、イランにおけるデフレがトルコ企業に重大な損害をもたらしている、と語気を強め、「イランのデフレにより、トルコ企業は何百万ドルもの損失を被っている。イランは必需品1,225品目に支払を行うが、この他の品目を奢侈品と見なし、低いレートで支払を行う。収益の70%を失っているのだ」と述べる。
ベルヴュ・アトゥンチ繊維のメフメト・アトゥンチオーナーは、イランが米国による禁輸措置により金融システムへのアクセスが出来ず、公式には貿易が出来ない、と語る。トルコ企業はバスやスーツケースを用いて密輸し、国境警備がペシュメラルガ(民兵)を用いて関税の取り立てを行っている、と言う。アトゥンチ氏は、イラン側も高率の関税に不満がある、と述べ、スーツケース貿易の中止を期待している。オズベシュレル繊維のエリフ・シャーヒン氏は、8年間付き合いのあるイラン企業と直近3年間の取引高が90%減落ち込んでいると述べる。セリナイ・モード繊維のネジュラ・イェシルバフチェ氏は、2009年に製品受け渡しで問題のなかったイラン企業との取引がデノミ後に下火になったと指摘する。
トルコ・イラン間の貿易額は約160億ドル、うち大部分を石油と天然ガスが占めているが、トルコ国内でイラン資本の企業数が増加しており、この点に注目が集まっている。2010年、トルコ国内で新たに設立されたイラン資本の企業数は418社、2011年は前年比41%増の590社となった。トルコで事業を行うイラン資本の企業数は計2,140社に到達している。
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( 翻訳者:山根卓朗 )
( 記事ID:26839 )