新憲法で諸自由を拡大すると約束した公正発展党(AKP)は、憲法調整委員会に「報道の自由は、国民の安全、公秩序と一般道徳の保全、司法の独立の確保、犯罪防止のために規制されるように」との提案を行った。
AKPは、憲法調整委員会に対して「報道・放送の自由」と題した条項について、報道の自由を規制するという、議論を生む提案をおこなった。AKPは、出版社設立の際に許可と財務上の保証権が条件として求められないこと、報道手段を犯罪(と関わる)道具として、手をつけることが出来ないようにするといった重要な憲法上の保証を、新憲法案には含めなかった。
AKP政権下で報道の自由に関する議論が白熱する中、政党の法律諸参謀らは、憲法調整委員会に報道の自由をいつ何時でも規制することができる内容を含んだ提案書を提出した。
AKPは、「報道・放送の自由」と題した条項が報道規制される必要がある状況についての該当部分に関して、「報道の自由は、国民の安全性、公秩序、一般道徳、他 の人々の権利、私生活や家庭生活の保護、犯罪防止、司法の独立及び中立性の確保、戦争の助長、あらゆる差別、敵愾心、あるいは悪意や嫌悪を訴えかけることを妨害する目的で規制されうる」と提案している。
■性犯罪と干渉
AKPは、「あらゆる差別、敵愾心、あるいは悪意や嫌悪を訴えかけることを妨害する」という概念を報道規制の箇所において、初めて憲法の規定に加えた。AKPは、さらに現行憲法にない、「無実を憶測させる報道は禁止」、及び「国家は、子どもの悪用、性的あるいは暴力を含んだ放送に対し、子どもたちに保護措置をとる」とする規定を追加するよう提案している。こうして、無実の憶測が初めて憲法に加えられ、「性」のような広い(範囲を含む)概念も用いて、国家が報道活動に対して常時干渉することを認めようとしている。
■不可変条項の規制撤廃に
AKPは、報道の自由の規制において、憲法の「思想を表明し広める自由」を規定した第26条と、「学問と芸術の自由」を規定した第27条項の実施に関する規定を提案の中に含めなかった。こうして第26条にある「共和国の基本的性質、国家は国土と国民との不可分の統一性をもつことを保障する、国家機密と定義された情報が公表されない、職業機密」といった諸規定と、第27条にある「(考えを)広める権利は、憲法の第1、2、3条の不可変条項を変更させるために行使することはできない」という規定は、報道規制では留意されないことになる。
現行憲法では、異なる題目の下に含まれる報道関係の諸条項を、一つの条項にまとめたAKPは、施行中の憲法では、「法律にふさわしい形で報道機関として設立された出版社、その付属機関と報道手段は、犯罪道具であることを理由に差し押さえや没収されることができない、あるいは、運営に関して介入できない」との規定を含む「報道手段の保護」という項目は修正案に含まれなかった。新憲法が、AKPのこの提案通りに形作られるのであれば、印刷所をはじめとした全ての報道手段 を、「犯罪道具」として、差し押さえを可能とすることになる。
AKPが行った新提案の中に「ラジオとテレビ局の設置・運営は、法律をもとに規定された条件の範囲内で自由である」との規定も含まれている。
AKPが委員会に渡す書類に記されたこの提案は、CHP、MHP、BDPの本件に関わる提案とともに、8月1日に作業が開始される憲法調整委員会側により、議題にあげられ、最終的条項の文言に整えられる。
■与党の二枚舌
憲法調整委員会のCHP党員であるアティッラ・カルト氏が本紙に行った発表では、AKPが行った提案は報道の自由の観点から、深刻な問題を生みだすとした。カルト氏は、出版社を設立する際に許可と財政上の保証も必要としないことに関する憲法上の保証を廃止することは、「自由な報道ではなく、我々に向けた報道規制」を意味し、報道手段を差し押さえることができないとの規定がAKPの提案に含まれていないことに関して、「与党にとって役立たない、全ての報道手段に罪を着せて、差し押さえることになってしまう。ここにあるのは、全くの後退でしかありません。受け入れることはできません」と述べた。
■戒厳令下の回状のよう
現代新聞記者協会(チャーダシュ・ガゼテジレル・デルネイ)のアフメト・アバカイ会長は、AKPが報道・放送の自由に関して修正は、(1980)9月12日 憲法上の規定よりもさらにもっと悪いと述べた。アバカイ会長は、「メディア従事者たちにとって、この提案は戒厳令下の回状のようです。憲法から遠く離れたところで、「一般道徳、私生活」のような規定は、過日のストライキを禁止した規定と同じことです。これは、基本的権利と自由をなくしてしまう、とても多くの規定を含んでいます。この現代において、このような規定の導入は、スーダンではありえるかもしれませんし、部族諸国家でありえる かもしれません。9月12日がもたらした規制を廃止することが期待されている一方で、新たな規制が導入されようとしているのです」と述べた。
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( 翻訳者:石川志穂 )
( 記事ID:27000 )