スレイマニエ・モスクの音響問題、解決可能
2012年08月03日付 Yeni Safak 紙
イスタンブル宗務局第一地区長であるイブラヒム・オゼキンジ氏は、スレイマニエ・モスクが持つ本来の(ドームの構造により音を響かせる)自然な音響に問題はないことを明らかにし、「スレイマニエ・モスクの問題は、機械装置に起因する音声システムの問題であり、技術的な問題なのです。自然な音響(本来モスクが持つ音を響かせる機能によって生じる音)と、機械的な音と比べようとしているが、これも大きな誤りとなるのです」と語った。
オズキンジ地区長は、スレイマニエ・モスク本来の音響機能が壊れているとの主張に関し、アナトリア通信(AA)に対して行った説明で、スレイマニエ・モスクはミーマール・シナンがつくった最も重要で、そしてイスタンブルのシルエットにとって欠かすことの出来ない建造物の1つであり、修復を完了させたモスクが、去年のクルバン・バイラムで、再び礼拝に開放されたということを指摘した。
幾つかの新聞社やテレビメディアで、スレイマニエ・モスクが持つ本来の音響機能が修復の際に壊されてしまったとの数々の報道がなされたが、それは真実を反映していないと説明するオズキンジ地区長は、それに関してコメントを述べた。
「修復における全工程を、我々はメディアに公表しました。修復の際、まずそれぞれの柱のところにタイル、ペンデンティブ(モスクのドームを支えるアーチのところに形成される局面逆3角形)のところには、様々な書や煤の汚れがあることを、そしてドームに書かれた手書きの書には一つの文字が欠けていることをメディアに発表しました。モスクにおいて初めて我々が発見したものの1つは、256個のシンメトリックなキューブです。モスクの内側に向いていて、一辺が15センチ程の大きさのキューブこそが、モスクで音が響くことの秘密であると我々は確認しました」
「修復の際に、キューブの解放部が閉じられ、またモスク内部にセメントが使用されたと言われています。修復の際、モスクでの音の響きはほぼ間違いなくこのキューブによるものだと我々は述べましたし、その内部を複数のマイクロカメラによってチェックしました。作業が実施されている間、このキューブを保護することに大きな注意をはらいました。スレイマニエ・モスクで行われる最も重要な修復は、セメントを排除することです。スレイマニエ・モスクからセメントを取り除き、昔どおりにホラサン・モルタル(漆喰の一種)を使いました。ホラサン・モルタルを使用する際に、オリジナルのホラサン・モルタルを見つけ、その分析を行ってから使用しました」
「スレイマニエ・モスクの問題はもともとのモスクの音響の問題ではありません。スレイマニエ・モスクの問題とは、機械装置に起因する音声システムの問題です。技術的な問題なのです。自然な音響と技術的な音を比較しようとしていますが、これは大きな誤りです。自然な音響は、ただ(機械を通さない)自然な音と比べることはできます。自然な音響を、あなた方はマイク、音声装置、スピーカー装置という(機械を用いる)テクノロジーと比べているのです。これはで適切ではありません。モスクのムフティー達とも話しましたが、彼らもモスクの自然な音響に関しては、問題はないことを、さらにスレイマニエ・モスクの音声装置が、イスタンブルにある他の多くのモスクよりも良い状態であると彼らは言っています」
■ 修復後に音声装置を変更した
オゼキンジ地区長は、修復の後、スレイマニエ・モスクにある音声装置とスピーカーを変更したことを明らかにし、「この装置は、機械装置であるため、使用中に誤作動が生じる可能性があります。モスクのムフティー達の要請に応じ、マイクロフォンの機械を変え、新しいスピーカーも追加しました」と語った。
さらにオゼキンジ氏は、イスタンブル・ムフティー協会がスレイマニエ・モスクの音声システムと音響に関し、専門家による委員会を設立し、この委員会がこの問題に関し調査を行うということを述べ、この調査結果はラマザン・バイラムの後に、公表されることになると告げられたと語った。
スレイマニエ・モスク修復後の音響と音声システムに関し、まだ専門家の調査が終わっていないと述べるオゼキンジ氏は、次のように語った。
「スレイマニエ・モスクでは保護を目的に修復が行われました。音響が壊されたと主張するには、科学的に、「モスクにはもともとこれこれがあったが、ワクフ総局がそれを撤去した」とか、「もともとあれはなかったのだが、ワクフ総局がそれを後から付け加えた」といったような構造的な変更について述べる必要があります。我々はこのようなことを行わないように、最低限の修復、最大限の保護という基本方針に従い、この修復を実施しました。スレイマニエ・モスクは、修復を始める前と後も状態に全く違いはありません。それどころか今まで以上に良くなっているのは確実です。おそらくこの先何百年も建ち続けるための土台が、いまここに作られたのです。これについて詮索を行うことが、どれほど無意味なことかも明らかです。できるならば、実施されている調査も、科学的な調査として客観的な形で明らかとなり、皆もこれを知ることになるでしょう」
■ セラッティン・モスク群には技術に明るい職員がいない
セラッティン・モスク群(訳者註:スレイマニエ・モスクやスルタンアフメト・モスクに代表されるような、スルタンが建立させたモスクの総称)で任務を行う予定のムフティーたちの中に、技術に明るいものはいないと語るオゼキンジ地区長は、以下の様に言葉を続けた。
「ワクフ総局として我々の修復が完了した後、モスクをムフティー達に引き渡します。しかし、残念ながら我々のムフティー達に技術に明るいものはいません。このことに関し、先月イスタンブル宗務局に我々は報告書を送りました。修復時に、音声、照明、火災警報装置を設置または一新しました。これらのシステムをいろいろな人が触って使用した場合、壊れる場合もあります。セラッティン・モスク群の技術的な仕事を一元化して、一人の人が管理することで問題を防げると我々は述べてきました。セラッティン・モスク群に関わるムフティー達によって、検討されるべきです。空調設備、音声設備、電気、監視カメラに関する技術責任者がその任務に就くことで、この種の技術的な故障がさらに減少すると私は思います」
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( 翻訳者:濱田裕樹 )
( 記事ID:27252 )