■イスラエル諸大学、入植地「アリエル」の単科大学に「総合大学」の資格を与えることに反対し最高裁に請願
2012年8月21日 火曜日 『アル=ハヤート』
【ナザレ:本紙】
イスラエル大学学長委員会は昨日、「ユダヤ・サマリア地区(ヨルダン川西岸)高等教育最高評議会」の決定に反対し、最高裁判所に請願書を提出した。同評議会は軍中部管轄の将校、国防相、財務相、教育相と共同で、ヨルダン川西岸地区の中心に位置する入植地アリエルの単科大学に政府からの公的支援を受けられる「総合大学」の資格を与える決定を下していた。
学長委員会はこの決定を「法的、論理的観点から見て重大な過ち」であると評した上、学術的見地や予算に関する計画とは相容れない不可解な考えに基づくものだと批判した。さらに、この決定は公益を損なうものであり、これを破棄するために裁判所の介入が不可欠であるという見解を示した。請願者らは「ユダヤ・サマリア地区高等教育最高評議会」の決定は重要な観点を見過ごしており、当該単科大学とその私利にのみ益する判断基準に基づくものであると主張した。
また請願者らはアリエルの新大学に数千万シェケルに相当する莫大な予算を割り当てる財務相の決定は財務相の権限からの逸脱であると見なし、「財務相に民間の事業に予算を割り当てる権限はなく、財務相の権限は予算の枠組みを保持することに過ぎない、この決定は違法である。」と主張した。さらに、「財務相が高等教育機関の独立性と政治からの分離に抵触することは許されず、決定は法的でない」と続けた。
「ユダヤ・サマリア地区高等教育評議会」は「高等教育評議会」の反対にも関わらず問題の単科大学を「総合大学」と認める旨を発表していた。与党リク―ドの中枢であるユヴァル・シュタイニッツ財務相とギデオン・サアル教育相は新大学の承認に急ぎ、前者は今後数年間で1200万ドル以上を投入すると発表した。
イスラエルの7つの公立大学の学長らはベンヤミン・ネタニヤフ首相が新大学の承認を阻止するよう介入するため説得を試み、首相に承認への反対を強調する書簡を提出した。学長らは書簡で、「高等教育の将来を犠牲にすることは許されない。アリエルの単科大学を総合大学として承認することは政治的決定であり、イスラエル高等教育の崩壊という莫大な対価を支払うことになる。」と伝えた。ところがネタニヤフ首相は介入どころか書簡に答えることもしなかった。これは党中枢の同案に対する支持、さらにはイデオロギーに基づく同案への情熱を考慮しての判断だと思われる。将来のいかなる合意の枠組みにおいてもアリエルはイスラエルの一部となるという主張はこれまで幾度もなされてきた。
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( 翻訳者:秋山俊介 )
( 記事ID:27417 )