エジプト:ナースィル湖でハイダム新設計画
2012年09月01日付 Al-Ahram 紙


■ナースィル湖でのハイダム新設に関する巨大プロジェクトは意思決定者を待つ

2012年9月1日 土曜日 『アル=アハラーム』

【アハラーム主催シンポジウム:マフムード・ムラード】

本プロジェクトはとてつもなく巨大なものである、発案者は、今も昔もエジプト人の生活の根幹を成しているナイル川の水問題を専門にしているエジプト人学者だ。彼は、自身の構想を関連のある他分野の学者仲間に提示した。そこで彼らが構想を具体化し、完遂するために調査や研究を行った結果、プロジェクトは明確なものとなったのである。

実際に「巨大プロジェクト」と位置づけられるまでに至った本計画は、東西2つの砂漠に囲まれた南部エジプトに真の開発をもたらす革命的ものである。また、地域間の凄まじい格差や貧困を解消し、人々や大地の営みを向上させ、国家全体の包括的な開発にも貢献する。さらに、陸上・河川・鉄道ルートによる相互のつながりを通して(密輸用の細道やトンネルではなく)、スーダンとアフリカ諸国との同胞関係を深化させ、強化させるものである。このことは結果として、貿易活動や知識と文明の接触を促進させるだろう。

本プロジェクトとは、巨大なアスワンハイダムの兄弟分となる新たなハイダムの建設に関する計画である。新ダムは、世界最大の人造湖の1つとされるナースィル湖の中心に広大なスペースを用いて建設される予定である。エジプトにもたらすと見込まれる新たなメリットの中には、かつて蒸発により空気中で失われていた25億立方メートルのナイル川の水や、約400メガワットの発電力(約100億キロワット/時。現時点での国内の平均販売価格で約25億ポンド)を確保できることや、約7年間を予定される建設期間中やその後の稼働時にも就労機会を創出できることが挙げられる。

これらの直接的なメリットに加えて、新ダム(我々は一時的に「ウンム・シンベル・ダム」と名付けている)の建設やダムで発電される電力がもたらす莫大な利益がある。 それに加えて、エジプトに配分されているナイル川の水量は555億立方メートルほど増量する見込みだ。さらに、ダムの堰が東部砂漠と西部砂漠をつなぐ陸路や鉄道網ともなるという利点がある。その鉄道には、時速250キロメートルで走る列車が導入され、各地と連結される予定だ。

本プロジェクトの初期調査の中で、ウンム・シンベル・ダムからハラーイブ及びシャラーティーンに至る東部路線の敷設計画が提案された。同地域からは南北に向かって2つの路線が伸びている。南下する路線は、スーダン国境を越えて同国内の各都市や他のアフリカ諸国へ至るものだ。北上する路線は、紅海沿岸のマルサー・アラムを経て、サファーガー、アル=ガルダカ、スエズへと至る。スエズからは、カイロに繋がる西向きの路線がある。

同様に、新ダムからトシュカーへと伸びる西路線が計画されている。トシュカーでは54万フェッダーンにも及ぶ〔運河建設による大規模農地開発〕計画が実施されており、鉄道敷設は同計画の活性化につながる。また、東部砂漠の深奥やアル=ワーディー・アル=ジャディード、アレキサンドリア、マルサー・マトゥルーフに至る路線の開通も計画されている。このように各地を繋ぐようになる。通信と交通(とりわけ鉄道)が、さまざまなプロジェクトによって繁栄をもたらすことは周知の通りだ。

(後略)

(本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介
されています。)

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( 翻訳者:西舘康平 )
( 記事ID:27495 )