イスタンブルへの観光客数は爆発的に増加している。イスタンブル県文化観光局が発表した統計によれば、1~8月間にイスタンブル を訪れた観光客の数は、昨年の同じ期間に比べて17.8%増加し、614万8千人に上った。トルコ観光ホテル業者・企業経営者・投資家連合(TUROB) のティムル・バユンドゥル会長は、年末には観光客1千万人という目標に非常に近づくだろうと言う。
トルコの主要観光地のひとつであるアンタルヤでは今年は昨年より観光客が少なかったが、イスタンブルではその正反対となった。
8月には昨年の同月に比べて28.9%観光客が増加したことで、1~8月にイスタンブルを訪れた観光客の数は614万8千人に上った。昨年の同期間の観光客数は521万7千人であった。
■注目の的
観光業関係者は、イスタンブルがこれほどまでに人々を引きつけている背景には、イスタンブルという都市のブランド的価値が上がったことにあると話す。さらに、絶えず効果的な広報を行っていることも、イスタンブルに注目を集めるという効果を生んでいると言う。
世界のその他の観光地に比べて物価が安いことや、国際会議の数がどんどん増え、アラブ社会のの強い関心がイスタンブルに向いていることも、イスタンブルの観光客数増加に一役買っており、その数は年間1千万人に近づいている。
■リビア人観光客が活気を取り戻す
1~8月間にイスタンブルを訪れた観光客数を昨年の同期間と比べると、最も増加率が高いのはリビア人であった。リビア人観光客数は昨年に比べ716%増加し、13万1269人となった。
ターリムハーネホテル業協会運営委員会会員であるイスメト・オズタヌク・ルーキスグローバル社副社長は、「今年、ローシーズンのイスタンブル観光業界を助けたのはリビアでした。リビア暫定政府の幹部指導者ら、戦士、医師、学者らなどのイスタンブル訪問により、宿泊業界と病院は活気を取り戻しました。これらの支払いは、代理店を通じて領事館などが行いました。多少の遅れはあっても、今のところ未払いのものはありません」と話した。
1~8月間の統計を見ると、イラク、チュニジア、エジプト、イラン市場から観光客が非常に増加している。イラク人観光客は昨年の同期間に比べて44.2% 増加して13万7237人、チュニジア人観光客は50.6%増加して5万2547人、エジプト人観光客は49.1%増加して6万8378人、イラン人観光 客は23.4%増加して28万4866人であった。
■欧米人観光客も活発
アンタリヤでは観光客の減少が見られたが、イスタンブルを訪れる観光客の数は非常に増加している。
イギリス人観光客数は昨年に比べて11.9%増加して28万1594人、ドイツ人観光客は9%増加して70万8863人、イタリア人観光客は7.1%増加して28万5153人、フランス人観光客は7.5%増加して29万5320人であった。
■年間1千万人にあと一歩
ティムル・バユンドゥルTUROB会長は、広報活動のおかげで外国人がイスタンブルに興味を持つようになったと話す。「イスタンブルというブランドの価値は上がっています。また、ホテルの質も満足度も高いです。外交で問題が起こらなければ、このイスタンブルへの関心はもっと高まっていくでしょう」と述べた。
バユンドゥル会長は、イスタンブルの年間観光客数1千万人という目標を掲げ、今までの数値を見れば年末にはこれに非常に近づく状態であると言い、 「ラマザン月が夏だったので、中東からの観光客数は通常よりも減少します。今年は、トルコ航空と文化観光省が行った広報のおかげで、昨年のラマザン月に比べて10%以上観光客の増加が見られました。しかし、これでは十分ではありません。来年の広報をもっと早期に始めれば、ラマザン月にももっと観光客を呼び 寄せることができると思います」と述べた。
バユンドゥル会長は、イスタンブルがシリアとイスラエルという2つの大きな市場を失ったことに注目し、「これらやヨーロッパでの経済危機にも関わらず観光客数が増加したことは、実はとても大きな功績です。今年は、サウジアラビアやアラブ首長国連邦から来る観光客数が非常に増加しています。イランという市場も忘れてはなりません。昨年ショッピング・フェストで最も消費していったのはイラン人観光客でした。イラン人観光客には特に重きを置く必要があります」と話した。
■イスタンブルが再び脚光を浴びる
ターリムハーネホテル業協会運営委員会会員であるイスメト・オズタヌク・ルーキスグローバル社副社長は、イスタンブルが注目されている理由のひとつは、イスタンブルという都市のブランド的価値が上がっていることだと言う。
オズタヌク副社長は、イスタンブルは世界的にも人気のある都市だと言い、「広報が効果的でした。また、世界の他の観光地に比べて物価はまだまだ安いで す。中東からの観光客だけでなく、欧米人観光客もイスタンブルに非常に関心を持っています。イスタンブルを訪れる観光客は、かつては世界的チェーン経営のホテルにしか泊まっていませんでしたが、今や我々のような地元のチェーンホテルにも予約しています。観光客と我々の間に、親密な信頼関係が築かれました。イスタンブルは再び脚光を浴びていると言えます。更に、まだこれから伸びる可能性が十分にあります」と話した。
オズタヌク副社長は、9月はイスタンブルのホテルの満室率は通常90%ほどになると言い、年末までこの程度の高い満室率で続いていくだろうと推測する。同副社長はまた、イスタンブルを訪れる観光客の質が高くなっていること、消費も増えていることに注目した。
(本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介
されています。)
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( 翻訳者:津久井優 )
( 記事ID:27560 )