AKP新中央執行委員会布陣にみるエルドアンの戦略―「国民の視座」への回帰?
2012年10月06日付 Cumhuriyet 紙
エルドアン首相の選択によって、公正発展党(AKP)の中央執行委員会(MYK)では、この11年間に類を見ないほど「国民の視座」と「中道右派」が重視され始めた。この人事は、2014年大統領選とその後を見越したものとなった。
タイイプ・エルドアン首相は、今後3年間に行われる3つの選挙で党を運営するAKPの新たな中央執行委員会(MYK)の人員を選出した。この人事は、2014年大統領選とその後を見越したものとなった。エルドアン首相の選択によって、AKPのMYKは、この11年間に類を見ないほど「国民の視座」と「中道右派」を重視したものとなった。党のナンバー・ツーの座にはメフメト・アリ・シャーヒン議員が就き、2014年以降に関する「受託者」とみなされるようになったことで、「次の首相は誰か」という議論が激化した。
エルドアン首相は、党の執行部であるMYKの人事でも、党大会で中央決定執行委員会(MKYK)に適用した変更に似たバランスを注視した。党大会でエルドアン首相は、ネジメッティン・エルバカン元首相に言及して国民の視座を強調するスピーチを行なっていたが、今回のMYKの人事も、党の今後の政策においてもこれが決定的なものになるというメッセージを伝えるものとなった。(人民の声/HAS)党を解党してAKPに合流したヌマン・クルトゥルムシュ議員と、党のナンバー・ツーの座に就いたメフメト・アリ・シャーヒン議員は、エルドアン首相がMYKのために選んだ国民の視座出身者である。MYKの他の国民の視座出身者としては、エルドアン首相とともに、サーリフ・カプスズ議員、エクレム・エルデム議員がいる。エルドアン首相のこの選択によって、AKPのMYKでは国民の視座が重視されることになった。
初のMYK入りを果たしたイスタンブル選出のムスタファ・シェントプ議員は、特に憲法問題でエルドアン首相の信頼を受けており、クルトゥルムシュ議員に近い人物として注目されている。一方MYKに留任したオメル・チェリキ議員は、エルドアン首相の最も信用する人物の筆頭である。
エルドアン首相は党大会で、国民の視座を主張すると同時に、2071年に狙いを定めて右派保守派周辺にメッセージを伝えるスピーチを行なっていた。このスピーチがMYKに反映されたものが、中道右派の展開であった。エルドアン首相は、スレイマン・ソイル元民主党(DP)党首、アンタルヤ選出のメンデレス・トゥレル議員を登用することで、MYKにおける中道右派の人数を増強した。AKP結党時に正道党(DYP)を離党して合流したヒュセイン・チェリキ議員を含め、12人からなるAKPのMYKのうち、中道右派出身のメンバーの数は3人となった。
■受託者の首相か?
シャーヒン議員が党のナンバー・ツーの座に就いたことで、「エルドアン首相が大統領となったらシャーヒン議員が首相となる」という見方も生まれた。周知のようにシャーヒン議員は、エルドアン首相との最も古い政治的な過去を持つ人物である。シャーヒン議員は、エルドアン首相が福祉党(RP)の県支部長であった時代に同じ県の行政に携わっており、エルドアン首相との政治的なつながりはより古いものであることが知られている。エルドアン首相は政権に就いてからも、シャーヒン議員を法務相、副首相、トルコ大国民議会(TBMM)議長といった職に任命した。シャーヒン議員は、最近ではAKPの憲法制定委員会のメンバーとなり、エルドアン首相の最も信頼する人物として首相就任のチャンスが高いと見られている。しかしこの選択が、2年間続く「エルドアンが大統領に就任したら次期首相は誰か」という問いと緊張をさらに増加させるであろうことも明らかである。
(本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介
されています。)
この記事の原文はこちら
原文をMHTファイルで見る
( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:27797 )