エジプト: アル=カーイダのリーダー、アッ=ザワーヒリー氏の声明に対する反応
2012年10月28日付 al-Hayat 紙

■エジプト: イスラーム主義者たちがアッ=ザワーヒリー氏がムルスィー大統領を“煽動している”とみなす一方で大統領府はアッ=ザワーヒリー氏の批判を無視

2012年10月28日(日)『アル=ハヤート』
【カイロ:本紙】

「アル=カーイダ」の指導者のアイマン・アッ=ザワーヒリー氏はエジプトのムハンマド・ムルスィー大統領の統治に対し、厳しい批判を述べた。アッ=ザワーヒリー氏はエジプト人に対し“イスラーム法を施行するための新たな革命”を呼びかけた。一方でエジプト共和国大統領府は、アッ=ザワーヒリー氏からの批判について言及をしなかったが、イスラーム政治潮流は「受け入れることのできない煽動である。」と述べた。

アッ=ザワーヒリー氏は録音された声明の中で以下のように言及した。「エジプト人はアメリカの影響から解き放たれたエジプト人の政府を望んでいる。同様に、パレスチナのイスラエルに対する勝利も望んでいる。」そして「戦いは終わっていない、しかし始まった。」と付け加えた。また「崇高なエジプトの民よ、流産に終わった革命を完遂するための人民運動を」と呼びかけた。その上で、「エジプトのイスラーム共同体は、(革命の)終わりに向けたイスラーム法支援のための戦いに乗り出さなくてはならない。」と述べた。また、ムルスィー大統領への質問として、①対イスラエル政策の考え、②エジプト人コプト教徒への考え、③イスラーム法実践のため仕組みについての考えを挙げた。さらに、アッ=ザワーヒリー氏は、アメリカで収容中の「イスラーム集団」指導者ウマル・アブドゥッラフマーン氏について、同人の身柄と交換するための西欧人誘拐(方針の)堅持を確認した。

アッ=ザワーヒリー氏の声明は、エジプト治安部隊がテロ細胞と称する集団を摘発した数日後に発表された。この細胞については、アル=カーイダと関係していると言われている。なお、これとは別に、最近釈放されたジハーディストが武装組織の結成に尽力しているという情報もある。

また「ムスリム同胞団」幹部のアリー・アブドゥルファッターフ氏はアッ=ザワーヒリー氏の声明について「メディアに対するアピール」を意図しただけであるとみなした。そして本紙の取材に対して、「彼の言葉は繰り返しである。ムルスィー大統領が実現した成果は、期待よりもはるかに大きい成果だった。ムルスィー大統領は、エジプトの軍事統治を終わらせ、エジプトから監視機関を一掃した。これは、暫定憲法宣言の廃止と汚職問題(追及の)道を開くことを可能にするだろう。」と述べた。そしてイスラーム法の実現には、さまざまな手段があるが、暴力のみに頼ってはならないと述べた。そして「私たちは社会を段階的に変革することことに尽力しており、アッ=ザワーヒリー氏やその仲間が行った煽動から選挙を通して選ばれた初めての文民大統領を安定させることに尽力している。」と明らかにした。

アブドゥルファッターフ氏は対話の中で、特にイスラエルとの関係について次のように述べた。「ラファハ検問所を開放し、パレスチナ問題を支援している人、それはムルスィー大統領である。ラファハ検問所が長期にわたって開かれることは、大統領がパレスチナ問題を支援していなかったらありえなかった。そして彼は決して“イスラエル”という言葉を持ち出さない。こうした態度を示すこととして、エジプトは、ガザの建物の復興のための建材をガザに搬入することを支援している。」そして「アッ=ザワーヒリー氏はその煽動の中でメディア的“アピール”を望んだのであり、それ以上のことではない。エジプトには彼の支持者はそもそもいない。」と付け加えた。そして治安部隊がナースィルシティーで発見したテロ細胞と、アッ=ザワーヒリーの声明との関連を否定した。

(後略)

(本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介
されています。)

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( 翻訳者:小島明 )
( 記事ID:28056 )