裁判期間短縮のための法、国会法制委員会通過し成立
2012年10月31日付 Radikal 紙


トルコ大国民議会(TBMM)司法委員会は、欧州人権裁判所へ提訴を妨げるため、裁判期間短縮のための法案を成立させた。

公正発展党(AKP)アンカラ選出のアフメト・イイマヤ議員を委員長とする委員会で、「欧州人権裁判所への提訴を賠償金支払いにより解決する件に関する法案」が審議された。

法案を委員会に提出したサードゥッラー・エルギン法務大臣は、トルコが欧州人権裁判所に対し個人による提訴の権利が認められた1987年以来、提訴された件数がロシアに次いで2番目に多く、47カ国ある欧州評議会加盟国のなかで最も違反判決を下されている国だと語った。

エルギン法相は、2012年9月30日時点で、欧州人権裁判所へ提訴されたトルコへの件数は1万6850件であり、この数は欧州人権裁判所への全提訴数の12パーセントを占めていると述べた。また、同裁判所によって1959年から2011年の間トルコに対して不利な2404件の判決が下されたと説明し た。

エルギン大臣は、この状況を変えるために法務省に人権局が設けられ、3つの法案が出されたと語った。続けて「この4年間には、最高裁判所へ年間平均 65万件の申請があった。55万件の申請が審議され判決が下った。10万件の申請は審議待ちになった。2007年初め、最高裁の審議待ちの申 請数が65万件になり、この数は2011年の終わりには115万件になった。現在、審議待ちの案件は88万以下となった」と述べた。

エルギン法相は、法案は、審議期間が長いために欧州人権裁判所へ提訴した同胞たちが、欧州人権裁判所の判決を待たずに、彼らの弊害を除くのに効果的なシステムをつくろうとしたものである、と語った。

法相は、裁判に際し適切な期間で判決が下されないため、欧州人権裁判所には、毎年トルコに対して約1000件の提訴申請があると述べ、この申請数は年末までに3500件に上るだろうと語った。

■「とても残念である」

エルギン法務大臣は、(国内での)提訴申請に関して判断を下す委員会についても語った。

エルギン大臣は、委員会が欧州人権裁判所で審議待ちの1万6500件の提訴について話し合うために設けられたと語り、「1万6000件もの提訴申請中、審議に時間がかかる3500件に関して、欧州人権裁判所は一年間の猶予を与えた。『試験的なことをおこないなさい。私があなたの解決法を、効果的な国内法の方法として認めた ら、残る3500件もあなたに任せましょう。その中で解決なさい』」と述べた。続けて、「トルコへの違反判決が、欧州評議会加盟国の中で2404件と最も多いことはとても残念でならない。過去10年間については、我々にも責任がある。このことはトルコの恥であり、トルコが抱える重要な問題の一つだ。これを削減し、そして中長期期間で裁判を終わらせるため、努力している」と語った。

エルギン法相は、委員会は行政的な活動を行うのであり、司法的判断は行わないだろうと述べ、「欧州人権裁判所の基準に基づいて、今回の法案では長期的な審議があったか、なかったかを扱うことになる」と語った。

野党の国会議員らは、今回の法案を批判した。共和人民党(CHP)ウシャク選出のディレキ・アカギュン・ユルマズ国会議員は、委員会の構成が適切でないと述べ、行政裁判所、最高裁判所、弁護士会の代表者たちも委員会に出席する必要があったと語った。

■法案の内容

委員会が可決した法案は、欧州人権裁判所に提訴された案件を賠償金支払いにより解決する原則と方法を明らかにしている。

法案によると、改正点は、刑法の範囲内での捜査や訴追と、私法や行政法と関わる裁判が、妥当な期間で決着し、裁判所の決定に遅延や欠陥があったか否かについて欧州人権裁判所に実施された提訴を対象としている。

行政的審査を対象とする提訴については、この法案は扱わない。

提訴申請に判決を下すため、法相が任ずる裁判官と検察官の間からの4人、財相が任ずる1名からなる、計5名の委員会が新設される。

委員会への申請は、欧州人権裁判所への提訴日や数字を示す公式登録認定書、申請書や他の情報・書類とともに、申請者の身分証明書類を含む署名入り請願書によって行われる。

申請は、この法案が法制化し、施行となった日から6か月以内になされる。

■9か月以内に結論を出すだろう

申請は、今後共和国検察当局の仲介で行われる。申請に関わる今後の用紙では、印紙税、手数料などが控除される。

委員会は、提訴申請が、欧州人権裁判所が予期する国内法での道が尽き、他に術がないような状況を帯びていないこと、委員会へ期間内に申請がなされていないこと、提訴に法的メリットがないこと、提訴が法の中身に含まれないことを確認すれば、提訴を退けることできる。

委員会は、提訴に関して、9か月以内に結論を出す。委員会の決定に対して通知以降15日以内にアンカラ地方行政裁判所に異議を提出できる。賠償金支払いが決定した際には、判決後3か月以内に財務省によって支払われる。

改正点は、2012年9月23日時点で、欧州人権裁判所に登録された申請について適応される。この期間は、法務省の提案を受けた閣議決定により変更できる。

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( 翻訳者:大久保はるか )
( 記事ID:28090 )