女優カヴルク、PKK党員を演ずるけど、共感はない
2012年11月25日付 Radikal 紙


オズギュル・カヴルクは2000年に演じたテレビドラマ「デルマン・ベイ」シリーズから今日まで、12年間第一線で活躍している。ドラマ「こうなるはずだったの」「医師」「フェンスの向こう側」など、高視聴率のドラマの「悪役女優」オズギュル・カヴルクは、スタイルの良さと眼光の鋭さで、道で見かけたら振りかえってしまうほどの女性である。
モデル業から始まるキャリアに引き続き、最近では毎週水曜夕方TRT1で放送されるドラマ「サカルヤ・フラト」で、PKK党員ジヤンを演じるカヴルクに取材を行った。


―あなたを長いことドラマで見ていますが、皆あなたを知っているのに名前を聞いても「どこかで聞いた気がする」と言われていますね。あなた自身の口から自身を語っていただけますか?

はい。これはずいぶん前から気付いていたことです。人々は写真で見れば私だと分かりますが、名前を知りません。それはこういうことだと思います。私はメディア的な人間ではありません。私は仕事上、自分の仕事をメディア的にしようとは思っていません。私が思うに、人々はオズギュル・カヴルクにかんして多くのことを知れば知るほど、私が演じる役を信じることがとても難しくなります。そのため、可能な限り私自身のプライベートに関する情報は公開したくないのです。

―それでは、私が知っていることを言いましょう。アイドゥン、ソケ出身。モデル業からこの業界に入った・・・

ええ。15歳でモデルを始めました。2000年にドラマ「デルマン・ベイ」で女優業に入りました。あの頃はモデルも、司会者も、女優もやっていました。同じ頃イェディテペ大学の英語コミュニケーション学科で勉強していました。2年間、一日2時間の睡眠時間で過ごしていました。そのため、一つを断念しなければならなくなり、司会者を辞めました。モデルと女優はもう1年続けていましたが、2002年にモデル業も辞め、完全に女優業に専念しましたいと思いました。一番やりたかったのが女優業だったのです。

―確固たる姿勢をお持ちですが、好ましくない状況に直面したならすべて強気で立ち向かうのですか?

私生活に干渉されましたら、ええ、強気で立ち向かいます。だって私生活ですから。第三者が干渉することには、それが家族であっても許しません。

―ドラマ「サカルヤ・フラド」で配役を得ましたが、制作チームにはどのように馴染んでいったのですか?

私はドラマに114話目から出演しました。このシーズンはドラマの第4シーズンです。それまでの3シーズンは大成功を収めている作品でした。オスマン・スナヴ監督の作品です。前シーズンの終わりに主人公のPKK党員の女性キャラクターが殺害されました。今シーズン、新しい女性キャラクターが必要となりました。そこで私が新たにPKK党員ジヤン役でドラマに出演しました。

―共感しましたか?

私がPKK党員に共感することはあり得ません。

―では、一人の役者として役作りの段階ではどうしたのですか?

私にとって私が演じる女性はとても大切です。ジヤンもそれに含まれます。ジヤンを演じるための役作りは、少し辛かったです。どんな役でも女性を演じるときは、同じような辛いプロセスを経験します。なぜなら、私の仕事は簡単ではないですから。自分という人格の他に、もう一人の人格を持たなければなりません。全く知らない女性と知り合って、仲良くなって、親しくなって、その後彼女になる・・・役作りの過程で私独自の役作りの方法がありますが、それは言えません。

―この女性がなぜPKKに入ったのか、何故国家への反逆行動をとったのか、考えたことがありますか?

もちろん考えました。考えなければ役に入り込めません。

―それなら共感したのですね・・・

この女性は誰なのか、食べ物はどうやって食べ、どう歩き、くせはあるのか、あるならその癖はなぜするようになたのか・・・これらすべてを考えました。あなた方はその人物のある歳より後を見ていますが、私たちはそのキャラクターの子供時代、生き方、なにをしたのかなどなど、こうしたことに至るまで考え、その役になるのです。これらをプロデューサーや脚本家と話し合いながら、役がどんな状況になるのか聞いたあと、その役の人物に関するいっときの人生の旅(追体験)をするのです。このようにして共感を作っています。そうでなければPKK党員に共感するようなことはありえません。

■多数のクルド人女性を演じた。ジヤンも喜んで演じている

―役に関して誤解されるのではと心配もあるように思いますが…

いいえ、何の危険性もありません。これは完全に個人的な反応です。私はトルコ人で、トルコで暮らしています。これ以外には何も言えません。政治的問題に関して話したくはありません。なぜなら私は自分の考えは、女優という仕事によって表現していると思っていますから。

―あなたは「フェンスの向こう側」でもクルド人女性を演じていましたが、今回もクルド人女性を演じていますね。演じた2キャラクターに他に共通点はありますか?

実は私はとてもたくさんのクルド人女性を演じました。クルド人女性を演じることは好きです。ジヤンもとても喜んで演じています。演じるすべてのキャラクター一人ひとりが異なっていますが、共通する特徴もあります。力強いキャラクターを演じるのが気に入っています。何かを訴えかけ、悲しみを持った女性を演じることが好きです。

―ドラマは人々の心に明確なイメージを構成しますが、あなたはドラマが政治や人々の政治観に影響すると思いますか?「サカルヤ・フラト」は視聴者にどのような影響を残すと思いますか?

「サカルヤ・フラト」は今日的な、そして微妙な危うい問題を扱っています。人々の苦しみ、葛藤があり、人々の心を動かすテーマがあります。視聴者はこのドラマから影響を受けないことはあり得ないでしょう。もっとも、我々は「狼の谷」のチャクルが死んだといって、彼の追悼礼拝を行った国に住んでいます。ドラマは社会に多大な影響力を与えています。

―あなたを最近までずっと悪役女性役として観ていました。こうしたキャラクターに対する反応があなたに何か影響を与えましたか?

ツイッターとファンページに様々なメッセージがきます。特に、「医師」で演じたビルゲというキャラクターに対する反応がツイッターから私に届きました。この反応は非常に私にとってお気に入りです。というのも、人々はビルゲという女性を実在する人物だと考えていたのです。これを私は自分の演技が成功したからだと思っています。

―PKK党員の役を演じていらっしゃいますが、こうした反響の面に変化があることが心配ではないのですか?

それについての覚悟はできています。人々がこれらのキャラクターに対し示すであろう反応は、既に私が持った反応でもあります。さあ、どうなりますか。


(本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介
されています。)

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( 翻訳者:倉田杏実 )
( 記事ID:28346 )