「母語での法廷弁論」法、委員会審議大混乱
2012年11月27日付 Radikal 紙


共和人民党(CHP)のエミネ・ウルケル・タルハン会派副代表は、 「母語での法廷弁論」に関する法案の条文が 「脅迫的で強制的」であると主張し、「明日(将来)母語を理解する裁判官の要請がくるだろう」と話した。

トルコ大国民議会(TBMM)司法委員会において、一般に「母語での法廷弁論権」として知られる法案が憲法に違反しているか否かという議論が続いている。

野党は、法案は憲法違反であるとの考えに基づき、平和民主党(BDP)アダナ選出のムラト・ボズラク議員は、「この法案は憲法違反であると言われているが、なぜ違反しているのかは述べられていない。心配してもしょうがない、あれこれ心配しても、トルコでは問題を解決することは不可能であるからだ」と述べた。

共和人民党(CHP)エスキシェヒル選出のスュヘイル・バトゥム議員は、「これほどひどい法案は、ひどいとわかっていて準備したのか、それとも他の意図でもあるのか分からない」と話した。また、世界に「法廷弁論権」はあれども、「母語での法廷弁論権」は聞いたことがないと述べ、この法案は公用語を明らかに否定していると主張した。

民族主義者行動党(MHP)イスタンブル選出のジェラル・アダン議員は、この法案に対しサドゥッラー・エルギン法務大臣も、国民の統一に賛成する人々も神経をとがらせていると述べた。

同議員は、「今後数日間で、私たちは非常に困難な議題を取り上げることになる。検察官がハブルに来た人々、(訳註:2009年トルコ政府主導でクルド問題民主的解決のため、PKKに呼びかけハブル国境門からの投降を呼びかけた出来事。最終的には失敗に終わった。このことを指していると思われる)を調べるなら、首相も閣僚も県知事も自らを救うことはできない(すなわち、首が飛んでしまう)」と話した。

またアダン議員は、「棺に入れられた兵士の遺体が目に入らないいい加減な者たちが、ハンガーストライキが起きたときに人道を語ることなど、間違いなく恥ずかしいことである」と述べ、今日、国は分離主義者に降伏してしまったと主張した。

アダン議員は何度か手で机を叩きながら話を続け、この会議を注視しているのはトルコではなくカンディル(PKK)であると述べ、「クルド人の代表はこの無法者たちであり、ハンガーストライキをしている者ではない。あなたがたはこの問題に屈服したのだ。私はアフメト・イイマヤ氏を昔からよく知っている。彼はこうした状態を、気が遠くなるほど(の失望や怒りで)不快に思っている」と話した。

MHPコンヤのファルク・バル議員は、この法案を批判し、「彼らのこの要求は十分ではない、明日再びハンガーストライキが起これば、あなたがたは彼らの要求に従うつもりか、地図を持ってやって来たら彼らの要求を満たすのですか、大臣殿?譲歩(屈服)に際限はない、「ここまでだ」というべきであり、国のスタンスを示すべきだ」と述べた。

■「我々にも通訳が必要になるだろう」

CHPのタルハン議員は、ワシントンでの世界裁判官会議の後に採択された宣言において、「トルコの裁判官・検察官高等委員会(HSYK)は、政府の一機関となった」と言及されたと語った。

タルハン議員は、この法案が憲法にも立法手続きにも反していると述べ、なぜ同法案の作成が委員会に持ち込まれたかを知っていると話した。

また「法廷弁論権は神聖なものである、そうである、しかし、あなたがたはその権利を無視してきた」と述べ、法曹界に対して弾圧が行われていると同時に、法廷弁論権が蔑ろにされていることが明らかになったと述べた。

同議員は、「この条文は、脅迫的で強制的なものである。言語によるマイノリティを作り出そうとする試みを見逃してはならない。社会の洞察力を馬鹿にしてはいけない。あなた方のせいで、私たちにも法廷弁護権のために通訳が必要になるだろう。明日には以下のことが、我々に進言されるだろう;『裁判官が被告の言語を理解できなければ、裁判は無効である』と。明日母語を理解する裁判官の要請が届くだろう。裁判官はクルド語、アルメニア語、シリア語、ラズ語を理解するよう期待されてはいない。この問題は明日にはどうしようもない状況になってしまう可能性がある。

この分裂や分断を求めるのは自由主義者であると言われているが、望んでいるのはテロリストだけである」と話した。

MHPのオクタイ・ヴラル会派副代表は、「私はあなた方の責任を問いたい」と述べた。
「あなた方の責任は単に第24期の国会議員としての責任だけではない、国民を共に未来へと導く責任があるのです」と強調するヴラル副代表は、今日ここで誤った一歩を踏み出せば、取り返しのつかない事になると述べた。

また「私たちは良心と名誉に基づき宣誓を行いました。何をするようにとあなた方は勧めているのですか、大臣殿?トルコ語はそれほど排除されるべき言語だろうか?この国民にいかなる罪があるのか。その罪とはトルコ語を理解し、話すことだというのか?あなたがたは法律によってトルコ語を排除しようとしている。明日これを議会に提出するのだろう。ここまで来たら、言わせてもらおう、傍らに通訳を用意しておくつもりなのか?『あなた方はこの国民の言語を分割する法律を通過させた』とみなされるようになりますよ」と述べた。

■「母語ごとの検察官や警察官を用意するつもりか」

MHPエルズルム選出のオクタイ・オズチュルク議員は、「私たちは疑念を抱いているのではない(現実の問題、切実な問題だ)。今日の議論もかつては絵空事であったが、現実のものとなった。母語ごとに検察官や警察官を提供し、起訴状や裁判記録を被疑者の母語に応じて書くつもりなのか。罪を犯して勝訴した者は、また犯罪を続けることになる」と述べた。

MHPカイセリのユスフ・ハラチオール議員は、「将来、呪いの言葉と共に思い出されるのではなく、愛と祈りとともに思い出されることこそ、皆が願っていることである」と話した。

CHPメルシンのイサ・ギョク議員は、平和民主党(BDP)のボズラク議員が委員会唯一の「勝者」の政治家であると述べ、「3党は敗北した」と話した。

■「特定のエスニックグループへの言及があるか?」

サドゥッラー・エルギン法務大臣は批判に回答し、「国家の言語はトルコ語であるのに、あなたがたはトルコ語以外の言語を作り上げている」と言われ批判されていることに言及し、ミュムタズ・ソイサル教授の見解、「国家の言語がトルコ語であると言うことは、すべての公務はトルコ語で行われ、公式文書や書簡はトルコ語で書かれると言うことである。公用語がトルコ語であるということは、全員が常にトルコ語を話すということではない」を示した。

エルギン大臣は、この法案により、被告が自らをより良く表現することができる言語で弁論するようになると述べ、「エスニック特権と言われている。しかしこの法案において、特定のエスニックグループへの言及がありますか?」と語った。

また大臣は、法案が憲法違反であると言われていることに触れ、「トルコ語を知っている子どもたちがフランス語教育を行う学校で教育を受けている。それならばこれも憲法違反になるのだろうか?」と答えた。

エルギン大臣は、国家の公用語はトルコ語であると述べた。

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( 翻訳者:大門志織 )
( 記事ID:28369 )