シリア:アル=アサド政権が紛争解決に向けたイニシアチブを提示
2013年01月07日付 al-Hayat 紙
アル=アサド大統領
アル=アサド大統領

■アル=アサド大統領:我々は戦争状態にあり「テロ」を看過しない…「血にまみれた」反体制派との対話はない

2013年1月7日『アル=ハヤート』

【ダマスカス、ロンドン:本紙】

バッシャール・アル=アサド大統領は昨日(6日)21ヵ月前から続くシリアの危機の「政治的解決」に関する考え方を示した。三つの段階からなるこの解決策は「武装勢力への資金援助、武器供与、潜伏先の提供の停止」への関係国および国際社会の「履行」に始まり、これを受けたかたちで武装部隊の作戦を停止するとともに「現政権」が対話および対話大会を立ち上げ「国民憲章」の制定、必要な法改正、そして憲法の国民投票を行うことで「新議会の選挙」を円滑に進め、そのうえで、新政府を発足、国民和解大会を開催し、これとともに恩赦を復興、インフラ整備を行うというものだ。

アル=アサド大統領は「いかなる勢力、個人、国家によって提示されるいかなるイニシアチブも、シリアの見解に基づかねばならない。このことは、我々がシリアの危機の解決策とみなし得るものにとって代わる(別の)イニシアチブなどないことを意味する」と述べ「いかなる移行段階におけるいかなる移行も、憲政上の手段を通して行われねばならない」と主張した。また「我々にとって、これこそが現在実行中のものであり、こうした考え方こそが我々にとっての移行段階なのだ」と付言しつつ、政治的なパートナーを持つことの必要性を指摘「これまでの段階を通して、我々はパートナーを目にしたことはない」と断じた。

一方、アル=アサド大統領は、このイニシアチブが「テロとの闘いという問題を看過することを決して意味しない」と強調「我々は字義通りの戦争状態に直面しており、現在、外部からの激しい侵略に改めて対峙している。この種の戦争は、伝統的な戦争以上に過酷で危険なものである」と述べ「一方でシリアを分割 することを目論む者が、他方でシリアを弱体化させようとする者がいる」と警告した。同大統領は「あなた方が、メディアや(外国の)高官を通して(現在)耳にしたり、以前に耳にした概念、考え方、意見、イニシアティブ、声明は、それがアラブの春を起源に置く概念だとしたら、我々にとって重要ではない。それはシャボン玉のようなもので、アラブの春もシャボン玉のようにやがて消えゆくようなものだ」と述べた。

アル=アサド大統領は、ダマスカスの中心に位置するウマイヤ広場にあるオペラハウスのホールの一つで、現内閣閣僚が参列するなかで行った演説で「痛み、悲しみ、憤り、執着心から生じる感情や共感は、巨大なエネルギーである。だが、この地域の歴史上これまで我々が見たことも考えたこともなかったような攻撃の爪から祖国を救済するような愛国的・包括的ダイナミズムに、このエネルギーを転換しない限り、シリアがその試練から抜け出すことはないだろう」と述べ「愛国的ダイナミズムこそが、我々の社会の諸組織が被り、今にも裂けてしまいそうな深い傷をいやす唯一の処方箋であり、シリアを地理的に存続させ、政治的により強くし、社会的にも文化的にも道徳的にも回復させることができる唯一の手段である」と述べた。

(後略)


(本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介
されています。)

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アル=アサド大統領演説の詳細はこちら(「シリア・アラブの春(シリア革命2011)顛末記」)
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( 翻訳者:辰巳新 )
( 記事ID:28804 )