エルドアン首相のオフィスから、盗聴器発見―だれが?なぜ?
2012年12月25日付 Radikal 紙
エルドアン首相自宅の下のオフィスで盗聴器が見つかった直後から、国家諜報機関が大規模な調査をしていたことが明らかになった。最初に盗聴器がオフィスで見つかったのをうけて行われた捜索でエルドアン首相の使用する部屋の三か所でほかの盗聴器が見つけられた。事件の冷静な解決を求めた首相は、安全保障上の不安が生じることを懸念し、この事件を内密に調査するよう求めた。
ヒュッリイェト紙のメテハン・デミル氏がこの事件の詳細を報じた。
先日、タイイプ・エルドアン首相が、仕事場で盗聴器が見つかったことを公表すると、国家の安全保障に対する懸念という形で、この件は、世論で爆弾のように大問題となった。しかしながら、すでに、警察の捜査とならび、諜報機関も事件解明のため、近年で最も大きな捜査を行っていたことも明らかになった。初めに盗聴器が執務室で発見されたのちに行われた捜査で三か所で新たな盗聴器が見つかったという。事件の発覚を受けて、首相がいる建物で働いている職員の身元と個人情報の再チェックが行われた。諜報機関はカメラの記録を調査した。数か月間内密にされてきた事件の詳細は、首相による発表の後、少しづつ表にでてきた。以下が事の顛末である。
■二月に気付いた
「数か月前に起きた」とされてはいるが、実は、盗聴器に最初に発見されたのは二月であった。諜報機関はルーティンワークとして首相府とその関連のオフィスで調査を行っていた。首相の仕事机のすぐ右後ろのコンセントの中に盗聴器が備えつけられているのが見つかり、そのあとに次々に似たような盗聴器が見つかった。事件の解明に諜報機関は着手した。見つかった装置を研究室で検査した。しばらくの間首相の身辺警備を諜報機関に任せることも検討された。しかしながら、その時まで警備を成功裏に実施してきた警備隊に疑いの目を向けられないようにということで、それは行われなかった。とはいえ、のちに秘密裏に首相の近くで働く幾人かの職員の仕事も見直された。この一連の騒動全体を通して首相は特にパニックになることと安全への信頼を失う状況に陥らないために、事件の公表を差し控えるよう望んだ。なぜならばこの事件で「あいつやこいつがやったという噂」が、仕事をきちんとやっていて、疑いの目を向けられて不愉快な思いをする人々に悪い影響を与える可能性があったからである。このような理由で顛末を知る人の数は10人に満たなかった。
■足跡を残す目的はなんだったのか?
諜報活動の世界で経験深い人がこれに興味深い手がかりを与えている。「今、盗聴器の操作調査が行われているそうだ。取り付けた人が何か証拠を残すことはありえない。もしも一つの足跡があったとすると、目に見える手がかりを残して完全に違う方向へ捜査の目をむかせる目的で残されているものに違いない。この件が、複数の人間によって行われたことは明らかである。」
盗聴器を置くことで、ある人々が「私の好きな時に私は盗聴できる。私は好きなだけ近くに忍び込める。私が何を聞いていようがお前は知ることはできない」というメッセージが送っていると理解できる。
■誰がやったのかというシナリオ
事件はいまだ調査中ではあるが、首相の説明の後に今皆の頭の中にあるシナリオが浮かんでくる。首相は、国家の深層にある団体の存在を指摘している。これは、エネルゲコンや似たような団体の可能性があるのだ。これらについては、調査を行われている。しかしながら、幾つかの諜報筋はそのシナリオと別の見解を示している。
ひとつは「宗教団体ジェマートに近い関係者たちが行った」という可能性である。この説はいつも一部の人々が利用する古典的な中傷だ。とても大きくよく知られた団体は、理不尽な疑いの目を向けられがちである。ここで、首相とジェマートを対立させるためにジェマートの名前を利用しようとする悪意のある連中にこそ注意が必要である。
警察内では、違うある組織が護衛部隊を弱く見せる目的で行ったという説がある。これも無根拠である。なぜならば旧護衛局が首相の近辺で働く部隊を、細心の注意をはらって編成したことは確かだからである。
首相の近くで働く顔見知りによる犯行という説がある。これは不可能だ。彼らは皆よく知った同士である。特に秘書局長ハサン・ドアンは、内部への出入りやすべての行動に対し自ら監視を敷いている。首相のそばに行くためにはいくつもの安全基準をパスしなければいけない。
一部の人々と「諜報機関はありもしないものを発見したといい、警察や警備組織を困らせようとしている」と訴えている。しかし、ハーカン・フィダンのような要人が次官を務める尊敬に値する諜報機関がこれを行うとは思えない。
外国のシークレットサービス。これが一番強力な見立てだ。ここで問題は「では、どのようにその機械を設置したのか?」ということだ。応接間で待っているときにごくまれに客が一人になる状況もないわけではないととみられている。
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( 翻訳者:岩田和馬 )
( 記事ID:28823 )