経済・外交政策センター(EDAM)がトルコ全土で行った世論調査は、対EU関係におけるトルコ世論の分裂を浮彫りにした。世論の3分の2はEU加盟を望んでいないという。
調査では、トルコ国内の18県1,509名を対象に、「この先5年間でトルコはEU加盟に関してどうすべきか」という質問が向けられた。これに対し、回答者の3分の1が加盟を強く主張すべきだと答える一方、残り3分の2は正式加盟を断念するという見解を示した。
この事から、世論では正式加盟を断念するという見解がより優勢であることが分かった。但し、正式加盟断念派の中でも意見の相違があることが明らかになった。
EDAMはこの問題に関し以下の様に所見を述べた。
「世論のうち20%は正式加盟の断念、及び共通の利益に根差した新たな関係の構築に賛同している。これらの層を合わせると、EUとの協力関係を支持する割合は50%以上になると言える。また、世論の4分の1が正式加盟を断念し、また新たな関係は不要であると考える一方、15%の別の層は正式加盟を断念し、以後中東地域でEUに匹敵する機関が設立されるべきと考えている。これら40%の層がEU反対派であると理解できる。」
■ 調査結果(グラフ)
「この先5年間で、トルコは...」
・ EU正式加盟を目指し強く主張すべき:33,3%
・ 正式加盟は断念すべきだが、共通の利益に根差した新たな関係を構築すべき:19,7%
・ 正式加盟は断念すべきで、新たな関係も必要ない::25,2%
・ 正式加盟を断念すべき。同時に中東地域でEUに匹敵する機構が設立されるべき:14,6%
・ 分からない/無回答:7,3%
■ 政党間で大きな隔たり
調査結果により、EUについて政党の支持層間で著しい差異があると確認された。
公正発展党(AKP)支持者らの34%が、「正式加盟を目指し強く主張する」という見解を有している一方で、共和人民党(CHP)支持者では、この割合は30%、民族主義行動党(MHP)支持者では、15%に低下した。一方、平和民主党(BDP)支持者は、88%と非常に高い割合でEU加盟を主張している。
■ 今後について反対派は様々
大多数がEU正式加盟を断念するという傾向にあるCHPとMHP支持層だが、加盟断念後にどうすべきかについては違いが見られた。
CHP支持者らの27%が「相互利益に基づく関係の構築」に賛同する一方、MHP支持者ではこの割合は21%となった。これに対し、MHP支持者らの40%が、正式加盟を断念した後、トルコは単独で行動すべきと考え、CHP支持者ではこの割合は、27%となった。新たな協力関係の構築を目指す層の割合は、これら三大政党それぞれ近い割合で、15%前後だった。
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( 翻訳者:藤井庸平 )
( 記事ID:28980 )