オジャラン、待遇に関し「苦情訴え」
2013年01月30日付 Milliyet 紙


アブドゥッラー・オジャランは、市民権を侵害されたという理由で憲法裁判所に請願書を提出し、その中で議論の過程について言及した。

イムラル島で収監されているアブドゥッラー・オジャランは、去年、印刷前に著書が回収されたとして、弁護士を介して個人的な申請を行った。その中で「トルコ共和国民」であることに触れて、権利を侵害されたと抗議した。請願書では「トルコ国内でクルド問題が政府側からも毎日議論されている今日において、この問題に関する書籍を回収するのは法に適っていない」と表現し、昨今の議論を暗に指した。憲法裁判所は、請願書の中で物質的・精神的賠償金を求めたオジャランの申し立てを「不十分である」として退けた。当裁判所は、オジャランが求める賠償金の額と、本件に関 する書類の正本を15日以内に送付するよう求めた。この決定は未だオジャランに伝わっていないため、15日という期限へのカウントダウンは始まっていない。

■トルコ国民

請願書の冒頭では「申請者アブドゥッラー・オジャラン氏は、トルコ共和国の国民である。本申請者は、13年間イムラル島F型高等警戒収容所で服役している。当人はこの13年のうちの10年を独房で過ごした。2009年11月17日にはさらに5名の罪人がイムラル島F型高等警戒収容所に送られた」 と述べられた。トルコ共和国身分証明書番号や個人情報を列挙しつつ、オジャランの一連の権利侵害が明示された。

■人権侵害

請願書では、共和国憲法の「思想の自由」「表現の自由」項目の条項、憲法が認める国際間合意事項の優越に関する第90条の欧州人権規約にある「言論の自由」に関する第10条、国連の市民的・政治的権利に関する協定に違反していると述べられた。オジャランの著書には欧州人権裁判所(AİHM)に提出した本人の主張が含まれていること、回収の決定が憲法で規定されている権利を侵害するものであるということ、欧州人権裁判所(AİHM)に送られ全世界に周知された自己主張の書籍化に干渉することは、憲法上の違反であると触れられた。

■議論に関して

請願書は以下のように続く。「今の時代、著作物への干渉は合法的な措置ではないと結論付けられる。同時に国側の干渉というものは、(本来)適切かつ十分、つまり妥当なものである必要がある。にもかかわらず、全世界で周知された著作への干渉は、それが不適切であることを示している。現在トルコではクルド問題について政府側からでさえも毎日議論がなされている。そんな時代にこの問題に関わる書籍の回収に、合法的な面など見当たらない。以前は触れると社会が不快になるテーマと表現されていた問題に関して、現在はほとんど全ての政府高官が堂々と世論の前で意見を述べている。目下のこの状況は、社会でも、そして他のいかなる場所でも、不快感や反発を招く理由にならない。よって今回の著作への国の干渉は、民主的社会の要求に反するものである。」

主張は無視されており、弁護士は520日間オジャランに会えていない。請願書では今回の干渉の原因はオジャランの主張が無視されていることにあるとされ、さらに以下のように続く。

「政府高官が時折メディアに出す声明からわかるのは、オジャラン氏の主張はまったく価値のないものとされていることだ。政府から許可が下りない為、520日以上弁護士としてオジャラン氏に面会出来ていない。司法制度も、こうしたことの継続に手を貸している。520日間、自己主張の権利、そして他の数ある権利が政府によって認められない中、現在、(請願者の)周知の主張への司法を介した干渉は、法治国家の原則を犯し、そして憲法を犯す政府高官には微小なことであろう。ご覧のように、非常に包括的な問題である表現の自由は、多角的な議論が必要であるにもかかわらず、著者がオジャラン氏であるがゆえに下された今回の決定は、憲法と協定に反するものである。」

■オジャランの要求

請願書では、オジャランの権利が侵害されたことは確かであるとし、干渉の決定が憲法違反であり、物質的・精神的被害を受けたことで、必要な費用・経費の支払を国に要求した。憲法裁判所は請願書に1月14日に判断を下した。今回の請願書には賠償金の額と金額設定の理由が明記されていないこと、国と司法の決定の原本がないのは書類の不備であると指摘した。その上で申請の(再)審査のため、15日以内に書類内の不足を除くよう求めた。この裁判所の返答は、まだオジャランの耳には届いていない。

■市場に出る前に回収された

ヒュリエット紙のメテハン・デミル記者の記事によると、オジャランが欧州人権裁判所(AİHM)に送った主張は『クルド革命マニフェスト、クルド問題 、民主的民族解決策(文化的大虐殺の狭間でのクルド人の主張)』という題で書籍化されたという。だが市場に出る前に「組織のプロパガンダ」であるとして イスタンブル検事総局が捜査を開始し、裁判所から「回収」決定を引き出した。イスタンブルのアララト出版に属するギュン印刷所で印刷段階では捜査が行われ、書籍に関係するものが全て押収された。

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( 翻訳者:白鳥夏美 )
( 記事ID:29057 )