TRT6、視聴者数々の国境を越えて
2013年02月03日付 Radikal 紙


クルド語放送を行うTRT 6は、クルド人が多く暮らすイラク、イラン、シリアから、アフリカ、スカンジナビア、さらにはアメリカにおいても放送されている。

国営放送でのクルド語放送が話題になると、2種類の反応が出た。「分離主義」につながるという意見と、クルド人を「同化」させる目的だと主張する意見である。(クルド語放送開始から)4年間が過ぎた。国は分裂してないし、クルド人が同化してもいない。TRT Şeş(TRT 6)の放送地域はどんどん広まった。国はクルド人が集中して住むイラク、イラン、シリアからアフリカ、スカンジナビア、さらにはアメリカへも放送 を行っている。信じがたいだろうが、アラスカに住むエスキモーたちでさえTRT 6を視聴することができる。クルド語とエスキモーという言葉が並んでいるのは不思議ですよね。TRT 6はアラスカと何の関係があるのか。この問いの答えが気になり、私はTRTのイブラヒム・シャーヒン代表に質問した。イブラヒム代表の説明によると、TRT 6がアメリカに進出する際、湾岸戦争時代にイラクから連れてこられたクルド人の状況が影響したという。2万5千世帯のクルド人が母語で放送を行うPKK(クルド労働者党)のチャンネルを見ていたそうだ。シャーヒン代表は「彼らが視聴できる唯一のチャンネルが分離主義組織の放送だと知り、衛星放送によりアメリカでTRT Şeşを見られるようにした」と語る。アメリカからも「クルド語放送を見たい」という要望の1万以上の署名付きのメールが届いたという。「それで、エスキモーとの関係は?」と尋ねると、イブラヒム代表は笑った。ターゲットがクルド人コミュニティーだとしても、エスキモーたちもクルド語を視聴できる。技術がそうするのだ。

■西洋の人々も視聴しており、好んでいる

アメリカのクルド人たちはTRT 6を好んでいるそうだ。TRT 6の人気番組の一つが「Dengbej(歌手)」である。ヴァン100周年大学の教員のメティン・バルルク准教授が司会を務める。バルルク氏は「強い要望」によりアメリカで公演を行った。局のコーディネーター、フェトフッラー・クルシャン氏の説明によると、中国から電話してくる人もいたという。南アフリカから電話をかけてきたクルド人グループは「ここには250世帯がいる。ここに製作者を送ってください」と望んだという。TRT 6のもともとの視聴者層はトルコ東部・南東部とイラク、シリア、イランである。南東部においてTRT 6はチャンネル別の視聴率10位以内に入ったという。イラク北部においても視聴率は非常に高い。ザホ出身のタラバーニー大統領の妻、ヘロ夫人もTRT 6をよく観るそうだ。TRT 6ではクルマン語とザザ語で放送が行われていた。北イラクの公用語になったと言えるソラニ語はニュース速報に使われている。北イラクからのCMも出始めたという。女性のための番組には特にイラクの女性たちが関心を寄せている。一部の番組は西洋の視聴者の注目を集めているそうだ。昨年の歌の大会はイズミルとトラキアの注目を集めたという。サッカーのバンク・アスィヤ第一リーグの一部の試合が放送されたことも良かったようだ。クルド語放送に対して西洋から反テロや人種差別主義的な反発はおこっているのだろうか。最初は懸念があったが、具体的な反発には遭わなかったそうだ。シャーヒン代表は、TRT 6が「先駆者」となったと考えている。同代表は、「これは後回しにされてきたプロジェクトである。民主主義に向かう道のりの歴史的な進展のうちの一つだ。TRT 6に対してPKKが不快感を抱いていることは知っている。質の高い番組をつくればつくるほどより多くの人が視聴する。北極圏やアメリカ、スカンジナビアの国々から非常に多くの反響をいただいている」と語った。

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( 翻訳者:南澤沙織 )
( 記事ID:29124 )