Dogan Fizlanコラム::トルコ民族音楽の輝き!ファズル・サイのネイ協奏曲
2013年02月10日付 Hurriyet 紙
ファズル・サイの「イスタンブル協奏曲―ヘザルフェン・ネイ協奏曲」をLPレコー ドとCDで聴き、DVDも視聴した。
ギュレル・アイカル率いるボルサン・ イスタンブル・フィルハーモニーオーケストラの演奏だという。 ソリストは、ブルジュ・カラダー(ネイ/葦笛)、ハーカン・ギュンギョル (カーヌーン/撥弦楽器)、アイクト・キョセレルリ(クドュム/2連の小太鼓、ベンディル/タンブリン、ダルブカ/太鼓)だ。
トルコ人作曲家がイスタンブル協奏曲を作曲することは、ひとつの美学的責任であると私は思う。この街の歴史、生活を、音符でもって表現することは、この街を奏でることであり、街の美しさを音楽で紹介することである。この協奏曲を聴けば、歴史のなかでイスタンブルを巡っている気分を味わい、街の音楽的な物語を学ぶだろう。楽曲の各楽章を読めば、もっと聴きたくなること間違いなしだ。楽章は次のようになっている。
「イスタンブル協奏曲」/ボルサン・ イスタンブル・フィルハーモニー/指 揮:ギュレル・アイカル
「ヘザルフェン」ネイとオーケストラのための協奏曲/指揮:ダン・エッティンガー
DVDより
コンサート記録「イスタンブル協奏曲」/監督:シャファク・タネル
ドキュメンタリー「イスタンブル協奏曲」/監督:アヌル・チェリキ
ドキュメンタリー「ヘザルフェン」 ネイとオーケストラのための協奏曲/ 監督:イディル・ディズダル
ブックレットの最初のページには、いわば楽曲の由来が記されている。
「オルハン・ヴェリやナーズム・ ヒクメトの詩に詠われているあの美しいイスタンブルを、詩人が、文芸家が、絵描きたちが表現したあの美しい街を描写し、イスタンブルの自然の姿に近づく。これがこの楽曲集だ」
ファズル・サイはトルコ音楽も民謡も忘れることなく、自身の作品で用いて我々に聴かせてくれる。これは私がトルコ人作曲家に期待する手法であり、これらの音楽を思い出させてくれるものだ。トルコの伝統楽器が使われることで、作品と我々の関係も強くなるのだ。
声による語りかけはなくとも、聴く者の耳 にかすかな余韻を残した。 また、宗教性のある曲と、ない曲の音色の違いは、私に大きな感動を与えた。 ファズル・サイの「イスタンブル協奏曲」を聴いたあと私は、まさにこれこそが、トルコ人作曲家が音で表現するイスタンブルのすべてだろうと思った。イスタンブルに生きる人はもちろん、 皆がこの楽曲を聴くべきだ。
ファズル・サイのCDで聴いたブルジュ・カラダーのネイのCDは、若いネイ奏者の成功を示すものだった。カラダーは楽器の特徴と適性を理解した演奏家だろう。
協奏曲の演奏の素晴らしさも伝えておかなければならない。
ネイ曲の表紙には、「La Musique Soufie de Turquie(トルコのスーフィー音楽)」と書かれている。 カラダーの伴奏者-あるいは共演者-はそれぞれの楽器の一流奏者だ。ケメンチェ(※弓奏楽器)はデルヤ・テュルカン、キャーヌンはトゥルグト・オズフレルが演奏する。
CDの中表紙にある一文をが心情を反映しているのでぜひ紹介しておきたい。
「信じることなくして、感じることなくして、懐かしさを覚えることなくして、ネイ奏者にはなれない。」
週末は、あなたの暮らしている街の音 色を聴いてみよう。
ファズル・サイ 「イスタンブル協奏曲―ヘザルフェン・ネイ協奏曲/アク・ミュージック」
ブルジュ・カラダー「ネイゼン(ネイ奏者) トルコのスーフィー音楽」/メガミュージック
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( 翻訳者:門野淑香 )
( 記事ID:29195 )