アル=アサド大統領の確信、アル=イブラーヒーミー特別代表の夢
2013年02月19日付 al-Hayat 紙

■アル=アサド大統領の確信、アル=イブラーヒーミー特別代表の夢

2013年2月19日『アル=ハヤート』

【アル=ヤース・ハルフーシュ】

シリアをめぐる国連・アラブ連盟のアル=アフダル・アル=イブラーヒーミー合同特別代表は、あらゆる手段を用いて自身の調停を存続させようとしている。バッシャール・アル=アサド大統領とダマスカスで行った最近の会談から、シリアに降りかかる破壊、破滅、殺りくにもかかわらず、反体制派がアル=アサド大統領に対する敗北を宣言しない限り、そして政権が権力の座に居続けることを世界が認めない限り、この政権は自国の危機を終わらせるためのいかなる調停も成功させるつもりがないであろうと結論付けるくらいには、アル=イブラーヒーミーは賢明であった。

その会談で、移行段階におけるアル=アサド大統領の役割に関する質問への返答に際して、アル=イブラーヒーミーがアル=アサド大統領から聞いた言葉は、反体制派が降伏し政権の頂点に立つ者(アル=アサド大統領)の示す条件と、彼らが裏切り者とテロリストの集団であるというアル=アサド大統領の確信を受け入れない限り、あるいは実際政権が試みているように政権側の暴力的・軍事的手段により反体制派を殲滅できない限り、政権と反体制派間のいかなる政治的解決策または調停も自分に成功の機会をもたらしてはくれないだろうとアル=イブラーヒーミーが悟るのに十分なものだった。

政権と通じているメディアの報道によると、アル=アサド大統領はいまだ自身の勝利を確信しており、アル=アサド政権が存続する能力、反体制派との戦争に勝利する能力に確信しているようだ。アル=アサド大統領がこのような信念を持つ限り、仲裁や調停について話すことが困難なのは明白である。仲裁と調停は、両当事者が現在存在する相違の中間点でおり合うという意味と解される。

アル=イブラーヒーミー特別代表の自身の任務を存続させるための最新の試みは、いわゆるシリア「国民連立」のムアーズ・アル=ハティーブ議長のイニシアチブにすがることだった。アル=イブラーヒーミー特別代表は、このイニシアチブをシリア危機を政治的解決策に到達させる希望を蘇らせたとみなした。その希望は、このイニシアチブにアル=イブラーヒーミーがすがった中で起きた2つの事象によって消滅した。1つ目は「国民連合」と「国民評議会」の幹部たちが解決策において、アル=アサド大統領のいかなる役割も拒否したことである。彼らはシリアでの流血を経て、流血の責任をアル=アサド大統領に負わせている。2つ目は、これが重要なのだが、政権自体がアル=ハティーブ議長のイニシアチブを完全に無視したことである。ウムラーン・アッ=ズウビー情報相はそのイニシアチブに対し、いかなる交渉も政権の屋根の下とシリア領土内でなされるべきであると応答した。同様に、アッ=ズウビー情報相は反体制派が対話に関して彼らの条件に基づいて話していることから、反体制派が対話を望むと話したことを虚偽の話と見なし、同情報相が述べたところによると、対話を望む者は条件を設定しないとのことである。

アル=イブラーヒーミー特別代表がよく知るこのような状況下で、どうすれば、シリア人たちに政治解決を通じて彼らの危機を出口に到達させられると夢見させることができるだろうか?どうすれば、アル=ハティーブ代表が打ち出したイニシアチブを基礎とする交渉に則り、国連の施設のどこか、すなわちシリア国外で交渉を行う政治解決を通じて、シリア人に危機からの脱出という夢を見させることができるだろうか?

そして、どうすれば、シリア政権に「容認される」交渉団を編成できるだろうか?また、この代表団に組み込まれることをシリア政権が「容認する」人物とはどのような人物なのだろうか?反体制派は「シリア人の血でその手を汚した」シリアのいかなる高官との交渉も受け入れないと、はっきり明言した。述べられねばならない真実、そしてアル=アフダル・アル=イブラーヒーミー特別代表がレバノンの危機の調停以来この政権と長期にわたり関わってきたことから知っている真実とは、反体制派がこうした非難を向けている高官らが、シリア内で燃え盛る戦火を止めることにおいて、あらゆる最終決定とることができる唯一の人々だということだ。またファールーク・アッ=シャルア副大統領やその他のような(アル=アサド大統領以外の)他のものを反体制派との交渉に指名することを通じ、これらの高官たちを巻き込もうとするいかなる試みも、政権は試みの発案者や指名された人々に対する軽蔑をもって迎えるだろうということである。今日、すべての者が(反体制派との交渉の代表として指名される)アッ=シャルア副大統領のような人間のシリアにおける権限や支配の広さは、彼らの家の玄関を越えないということを知っている。

アル=イブラーヒーミー特別代表が自分の任務を守りそれを固守することは、おそらく正しかっただろう。彼にはそうするように促す特別な状況があるのかもしれない。しかし、この論考の目的はアル=イブラーヒーミー特別代表に、シリア政府と共に政治的解決を実行できるという希望を蘇らせないように呼びかけることである。現実的真実、それはいかなるシリアの危機の解決もシリアの領土で反体制派実現する勝利を通じてしか有り得ず、反体制派の脆弱さと政権の強大な攻撃力をかんがみるとそれは困難で長い時間を要する任務だということである。あるいは、いかなるシリア危機の解決も、政権がシリアの全領土に抑圧的な支配権を回復しない限りは有り得ず、その場合まだ残っているシリアの諸都市やシリアを象徴する様々な場所の破滅と、シリアの子らがさらに数千も死ぬという明確な代償を伴うことになるということだ。

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( 翻訳者:辰巳新 )
( 記事ID:29304 )