オジャランの歴史的PKK停戦・撤退呼びかけ、全テキスト
2013年03月21日付 Radikal 紙


アブドゥッラー・オジャランの歴史的発言が平和民主党(BDP)ペルヴィン・ブルダン氏によりクルド語で、スッル・スュレイヤ・オンデル氏によりトルコ語で読み上げられた。この間、画面にはアブドゥッラー・オジャランの画像も映し出された。

その全文は以下の通り。

***

抑圧されたものにとっての、自由のノールーズ、おめでとう!

この目覚め、息吹、再生の日であるノールーズに集い、共に祝う中東と中央アジアの人々に平安を!
新しい時代の誕生であり、日の光であるノールーズを喜びとともに、民主主義的寛容の精神をもって祝う友人たちに平安を!
民主主義的権利、自由と平等に続くこの大きな道を行く人々よ。

ザーロス山とトロス山の麓からユーフラテス川とチグリス川の流域にいたる神聖なメソポタミアとアナトリアの大地、畑、村、都市文明の母である人民のうち最も古い民族のひとつであるクルド人のみなに、平安を!

異なる人種、宗教、思想の人々と兄弟のように、親友のように一緒に暮らしながら、何千年もに及ぶこの偉大な文明を共につくりあがてきたクルド人からすれば、チグリス川とユーフラテス川は、サカルヤ川とメリチ川の友である。アール山とジュディ山はカチカル山とエルジエス山の親友である。(クルドの踊りである)ハライとデリロは、(黒海地方やエゲ地方の踊りである)ホロンとゼイベクの親戚である。

この偉大な文明とそれをつくってきた兄弟の集団は、政治的抑圧、外からの干渉と集団的利害により、お互いに争うよう仕向けられ、権利、法、平等、自由の欠けた秩序の構築を強いられた。ここ200年間、征服戦争、西洋帝国主義の闘争、抑圧と否定の思想は、アラブ人、トルコ人、ペルシア人、クルド人の集団を、国家統制、想像上の国境、でっちあげの問題により抑圧しようとしてきた。

しかし、植民地体制、抑圧と否定の思想の時代はもうおわりだ。中東と中央アジアの人民はもう目を覚ます。自らの本来の姿に戻ったのだ。お互いを攻撃しあいい盲目にさせる戦いや衝突にに対し、「ストップ」と言おう。

ノールーズの火で心を燃やし、広場を満たす何10万、何百万の人々は平和、兄弟愛を口にし、解決策をのぞんでいる。
無策の時代に生まれ、(正しい)知識の欠如、隷属に対する私の個人的な戦いから始まったこの闘争は、あらゆる妨害に負けず、(新たな)覚醒、(新たな)理解、(新たな)精神をうむことを目標にしていた。

今日、この叫びがある地点に到達したことがみてとれる。

私達の争いは特定の人種、宗教、思想もしくは集団に対しおこなわれはしなかった。私達の争いは抑圧、無知、権利の喪失、放置に対し、あらゆる種類の圧力に対し行われたものだ。

今日もう新しいトルコへ、新しい中東へ、新しい将来にむけ私達は目覚めるのだ。

私の呼びかけを支持する若者よ、私のメッセージを支持する高貴な女性たちよ、私の言ったことを認める親友たちよ、私の声に耳を傾ける人々よ。

今日新しい時代が始まる。

武器による抵抗の時代から、民主的な政治のプロセスに扉を開くのだ。

政治、社会、経済(的改革に)重きをいくプロセスが始まる。民主的権利、自由、平等を基にした理解はすすみつつある。
私達は何十年もこの人民のために犠牲を払った、大きな代償を払った。この犠牲やこの闘争は決して無駄にはならなかった。クルド人は真実とアイデンティティーを再度手にした。

「さあ、武器をおき、考えや政治を話そう」という地点に至ったのだ。

(我々を)無視し、否定し、排除するモダニストのパラダイムは崩壊した。流れる血はトルコ人、クルド人、ラズ人、チェルケズ人を問わず、ただ人間から、この地域に生まれたものから流れているのだ。
私はこの呼びかけに耳を傾ける何百万の人に次のように言う。さあ、新しい時代が始まる。武器ではなく、政治が優先される。武器をもつものが国境の外へ身を引く段階にきた。

心を私に開き、この試みを信じる皆が、このプロセスの困難な道を最後まで見守ってくれると信じている。

これは終わりではない、新しい始まりである。この闘争を放棄するのではなく、より異なった闘争を始めるのである。
民族主義的な、単独民族の国(coğrafya)を作り出そうとする試みは、我々の本質、我々の特性を無視した、モダニストたちの生み出した非人間的な試みである。

クルディスタンとアナトリアに、歴史に相応しいかたちで、全ての人々とクルド人が平等で、自由で、民主的な国をつくるため、皆に大きな責任がかかっている。このノールーズにちなみ、クルド人だけでなく、アルメニア人、トゥルクメン人、アッシリア人、アラブ人、他の集団にも呼びかける。(ノールーズの祭りで)焚かれた火からうまれる自由と平等の光を、我々自身の平等と自由の光として見て、それを生かしていこうと私は呼びかける。

親愛なるトルコ国民 (Türkiye halkı)よ、

今日、古代アナトリアの地をトルコ(Türkiye)と呼んで生きるトルコ人(Türk halkı)は、自分たちが兄弟愛と結束の法により、1000年にわたりイスラムの旗のもクルド人とともに暮らしてきたことを知ってもらいたい。真の意味で、この兄弟愛の法には、征服、否定、強制同化、破壊はなかったし、今後もあってはならない。

資本主義的モダニズムが支配したここ1世紀の抑圧、破壊、同化政策は、国民から乖離した政権のエリートによる、全歴史と兄弟愛の法を破壊する試みだった。今日もはや歴史や兄弟愛の法に逆行することが明白になっているこの悪政の抑圧から共に抜け出すため、私達みなが、中東の基本的な(トルコ人とクルド人という)二つの戦略的な力として、自身の文化と文明に沿うかたちで、民主的な我々のモダニズムをつくろうではないか。

時代の逆行、衝突、お互いの罵りあいではなく、合意、協力、抱擁、赦しの時代である。

チャナッカレで共に殉職者となったトルコ人とクルド人は解放戦争を共に戦い、1920年に国会を共に開いた。

共通の過去が我々に教える真実は、共通の未来を共につくらなければならないということだ。大トルコ国民議会(TBMM)の設立当時の精神が、今日、新しい時代を照らすのだ。

虐げられた全人民、階級、文化の担い手、最も古くから虐げられた階級である女性、抑圧された宗教、教団(タリーカ)、その他の文化的価値を持つものたち、労働者階級、体制から放り出された皆に対し、解決への新しい選択である「民主的モダニズム・システムDemokratik Modernite Sistemi」に参加し、そこで精神と実体を得ることを呼びかける。

中東と中央アジアは、自身の歴史に見合う、現代的なモダニズムと民主的秩序を求めている。皆が自由に兄弟のように共に住む新しい体系への探求は、パンや水が必要なほど、それ自身として必要なものとなった。この体系に対し、新しいアナトリアとメソポタミア地域が、そして、その地の文化と時代が、先導者となり、それをつくらなくてはならない。

私たちは、ちょうど、近代史において「国民の誓いMisak-i Milli」を結び、トルコ人とクルド人が先頭にたって独立戦争を勝ち取ったことを、いま、甦らせ、混ぜ合わせ、深めていく過程を進んでいるのだ。

この90年間、全ての過ち、欠陥、間違えにもかかわらず、再度、我々は、不当な扱いを受け、多大な被害を受けた国民、階級、文化と共に、新しいモデルをつくるため努力しているのだ。

すべてのこの人々に対し、平等主義的、自由で民主的な表現方法の確立の実現を呼びかける。

「国民の誓い」にもかかわらず、ばらばらにされ、今日シリアとイラクで重大な問題や衝突の中で生きることを強いられるクルド人、トゥルクメン人、アッシリア人、アラブ人に対しては「国家団結と平和会議Milli Dayanışma ve Barış Konferansı」をつくり、そこで実情を話し、情報交換をし、決定を下すよう呼びかける。

この地の歴史のなかで重要な位置をしめる「私たち biz」という概念の広がり・拡張性は、狭く、優越主義的政権エリートの手により、「単独なもの tek」に格下げされていた。「私たちbiz」の概念に、昔の精神と実効性を与えるときである。
「私たちbiz」をばらばらにし、衝突をおこさせたい者に対し、私たちは団結する。 分割したい者に対し、私たちは一つになる。
時の精神を読めないものは歴史のごみとなる。水の流れに抵抗するものは、深い穴に足をすくわれる。

その地域の人民は、新しい曙の誕生を見ている。戦い、衝突、別離に疲れた中東の人民は、ついに、自身らの起源から再度誕生し、共に立ち上がることを欲している。

このノールーズは私たち皆への吉報である。

モーセ、イエス、ムハンマドのメッセージにある真実は、今日新しい吉報として実現する。人類は失ったものを再度手に入れようとしている。
私たちは西洋の近代文明をすべて否定しているのではない。
そこにある啓蒙、平等、自由、民主的価値を自分たちの価値観に加え、地球社会的な生活様式と統合させ、命を吹き込むのだ。

新しい闘争の基礎は、思想、イデオロギー、民主政治だ。大きな民主主義攻撃を始めるのだ。

このプロセスに力を与えるものに、民主主義-平和の解決を支持するものに、平安を!

国民人々の兄弟愛、平等と民主主義的自由のため責任をおうものに、平安を!

ノールーズ万歳、人々 の兄弟愛よ、万歳!

2013年3月21日イムラル刑務所にて

アブドゥッラー・オジャラン

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:畔上曜子 )
( 記事ID:29528 )