エルキョク・アヴジュオール氏は、国から遠く離れた地にあるシェイフ・ハジ・イブラヒムの棺を半世紀かけて取り戻そうと奮闘している。74歳のアヴジュオールはハジュ・イヴラヒムの子孫であり、裁判所の判定でドイツにある棺は霊廟に付属するものだと明らかにした。
棺は、コンヤのアクシェヒル郡のアランユルト(マルフ)村のシェイフ・ハジ・イブラヒム・ヴェリの霊廟にあり、クルミの木の幹を彫ったもので、1905年に盗まれてドイツに渡った。
シェイフ・ハジ・イブラヒムの棺は大変貴重な木製の棺であり、1905年に盗まれて以降ドイツに保管されている。ベルリン東洋美術館に展示されており、トルコ本国に返還されるよう文化観光省と外務省が協力して進めている。また別方面で、棺を元にある場所へ戻すために半世紀もの間奮闘している者がいる。[その人]74歳のエルキョク・アヴジュオール氏は、シェイフ・ハジ・イブラヒム・ヴェリ・ワクフの管財人である。この棺の問題を広く認知させようとパネルディスカッションを開催し、2006年にはアクシェヒル第一審裁判所で確認訴訟を起こし、棺はシャイフ・ハジ・イブラヒム・ヴェリの霊廟に付属するものとの判決が下されたのだった。ドイツからボアズキョイのスフィンクス像や翼を持つ海馬のブローチが(最近)返還された件もあり、アヴジュ オール氏も棺返還に期待を寄せている。
■アクシェヒルの精神的指導者として
シェイフ・ハジ・イブラヒム・ヴェリは、ホジャ・アフメト・イェセヴィ(アフマド・ヤサヴィー)がアナトリア地方の布教活動として送り込んだシェイフ達の子孫であり、コンヤのアクシェヒル郡の精神的指導者の一人であった。彼は、父であるシェイフ・ハサン・パシャから引き継いだテッケ(修道場)を拡 大させ、宗教的複合施設とした。ハジ・イブラヒム・ワクフは最も古いミュルハック・ワクフ(ワクフ設立者の子孫によって管理される)である。ワクフ創設者、アナトリアの聖者の一人であるシャイフ・ハジュ・イブラヒム・ヴェリの霊廟は、コンヤのアクシェヒル郡のアランユルト(マルフ)村にある。棺は、かつて霊廟にあり、クルミの木の幹を彫刻し作られたもので、20世紀初頭に盗まれてドイツへと持ち運ばれた。ドイツの商事領事館職員であった考古学者が棺をバラバラにして霊廟から持ち去ったといわれている。それ以降棺はベルリン東洋美術館に展示されている。美術館のキャプションには「象徴的な棺の銘文」との紹介と目録番号1.564;21と書かれており、1359年に死去したシェイフ・ハジュ・イブラヒム・ヴェリの棺であると明記されている。
アヴジュオール氏は1990年代中頃に棺をドイツから返還する要請を文化観光省に提出し、返還を試みたと述べている。同氏は、文化観光省は幾度もドイツに棺返還を要請していると述べ、「ドイツの美術館職員は『棺はある有志が寄贈したものである』と言っています。とてもおかしな言い分です。気を遣って棺が盗まれたという代わりに「お預けしている」と言い換えています。しかしこの期間はもう十分長くなっています。本来の場所に戻る時なのです」と語った。氏は高齢にもかかわらず棺返還をあきらめず、ベルリンへ赴き今日まで棺を保管してきた美術館職員に感謝し、直接に返還を希望していることを訴えようとしている。棺が霊廟に返還される夢まで見たと語るアヴジュオール氏は、霊廟の(棺と離れた)悲しみが棺が戻ることによって消えてなくなると最後に述べた。
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る
( 翻訳者:小幡あい )
( 記事ID:30046 )