エジプト:エチオピア国務大臣、グランド・ルネッサンス・ダムの目的は発電
2013年05月28日付 Al-Ahram 紙
■エジプト:エチオピア国務大臣、グランド・ルネッサンス・ダムの目的は電力生産のみ、エジプトの割当水量に影響を与えることは不可能
2013年5月28日『アル=アハラーム』
【アディスアベバ、ムハンマド・フワード】
エジプトメディアの代表者らは、アディスアベバで開催されている第21回アフリカ連合サミットを機に、エチオピアの海外担当国務大臣であるブルハーン・ジャバル・クリストゥス氏に対してインタビューを行った。同氏は、エチオピア政府で大統領に次ぎ重要な人物だ。
そこでは、同大臣が現段階におけるエジプト・エチオピアの関係、グランド・ルネッサンス・ダムがエジプトのナイル川からの割当水量に与える影響について評価を下した。以下は、会見の中で最も目立ったことだ。
—現段階でのエジプト・エチオピア関係についてどのような評価をお持ちですか。
ブルハーン大臣 「エジプト・エチオピア関係は非常に重要だ。エチオピアにとってエジプトはとても重要な国と見なされている。というのも、われわれは、文化や宗教の歴史を通じて広がる長きにわたる歴史的関係でつながっているからだ。同様に、われわれは、自分たちを近隣諸国と見なすことでつながっている。われわれ(エチオピア)は、エジプト・エチオピア関係を高く評価しており、エジプトが安定し、繁栄することを願う。エジプトはナイル川流域およびアフリカにおいて重要な役割を担っているからだ」
—「1月25日革命」後のエジプト外交の新しい方針についてはどう評価しますか。特に、革命は前政権の統治が長期にわたり続いた後、起こったものです。
ブルハーン大臣 「現在、われわれはエジプトと素晴らしい関係を持っている。しかし、エジプトの前政権(ムバーラク政権)は、我が国との協力援助について模索することも、またわれわれ(エジプトとエチオピア)の人民のための共通の関心ごとを促進する働きかけも行ってこなかった。これにより、エジプトの前政権はわれわれとの関係強化において良き働きはしなかった。しかし、今私は、エジプトとエチオピア間の関係が正しく、良い方向に向かっていると考えている。それに、エジプトの現政権は両国間の関係が両国の繁栄のための共通利益に依って立つ関係の重要性を理解しているとみている。私は現在の関係を良好な関係とみている。われわれは両国の高官らが相互訪問を行うことに合意したが、エチオピア大統領がエジプトを訪問する期日はまだ決まっていない」
—エジプト人民を悩ます水資源に対する懸念については、どうお答えしますか。こうした懸念は、グランド・ルネッサンス・ダムの建設から連想されているものです。
ブルハーン大臣 「われわれは、現在建設が行われているグランド・ルネッサンス・ダムが、エジプトに影響を与えることなど追及していない。それにそんなことは不可能だ。というのも、アッラーがナイル川を創造されたとき、アッラーは、エチオピアがナイル川を電力生産を通じて利用し、一方のエジプトとスーダンは、灌漑(かんがい)と農業でナイル川を利用することをお望みになったからだ。その理由は、エチオピアにおけるナイル川とは、水位が深く狭い斜面を意味しており、ナイル川は灌漑では使用できないからだ。つまり渓谷が非常に深いということだ。われわれはナイル川の水を使って灌漑が出来る土地を少しだけ持っているが、取るに足らないものだ。それに、標高の高いエチオピアの土地でナイル川の水を揚水し灌漑に使うことは難しい。われわれはナイル川の水を使うことはできない。発電用の水だけだ。こうした局面においては、われわれはナイル川の水を一部分も使っていない。われわれは、発電用に水を使うだけで、ナイル川をエジプトに流入させておくことは容易いことだ。私は、グランド・ルネッサンス・ダムが農業、灌漑で使われず、エジプトがダムの悪影響を受けないことを確証する」
(後略)
(本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。)
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( 翻訳者:西舘康平 )
( 記事ID:30115 )