エジプト:エチオピア、青ナイル川の水流の切り替えを始める
2013年05月29日付 Al-Ahram 紙
■エジプト:エチオピア、青ナイル川の水流切り替えを始める。
■政治勢力:明確な返答と強固な外交活動を要求。
2013年5月29日『アル=アハラーム』
【本紙、ムハンマド・ヒジャーブ、アビール・アル=ムルスィー、フスニー・カマール、ハーズィム・アブードゥーマ】
エチオピア政府による青ナイル川(ナイル川の支流のひとつ)の水流の変更は、政治の場に驚愕、緊急の解決措置を取る要求を引き起こした。それは、人民勢力や政治勢力が、エジプトの水の安全保障に対してエチオピアのグランド・ルネッサンス・ダムが影響を与えるのではとの懸念を取り払うことが目的だ。
そこでは、環境の専門家兼アン=ヌール党党首のハーリド・イルムッディーン氏が迅速な外交活動を要求した。グランド・ルネッサンス・ダムに代表されるエチオピアのダム建設に資金提供をしている国際機関に対して圧力を加えるためだ。
同氏は、エチオピアの諸ダム問題の対処の軽視は、それ以外のナイル川流域の水源国家によるダム建設を助長するだろうと注意を喚起した。そして、ナイル川の水利権をめぐるエジプトの歴史的権利は、国家の安全保障上の問題であり、ナイル川からのエジプトの割当水量を減少させることは、エジプト人民の食糧・水の安全保障を抵触する直接的な脅威と見なされる、と強調した。
さらに同氏は、エチオピアの諸ダムへの対応が遅れていることに警鐘を鳴らし「エチオピア政府による交渉の利用における危険性は、エジプト人民に直接関わるものだ」と述べた。加えて、国民救済戦線の実施機関メンバーであるハムディー・ハムダーン氏は、青ナイル川の水流の切り替えは、エジプト人の喉を乾かせ、彼らから合法的な権利をはく奪する道の第一歩であると強調した。そして、アブドゥルファッターフ・アッ=スィースィー国軍総司令官に対して、国民の権利を軽視しないことを呼びかけつつ、エジプト国軍に対して、グランド・ルネッサンス・ダムの影響を取り除くために先手を打つことを要求した。
次に、改革発展党党首のムハンマド・アンワル・アッ=サーダート氏は、エチオピア政府が青ナイル川の水流切り替えをつづけることによって生じるであろう水不足の責任は、大統領にあるとした。
アッ=サーダート氏は、エジプトの水の安全保障は、第1級の国家安全保障問題であり、グランド・ルネッサンス・ダムは電力生産が目的であるとのエチオピア政府の主張は、単なる幻想でしかないと述べた。そして、エチオピアのダムをめぐり後手に回ったために起こる惨事に警鐘を鳴らした。
一方で、変化と開発党のスポークスマンであるバースィム・ハファージー氏は、ムルスィー大統領に対して、国防委員会主催の緊急セッションを開くことを要求した。エチオピアによるエジプトの国家安全保障への侵害に対するエジプトの姿勢を協議するためだという。同氏は、エチオピア政府が青ナイル川の水流切り替えを決定したことに対する反応として、軍事的選択を提示する必要性を訴えた。青ナイル川は、ナイル川の水源のうち84%を占めている。
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( 翻訳者:西舘康平 )
( 記事ID:30140 )