イランの働きウーマンたち(1)――ウェイトレス:「時代は変わりましたが、女性がする仕事ではないと考える人たちも多くいます」
2013年05月29日付 Jam-e Jam 紙
テヘランのいまどきのカフェ(http://www.coffeeeshop.com/より)。店のスタイルや立地を問わず、現在でも(女性の)ウェイトレスに遭遇することはめったいにないと言っていいだろう。
【同紙10面:ニールーファル・アスアディーベイギー】彼女の表情は優しげで、驚くほど親しみを感じる。彼女を見ると、まるで彼女を長年知っていたかのように思うだろう。
■仕方なくウェイトレスになった
―「もうずいぶんと昔のことになるが、彼女はこの仕事を仕方なく選んだのだった。しかし、今では自分の仕事に満足している。白いエプロンを腰に巻いて、フライド・ポテトを専用の紙包みの中に手早く入れながら、彼女は自分の仕事と人生について語ってくれる。
ソマイイェ・サイーディーは、もう長い間この仕事をしながら過ごしてきた。彼女はウェイトレスという職業を選んだ理由を以下のように語った。
この仕事に就いてから長い年月が経ちました。たしかに、最初は学校や大学のビュッフェで働いていただけでした。なぜなら、当時、レストランでの仕事の条件は、現在と比べて大きく異なっていたからです。今ではたくさんの女性たちが男性と肩を並べて、レジからキッチンの仕事までをこなしてレストランで働いています。しかし、昔はそうではなく、女性はレストランなどで働くべきではないと考えられていたのです。そのため 私は女子校や大学のビュッフェで働いていました。
■たくさんの思い出:「私はこの仕事が好きです」
彼女の経験は、私に新鮮な知識と機会をもたらしてくれた。彼女の言葉の節々から、彼女が自分の仕事に満足していることが分かる。彼女は微笑みながら言葉を続け、「この仕事をしていると面白い思い出がたくさんあるのです」と言った。私がその中で一番素敵な思い出を話してくださいというと少し間を置いて彼女はこんな話をしてくれた。:
大学のビュッフェで働いていたときは、たくさんの若い男子学生や女子学生たちとほぼ毎日顔を合わせていたけれど、卒業するといなくなってしまうので、その後彼らがどうしているかは全くも知りませんでした。
しばらく前、レストランで仕事をしていたとき、ある女性が旦那さんと小さい子どもを連れてここに夕食を取りにきました。彼らの顔には、どこか見覚えがありました。彼らとどこで会ったことがあるのかを聞いてみたくなりました。でも、仕事中だったので私は何も言わず、以前にレストランに来ていたお客さまかな、と思いました。しかし、彼らが夕食を注文していたとき、あちらから私に、『大学でも働いていませんでしたか?』と尋ねてくれたのです。そこでようやく、その二人があの大学の学生だったということに気付きました。大学で働いていたときから何年も経った今では、このレストランでそういう若い人達が子どもを連れているのをよく見ますね。
■世間の見方は変わりつつある
最近では、女性も色々な仕事に就き、様々な活動を行っている。これはもしかすると数年前までは一般的ではなかったかもしれない。今では、女性がタクシーを運転していたり、レストランのウェイターだったりすることは驚くことではない。それにも関わらず、未だ一部の人達はこの変化に慣れていないし、こうした状況を受け入れることができずにいる。
サイディーさんは約10年間、この都市の様々なレストランでの職務経験があるが、雇用環境についてはそれほど不満ではないようだ。彼女はさらに、こう語ってくれた。:
この仕事に関して、世間の見方も変わってきていると思います。レストランでこの仕事を始めた最初の頃は、たくさんの人達が私を見て驚いていたものです。そして、何より奇妙だったのが、彼ら、彼女らがその驚きを隠しもしなかったことでした。さらには、そういった人たちが私に対して、決して相応しいとは言えない口調で話しかけてくることもありました。でも今では、私をレストランのウェイターとして受け入れてくれないというようなことはめったになくなりました。[お客さまが]私に対する視線や態度も以前とは変わりましたし、今は男性の同僚たちと何の違いもありません。
■未だに女性にふさわしい仕事とは思われていない
この仕事を始めたばかりのマルジャーン・アミィーリーは、現状は満足のいくものであるにも関わらず、また違った考えを持っているようだ。彼女は次のように話してくれた。
たしかに、レストランに来るお客さまが昔のように女性ウェイターに接するわけではないかもしれません。でも、未だ多くの人達がこの仕事を女性にふさわしい職業とは認めていないのです。
彼女は大学生で、アルバイトとして小さなレストランで仕事をしている。彼女はまた以下のようにも語った。
多くの人がこの仕事を本業としていますし、この仕事を愛しています。私の友人たちの中でもウェイトレスになりたいという人はたくさんいます。でも、彼らも世間や親族の目を気にして、この仕事を本業にしようとは考えないのです。私だってもし大学生でなかったら、もし他の仕事で生計を立てられるとしたら、絶対にウェイトレスになんてなっていませんでしたから。
(本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。)
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( 翻訳者:8411033 )
( 記事ID:30321 )