クルド問題解決策プロセスの今―ゲズィ運動の陰で、進捗
2013年06月22日付 Milliyet 紙

ゲズィ事件の陰で続いていた(クルド問題の)解決プロセスの中で、大きな動きのあった1週間が過ぎ去ろうとしている。この1週間、BDPが「PKKは約束を守った、政府ももう具体的な行動に出るべきだ」という声明を出した後、舞台裏では「プロセスがうまくいっていないのでは」という心配の声が上がっている。しかながら、政府、BDPの周囲からの情報は、プロセスが悪化しているからというより、「悪化しないでほしい」という心配の声が、この声明を出すにいたった要因であるということを示している。
6回目のBDP代表団とアブドゥッラー・オジャランとの面会の後、政府との接触はより密なものとなった。BDP代表団とベシル・アタライ副首相、そしてサドゥッラー・エルギン法相が行った会談の後、政府の側から何も問題がないかのような姿勢が示された。
私たちに明らかにされた情報によれば政府には解決プロセスを悪化させようとする空気はなく、むしろ重要なステップが踏み出されるところだという。アンカラでの情勢は次のようなものである:

BDPの優先事項:BDPは、プロセスは法改正が行われる第2段階に移行したと述べ、法務省に100項目からなる改革パケットを提出した。このパケットは、先日行われた会談で「最重要項目」として列挙された25項目に組み込まれた。代替案としてのパケットにはテロ対策法と表現の自由に関連する、病気の拘留者をはじめとする刑務所内のKCK(クルディスタン社会連合トルコ議会)拘留者の釈放を可能とする改正が含まれていた。KCK訴訟で釈放をもたらす改正に着手されることは、BDPが政府の誠意をはかるうえで最重要の判断材料の一つである。

日程の問題はない:BDPのセラハッティン・デミルタシュ共同党首がどれほど第1段階を終えたと主張しても、政府と第2段階において初めての公式協議を行ったと述べても、私が会見した政府要人の一人は、「日程調整」においては一切問題ないとしながらも政府の観点からすると第1段階がいまだ完了していないことを述べた。この段階は、武装したPKK党員がすべて国境の外に出ないことには完了しないのだ。このためには少なくとも2週間の時間が必要である。同人物は、「(退去の)開始に際し、私たちが行った日程調整においてどのような障害も問題も存在していない。第1段階を終えたあとで、民主主義政治への道を開くものとして我々が考えている第2段階にすべての意味で移行が可能となる。今は一つのプロセスが前進している。イムラルと進めているプロセスにおいても、BDPとの接触においても、我々の最初の計画を変更させるような不安材料はまったくない」と述べた。

幅広く対応している:BDPは前述の25項目からなるパケットについて取り上げる必要があると述べているが、政府情報筋は、前のAKP大会議で世論にむけて発表され、民主主義的基準の向上を約束する、63項目からなる「ルート策定」パケットに取り組んでいるとしている。政府によれば、民主主義的基準を向上させるこの法改正は、もともと「第2段階」とされるプロセスで求められる改正をも内包したものであるという。与党は、完成を目指している改正条項について、「BDPの要求を実行している」という見方をしていない。このため、その取組のロードマップはある意味人権行動計画をあらわしている。

項目内容:副首相、法務省、内務省の下で推敲された改正条項は、ほぼ各省に課題をもたらした。情報によれば、政府はまず政治参加を高めるため、民主主義の障害を取り除こうとしている。これは、既存の条項を推敲し、暴力との関わりをもたずに懲役刑に処されている人達にも政治への道を開くものと考えられている。急進的なもう一つの変化として、得票率制限の切り下げがあげられる。これは得票率制限が7パーセント、あるいはそれ以下になりうることと、これとともに「全国区議員制度」が適用され、選挙でそれに関する法制定がすべて吟味されることをあらわしている。解党については完全に取り除かれることが明らかになった。テロ組織のメンバーについても「武装」を条件とし、暴力に手を染めていない人物がこの罪で刑罰を受けることが防止されることを想定している。初めて憎悪犯罪が法において明確に認められるとともに、差別の防止も考慮されている。より長い期間で、多くの法改正が必要とされる中、公共の場でのクルド語の使用、必要時には公共サービスで通訳が利用されることなどの取り組みもある。近日中には独立治安監視センターが設立され、個人情報の保護、クーデター対策法の審議、クーデター首謀者の名前を街や学校から排除するといった措置もとられる可能性があることが明らかとなっている。民族差別とされる表現が法から取り除かれることも検討されている。

十分な説明:BDPはこの間、トルコ国民議会が夏の間も開かれ、政府が第2段階のために持ち込む草案が直ちに法規化される必要があると述べた。世論に意見を尋ねてもBDPのために政府が行っている法整備において遂行の義務は十分に果たされているといえるだろう。政府とBDPの間で行われた最近の会談ではこの問題について合意があったと明らかにされている。BDP党員と、アブドゥッラー・オジャランの間で行われる予定の会談でもこの状況について十分に話し合われるだろう。政府からは、行われる法整備の枠組みに関する説明が待たれている。昨日デミルタシュ共同党首もその旨を述べた。アンカラは、ゲズィ公園騒動の後、来週以降、解決プロセスに関する白熱した議論の場となるだろう。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:藤田昌弘 )
( 記事ID:30526 )