サウジアラビアでは「アブドゥッラー・ビン・アブドゥルアズィズ王カーバ神殿拡張プロジェクト」によりマスジド・ハラーム(モスク)の柱廊が撤去され、その後建設作業が急ピッチで進められている。マスジト・ハラーム内での取り壊し工事を行った後、タワーフ(マスジド・ハラーム内のカーバ神殿の周りを拝巡する儀式)エリアが狭くなったとしてカーバ神殿の周りに2階建ての鉄製回廊が暫定的に作られているところだ。サウジの責任者らはハッジ(巡礼期に行う巡礼)中のイスラム教徒に無理をさせないようにとこのような解決策を取ることにした。
断食月が始まるとともにカーバ神殿へウムラ(小巡礼。巡礼期以外に行う巡礼)に訪れるイスラム教徒の数は日を追うごとに増えている。マスジド・ハラーム拡張プロ ジェクトの下で柱廊が撤去され一部では取り壊しもあったため、タワーフをするエリアは大幅に狭くなった。サウジの責任者は巡礼期に間に合うようカーバ神殿の周りに2階建ての鉄製の建屋を建設している。これによりウムラやハッジに訪れた巡礼者たちはカーバ神殿の周りをより楽に回ることができる。この暫定回廊の2階部分はすぐに使用が開始されるが、1階は断食月の後、巡礼期の前に利用可能となる。カーバ神殿とその周辺の拡張プロジェクトが完了した後はこの暫定の2階建て回廊は撤去される。
サウジの責任者は拡張プロジェクトが完了した際には1時間あたり15万人が同時にタワーフをすることができるようになると明らかにした。同プロジェクトにはタワーフエリアの拡張、マスジド・ハラームのミスファラー及びアジュヤード地区方面への拡張と現在の2階建てから6階建てにすること、また当モスクの広場周縁に63の高層ホテルを建設することといった計画が含まれている。
拡張計画には3つの主要な柱がある。1つめはマスジド・ハラームの拡張の結果礼拝をする人数が100万人に達すると見込まれること。2つめは外庭で、トイレや通路、地下鉄の他、人の出入りの誘導をするサービスを提供する予定だ。3つめは敷地内のサービス、エアコン、電源ステーション、水道設備その他である。75万平方メートルの敷地内で行われる改修はマスジド・ハラームの外庭をも含む。他に巡礼者をカーバ神殿の周辺からタワーフエリアに運ぶ動く歩道の敷設も検討されていることが分かった。
サウジアラビア自治省とメッカ拡張委員会はメッカ近くの町ミナにあるジャマラート橋(悪魔の象徴とされる石柱へ投石をする儀式の橋)の北からカーバ神殿の北庭の間に山々と住宅街を通過する4キロの歩行用トンネルを作る予定だ。このトンネルは約2億1千5百万ドルかけて作られる。完成すればジャマラート橋からアル・ガザ地区への移動に現在唯一のトンネルを使用している人の流れが分散される。トンネルの建設には24か月かかる予定である。
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( 翻訳者:小野里ゆみ )
( 記事ID:30768 )