エジプト:アーディル・イマーム出演のドラマ『占い師』
2013年07月24日付 al-Hayat 紙
連続ドラマ『占い師』のワンシーン
連続ドラマ『占い師』のワンシーン

■「ミント入りレモンジュース」のわなとアーディル・イマーム

2013年7月24日『ハヤート』

【ベイルート:フィーキー・ハビーブ】

彼は毎回、去った後に痕を残すが「怪傑ゾロ」ではない。泥棒のような盗みに躊躇(ちゅうちょ)を見せないが「ロビン・フッド」ではない。そして観客の心をひきつけるが「スーパーマン」でもないのだ。

連続ドラマ『占い師』でラマダーン月前半に高視聴率を獲得したのは「詐欺師」のアーディル・イマームである。こうして彼は、いまだ並ぶもののないナンバーワンのスターであることを確証した。ただし、この連続ドラマに欠点がないわけではないが。

とはいえ『占い師』の視聴者は間違いがあっても気にしないし、このドラマに投じられた1000万ドルという額にも関心を示さない。彼らにとって大切なのは、このスターが(ラマダーン月という)テレビドラマの季節に2年続けて姿を現したということ、そして彼のほほえみと高い弧を描いた彼の眉毛を見ることで、いまだやって来ない「(アラブの)春」のストレスを和らげることなのだ。

ドラマのなかでムハンマド・シャカンキーリーの演ずる役柄に関し、アーディル・イマームの演ずる父親が詐欺とかたりで服役しているにもかかわらず、(ちなみに、エジプトの法ではこれは士官学校への入学を妨げるものであるが、)警察学校に入学している点が非論理的であるとさんざん書かれているし、(脚本家の)ユースフ・マアーティーの(署名のある)脚本の単調さ、そしてラーミー・イマーム監督の作品としては以前の作品、とくに『結婚したい』のような作品を特徴づける「優雅さ」に欠けているとする指摘もある。しかしながらどちらにせよ、アーディル・イマームは視聴者の思いを裏切らなかった。あるいは少なくとも、ここかしこから届く視聴率の数字はそう示している。

確かなのは「ボス」(アーディル・イマームのこと)は、すでに放映された数々の作品を経て、この作品によって、ラマダーン月のナンバーワンのスターとなったということだ。彼はかつて映画界におけるナンバーワンのスターであったのだが、テレビの誘惑に屈したのだ。(このドラマに出ることで、彼は1,500万ポンド、つまり200万ドル受け取ったと言われている。)それでもなお彼は、多くの映画作品のなかで彼を有名にした役柄に忠実であり続けた。彼は「いかさま師」の衣装を脱ぎ捨てはしなかったし、それどころか、(ラマダーン月によく飲まれる)「ミント入りレモンジュース」の香りをつけて発展させたのである。

「ミント入りレモンジュース」はこの『占い師』というドラマのなかである役割を持つ。主人公は、カイロ国庫監査局長のシャウキー・ハーミドと名乗ったり、大使のハーズィム・グルバールと名乗ったり、弁護士のスカンダーリー・アブドゥルハミード・バクリーと名乗ったり、ポートサイード出身の実業家アブドゥルアズィーズ・カフキー、マンスーラの有名な医師スブヒー・アブールファドゥル、あるいは商人のアブールハッジャージュ・ミスリーと名乗ったりするが、どう名乗るのであれ、このジュースがまるで指紋のように、主人公の身元を明かしてしまう。

ラマダーン月の前半、われわれは「占い師」の持つ6つの顔を知ることになるが、それはたった一つの点を除いてまったく違っている。そのたった一つの点とは「ミント入りレモンジュース」が好きという点なのである。

(後略)



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:八木久美子 )
( 記事ID:30927 )